中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

乗り遅れ

2018-04-28 12:30:00 | 船釣り・釣行記
 先日の釣行は…。

 行き先は、勿論白石グリ。
 現地では100mあたり4分10秒ほどの潮が西から流れており、やや速めながら、コンディションとしては上々だった。

●潮流はまずまずだったが…●


 しかし、結果から言うと、レポートのしようが無いほどの惨敗で、「釣れた」とはとても言えない、マダイが2枚仕掛けに付いていただけで一日が終わってしまった。

●たったこれだけの釣果●


 釣行の少し前から小イワシの群れが入っていて、当日の貧果がそれにヒラマサが付いてしまった影響であれば、今後が心配だ。近くに居た10隻以上の釣船のほとんどがヒラマサ・ボーズであり、釣果欄で確認する限り、釣果があったのは2隻のみ、合計4本程度だった。この状況の急変は、小サバが沸いた昨年の5月後半の釣りを思い出してしまうほどの薄気味悪さであり、今後が心配だったが、翌日以降には回復しているようだ。

 前日までは好調だっただけに時化等で機会を逃したボクは、完全に第一波に乗り遅れてしまった。白石グリへの釣行はまだまだ続くが、次回で好転する事を祈るばかりだ。
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ヒラマサの完全フカセ釣り 「やり取りを科学する ~その2」

2018-04-21 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 ~その1からの続き。

■中間距離まで■

 “ファーストランの戦い”にこちらが勝つと、ヒラマサは再びの反抗に備えて体力をチャージするのか、一旦はおとなしくなる事が多い。中間距離では、竿と道糸の角度を保持したままで、リールのアクセルレバーは巻き上げトルクが出易い60%程度に絞ってやるが、ここでも常に巻上げ状態は注視しておかなくてはならない。
 グレ釣りでも竿ブレさせずにリールをゴリ巻きしてやれば、多少の良型サイズであっても素直に巻き上げに付いてくる事が知られるが、電動リールのメリットを生かして定速で巻き上げていると、大きく暴れないヒラマサが多いので、船下の水深分までを巻き取る頃までは「相手に対して大きな刺激は与えずに、プレッシャーをかけ続ける」事を意識しておくとイイだろう。
 但し例外があって、逃げ込み易い根や海溝が近くにある場合だ。ヒラマサは目標を見つけると猛ダッシュを再開する習性があるので、もしそうなった場合は、ファーストラン時と同様の対処をする。

●潮流の速さもあって中間距離では素直だった、玄達の118cm('14初夏)●


 船下付近までは仮に一息つけていたとしても、それまでの遊泳層から大きく持ち上げようとすると、大型であればあるほど豹変し、キツイ抵抗が始まるので、心して臨まねばならない。
 このあたりまで来るとヒラマサとの距離や竿と道糸の角度の変化から、竿の角度は最初の「のけぞり状態」から徐々に水平方向へと下がってきているが、真下までに達する頃にはボクの場合は、竿の曲がり具合を確認しつつ、水平より少し上程度に保持する事が多い。立てた事によって船体との距離がとれず、そこで船ズレが起きたり、スクリューや舵への絡みを防ぐためだ。

■船下の攻防からフィニッシュまで■

 何とか相手を浮上させ、船下の水深分-10mまでこぎつけたら、焦らずゆっくりと時間を掛けてヒラマサのパワ-を更に削いでいくやり取りが求められる。そのため、ここから先はリールのアクセルレバーは更に絞って40%程度としている。
 「なぜ-10mか?」だが、今までの経験では、(絶対ではないが)ここまで来ると大型に走られても簡単に根に突っ込まれない間合いが取れるからだ。
 そしてここからは道糸の距離が縮まってクッション吸収性が落ちている事と、ここまでのやり取りの中で傷ついているかもしれないハリスをいたわって、徐々にドラグを緩めて行くのだが、緩めすぎて道糸が出過ぎてしまう事に備えて、右手の親指でスプールを押さえる「サミング」も併用してゆく。

