■玄達瀬のガス抜き■
以前にもこのブログで書いたように、今夏の玄達瀬では荒天のため「行くに行けぬ」状態になって、かなりのフラストレーションが溜まっていた中で、あえなく禁漁期を迎えてしまった。今回はその「ガス抜き」のために福井県鷹巣沖へと向かった。
玄達瀬~鷹巣沖の釣りでは、いつも釣り船を斡旋してもらっている、越前フィッシングセンター(℡0776-22-1095)に予約を入れた際には「何が釣れるのかは、行ってみないと判らない」という状況だったが、その時点でのボクの心境は「竿を出したい一心」のみで、無欲の状態だった。
ニュースも少なく、一抹の不安を抱えていた状況が変わったのは、「数は少ないが、ヒラマサの80cm、うまく行けば、90cm台ゲットも!」といった情報が、ポツポツと入り始めたあたりからだった。
しかし、いつもの調子で、「そんな運がボクに回ることなんてないだろう。」と自虐的に捉え、「マダイがチョロチョロとアタるだけでも結構」といった感じで、釣行当日を迎えた。乗船したのは、この海域ではボクが一番信頼する船長が操船する、晴海丸さんだから「釣ること以外は余計な心配が要らない」ので、心理面で大いなる助けに感じていた。
■ミディアム・タックル■
今回は勿論、オキアミエサの完全フカセで鷹巣沖を攻める。使用するタックルは、ボクにとってはミディアム・クラスであるところの、腰のしっかりした、7:3調子の完全フカセ釣り専用竿と、完全フカセ釣り対応電動リールにフロロ・カーボン製道糸6号を巻いたモノが基本。これに、極少の0号ボール・ベアリングスイベルを介して到着するハリスは一投目のみ7号、以降は8号6mの2本バリを使用した。
一投目を7号ハリスとしたのは、ボクに「マダイに加え、例年初秋から回遊する75cmまでのヒラマサにも対応」との考えがあったためだったのだが、すぐに8号に変えたのは乗り合わせた釣り人との”空気感”から、何となく「アカン、アカン、そんなスケベ根性を出しては…、ここは男らしく、ヒラマサ専用で。」と思い直したためで、結局これが”冴えた勘”?だったとは、この時点では思いもよらないことだった。
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●当日のタックル●
■遅い潮■
福井新港を出て15分程のポイントに向かい、晴海丸はアンカーを投入した。
当日は風が殆ど吹かない中、潮流もトロトロの遅い状態で、決してイイ状態とは思えなかった。それでも「前日よりはまだ動いている方」という、船長の言葉に期待を込めて第一投。まずはハリスと道糸の継ぎ目に極少のボール・ベアリング入り一個のみを着けた仕掛を流し込んでゆく。
しかし、一投目はサシエが着いたままで戻ってきた。次いで二投目。流す距離を伸ばしてみたが、これにも変化が無く、その様子を見た船長が、もう一度アンカーを打ち直して船位の位置を調整する。
そして三投目、これで初めてエサが取られることになった。そこで道糸に発泡ウキの6番を入れて、仕掛をやや浮かしてみることにした。効果があったのか、100mあたりでこの日初めてのアタリが出たが、スルスルッとリールが短く逆転しただけで、食い込まなかった。
「オヤッ?」と思いつつ、四投目も同じセッティングの仕掛を流してみる。一流しに時間のかかる遅い潮に閉口しながらも、ようやく届いた100m付近で今度はビュンッ!と明確なアタリを捉えることに成功した。
アワセを入れると、グイグイと力強く走る感触が伝わる。そして巻き取れずに唸るばかりの電動リールの悲鳴から、良型のヒラマサだと判断し、腰を落として踏ん張りながら対処する。
●良型ヒラマサの引き●
やり取りに入ってからは、道糸の伸びによるクッション吸収性を信じて強引に短時間で引き寄せてきたためか、相手は弱っておらず、足下に来てもかなり突っ込みを繰り返す。ようやく船長がハリスを掴んだ後もシツコク潜ろうとするので、ここから先は殆ど船長の手釣り状態になっていた。そのため「誰の釣果か判らんな?。」なんて冗談を言いつつも、ようやく玉網内へ。
●ついにグロッキーのヒラマサ●
早速、丸々と太ったコンディションの良い魚体を採寸すると、84cm。まずは1本ゲットで一安心の境地だった。
●84cm!●
サイズ的には、例年の鷹巣沖であれば最大クラスだが、今年は90cm台も出ているため、まだまだ大喜びはしていられない。魚の処理を済ませた後は仕掛を交換し、更なる大型を求めて投入を繰り返してゆく。
■ポツポツと■
ヒラマサを釣った後も同じセッティングで攻め続けていたが、サシエサが盗られ、「もう一回盗られたら、発泡ウキのサイズを上げて仕掛を浮かそう。」と思うと、今度は残るといった状況で、どうもパターンが掴みにくい。
9月の初旬であり、しかも流れが緩いという条件であれば、エサ取りがわんさか沸いてきてもおかしくない状況であるから、「本命の大型魚が近くにいるため、エサ盗り達がビビッているのだろう。」と、この状況を好条件として受け止め、気合いを入れて流し続けてゆく。