 残る距離が10mを切る頃に、電動巻上げを止めて、手巻きにする。ただし、この時点では更に道糸のクッション吸収性が落ちているため、ハンドルを回してもほとんど空転する程にドラグを緩めているので普通では巻き取れない状態だ。従ってボクの場合は次の要領で更に距離を詰める。
 まず、左手で竿のフォアグリップを握り、右手はリールの直後を握りつつ親指でリールのスプールを押さえながら、一旦腰を落とす。ここから竿の角度をあまり変えないようにしながら、スクワットの如く足を伸ばすのに合わせて竿を持ち上げて、ピークに達したら腰を落としつつ、同時の右手でハンドルを握って道糸を巻き取ってゆくといった流れだ。
 そしてこれを繰り返すが、このスクワット・ポンピング(?)は、普通のポンピングと違って竿と道糸の角度が保てるうえ、船際との距離が取れて安心だから取り入れている。

 ここまでは下へ下へと突っ込む事が多かったヒラマサだが、船体周りに近づくと、横方向に疾走する事もある。そんな時には「魚の走る方向に竿を振りながらリールに道糸を巻き込み、相手の鼻先を持ち上げてやる」テクニックを使うのだ。そうなるとヒラマサは反転して逆方向に走るので「次は逆を突いてやる」という手順を踏めば徐々に距離が詰まってゆく。この巻上げは、魚体に対してハリスが負け気味の場合に、特に有効な手段になる。もし「難しい」と思った場合は、ヒラマサよりも横走りする事の多いブリ族で練習すると竿の操作感が掴み易いのでお勧めする。(失敗してロストしても痛みが少ないのも利点だ。)
 出来ればこの操作をする際、周りの釣り人に声を掛けて自身がヒラマサの動きに合わせて釣り座を移動すると良いのだが、それを電動リールで行うにはボクのように軽量&ハイパワーのリチウム電池を使う方が移動しやすい。もし船内電源を使用している場合は、この区間だけコードを外して手巻きにするのも一手だと思う。

●魚の動きに合わせて頻繁に船上を移動させられた、鷹巣沖の98cm('15初秋)●


 ボクが乗る船ではサルカンが海面から出て相手が弱っている事が確認できれば、船長がハリスを掴んでの手手繰り(てたぐり)区間に移行する。
 ここでは、不意に逆襲され、船長が道糸やハリスから手を離す事に備えて、竿を水平方向になるべく突き出した状態でポジショニングし、リールのクラッチをオフにして、右手の親指でスプールを押さえながら身構える事にしている。
 船長との意思疎通のため、「危なかったらいつでも手を離して。」と声を掛けておき、実際に船長が手を離してヒラマサの疾走が再開した場合は、サミングする親指の、押さえの強弱で道糸の出具合を調節する。(そうしないとバックラッシュする。)その際、ヒラマサに、船の反対方向に走られてしまったら、海中に竿の半分以上を突っ込んで対応する。
 相手が大きければ大きいほど、何度もリセットされて「数十m先からやり直し」なんて事もよくあるし、そういったヤツほど逆に時間を掛けて弱らせなければならないので、心して掛からねばならないが、最終的には魚の弱り具合を確認できたらネットインとなる。


 ここまで解説した「ボク流の、やり取りの実際」だが、これらの操作が最大限に生かされるのは、玄達瀬のメーターを優に越えるサイズを10~12号ハリスを使って挑んだり、秋のパワー溢れるメーター前後を8~10号ハリスを使用して挑む場面になる。ただし、これだけ気を使っても「根ズレ」や「ブチ切れ」でハリスを飛ばしてしまう事があるのだ。(ボクの腕前がヘボなのかもしれないが…。)
 一方、春の白石グリではここまでやらなくても、もっと言えば電動リールに任せっきりで獲れてしまう事すらある(周囲を見回しての確認)ので、ピンと来ない人が居るかも知れない。だが、そんな人であっても、いずれは壁にブチ当たる日が来るだろう。(なければラッキーだが…。)
 ボク自身の経験では、これらのやり取りを実践出来るようになって以降、「だた踏ん張って巻いていた」頃よりも、単純に根ズレだけが原因のバラシは激減しているので、迷いが出た人に対しては、長々と述べてきた内容がスキルアップのヒントになると自負している。