そうこうするうちに我慢ができなくなって発泡ウキのサイズを上げたが、その仕掛が75mでアタリを捉えることに成功する。
●一時間後のアタリ●
竿を叩く特有の引きは、マダイのそれとすぐに判断できた。そして難なくゲット。
●64cmのマダイ●
このマダイの後も、次のアタリまでが遠く、ラインが走ったのは1時間程経過した後だった。しかし、それらは全て中型マダイのアタリだった。この間、舳先側に座っていた釣り人が70cm台中盤のヒラマサを上げて、一人気を吐いていた。
一度アタリが出ると、その後一時間はアタリが出ないという、ポツポツ状況であるため、「待ちの釣り」を強いられるが、ボクはせっかちであるが故に、中盤に差し掛かった頃には我慢できず、仕掛に手を加える機会が増えていた。普段であれば、これが当たることも多いため、この日も発泡ウキの浮力や、流し始めに手で強制的に送り出す量の、きめ細かい調整を繰り返していたが、そういった「攻めの釣り」でアタリが増えることはなく、やがては八方塞がりに陥っていた。
切っ掛けが掴めず迷いに迷う中、舳先側の釣り人が70cm台中盤のヒラマサを追加したため、その人の仕掛を確認してみることにした。その結果、仕掛を強く浮かせる方向ではなく、全体の総合バランスからすると、ボクが朝釣ったヒラマサと同じような層を流しているように思えた。
そして、思考を巡らせた結果、「ヒラマサは、同じ層でウロウロしていて、ヤル気の出たタイミングで食う」という、結論に達し、最初にアタった発泡ウキ6番を一つ装着した仕掛に戻してみることにした。
■まさかのサイズ■
セッティングが元に戻った仕掛の到達距離は100mに差し掛かっていた。これまでアタったヒラマサは全てが100m近辺だったので、船長と二人で「アタるハズの100mを越えてしまった…。」と話していた矢先の108mで、ついにビュンッ!とリールが急速逆転を始めた。
予想したタナで、それも数m遅れたただけの、ほぼドンピシャのタイミングで出たアタリだったために、自分に酔いたい気分だったが、その間もなく強烈な締め込みが竿を絞り込んでゆく。
●デカいゾ!●
またもや巻き取りが止まり、ウンウンと唸るだけの電動リールの様子から、大型ヒラマサと確信し、ドラグ調整と竿のタメを駆使して徐々に相手との距離を詰めてゆく。その心得は、「柔よく剛を制す」の柔道と同じ精神だ。
一匹目は早く寄せすぎたために、足下で時間をとられたが、今回は途中で充分に時間を掛けていたため、船長がハリスを掴んだ段階で大きく暴れることはなかった。しかし、目視の範囲に入った段階で、その大きにはビックリさせられた。
●朝一よりも確実にデカい!●
無事にゲットできたヒラマサは、ボクの鷹巣沖記録であるところの、80cmを大きく越える、101cm(拓寸)だった。
●101cm!●
船長も、このサイズには驚いたようで、光栄なことだが、晴海丸にとっても鷹巣沖での最大記録だそうだ。
最初の強烈な疾走時に、変な抵抗を感じていたから、「少々ヤバいかな?」と思っていたが、仕掛をチェックすると、案の定8号ハリスは数十センチにわたって根ズレを起こしていた。これが7号以下だったら恐らく飛んでいただろうから、「最初の判断が生きた」と感じた瞬間だった。
■紆余曲折■
このヒラマサで答えが出たため、以後はセッティングを変えずに同じタナを攻め続けたが、三度目のアタリを捉えたのは、またもや1時間ほど経った後だった。これまたヒラマサに違いなかったが、足下まで引き寄せたあたりでハリ外れが起こり、あえなく逃してしまった。そして、それ以降は最終までアタリを捉えることはなく、この日の釣りが終わった。
振り返ってみると、この日は同じタナで粘るべきだったようだ。勿論これは紆余曲折した後の結果論だが、当日のような状況では、このような判断も必要と痛感した次第である。
101cmを獲り、出来過ぎには違いない結果だったものの、「もう少し早く気付いていれば、あと2~3本はイケたのでは?」と、「たら・れば」の皮算用をしてしまうところが釣り人心理であり、この趣味が簡単にはヤメられない要素でもあるのだが…。
●三人分の釣果●
秋に入ったばかりの鷹巣沖だが、今後中マサクラスの本格的な回遊が始まらない限り、今シーズンのヒラマサのサイズは大きく、個体数が少ない傾向になると思われる。であれば釣り人側も心して懸からねばならず、マダイ+アルファ狙いの6号ハリスや、ボクも当初はそう考えていたが、メジロや中マサと共用で7号ハリスなんてナメたことは考えないで、最大クラスに対応した仕掛を使用すべきだ。同時に、ベロンベロンのムーチング竿の使用も”??”で、青物対応の、腰のしっかりしたモノを持ち込み、万全の体制で挑まないと、手痛いしっぺ返しを喰らうだろう。
ライトタックルを使用した結果、「6打数で1安打で、そこそこサイズが1本。」「それにしても、あの時バラしたのはデカかったな~。」なんて自慢にならないことはヤメにして、専用タックルを使用し、「3打数3安打で、大型3本!。」を目指そうではないか!。