■ゲット率を上げるために■

 今週まで3回にわたって「ボクの、ヒラマサ釣りの基本姿勢と要領」について書いてきたつもりだが、要は、完全フカセにおいては太ハリスと言われる号数であっても、魚に対しては負け気味である中、「いかにタックルを操作すれば獲れる確率が上がるのか」について、ボク流に述べたつもりだ。
 だが、玄達瀬であっても、130cmクラスのヒラマサを相手に「ダイワ500番サイズのリールに7号道糸&8号ハリスで、数十m走られた末に、何とか獲った。」という記事が釣果欄に載る事がある。こんな記事を読むと、「その釣り人の腕前がボクよりも上」だという事を認めざるを得ないが、それよりも前に「この上ない幸運が巡って来た」事が獲れた最大の要素だと解釈している。これは、同じタックル・セッティングでのアプローチによって、獲れた分をはるかに上回る数の大型ヒラマサがバラシでサヨナラしているという、裏の事実をボクは知っているからだ。
 「ただ走るだけで、根や海溝に入る気が無いヒラマサが、どれだけの割合で居るのか?」の問いに答えられる人であれば、私の解釈に共感してもらえると思うが…。

 釣法ネタを書いていると、「釣りには絶対は無い」と、グレ釣り名人の小里哲也さんが言っていたのをよく思い出す。釣りには様々なアプローチがあって、それで成功している釣り人も居るし、ボクの方法も改良の余地があるかも知れず、絶対ではない。
 だが、少なくともそれぞれ自分なりに「手にする魚を増やすために『獲る確率が高い方法』を選択をしている」という点では同じだと思う。

 「どうにもならないヤツに出会ったがために、次回はどうにかしてやろうと苦心惨憺しつつ挑んでも、結局返り討ちに遭う」
これが完全フカセでのヒラマサ釣りの真髄であり、だからこそ面白い。
 ここまでの記事が少しでも皆さんの参考になって、釣果の歩留まりが向上してくれれば幸いだ。


 今週までは“脳内フィッシング・ネタ”続きだったが、明日は白石グリでの実戦がようやく始まる。悶々とした時間が長かっただけに、明日はスクワット・ポンピングを痩せるほどに繰り返したいモノだが、果たして結果は…。




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ヒラマサの完全フカセ釣り 「やり取りを科学する ~その1」

2018-04-14 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 白石グリでは遅れていたヒラマサが釣れ始めたようだが、釣行しようにも季節はずれの寒の戻りがあってアウト。そこで今回は、ボクを含む誰もが失敗しがちな、ヒラマサが掛かった後のやり取りについて記してみようと思う。


■異釣種からの知恵■

 小学校生の頃から始まるボクの釣り人生中、最も時間を割いて情熱を注いだのは磯のグレ釣りであり、今でも「最も奥の深い釣り」だと思っている。そんな釣りだから初級から中級の壁を越えるのは大変だった。
 アタリのあった場所から、釣り人側に有利な深い部分に魚を寄せてくる船釣りとは違って、この釣りでは、異変を感じると根や海溝にツッ込んでゆく習性があるグレを相手に、「2号でも太い(口太グレ狙いの場合)」と言われるハリスを用いて浅い水深側に寄せる必要があるため、釣り人は常に不利な状況下に置かれるのだ。
 その上、足下から根が張り出している事もある状況下で、片手で竿を保持したまま、残る手で持つ玉網に誘導してフィニッシュして“一人前”とされるため、最後の最後まで気が抜けない。言わば完全自己完結型の釣りなのだ。
 そのため、竿やリールの操作等を間違えると、相手が良型と言われる40cm以上のサイズであれば、根ズレを起こして飛んでしまう確率が高くなる。

 ボクが開眼出来たのは当時健在だった釣りサンデーという週刊誌から別冊として出版され、その後を引き継いだ内外出版社から今も発刊されている、「磯釣りスペシャル」という、雑誌のおかげだった。そこに記された内容をどうにか理解し、実践出来るようになると共に自己記録が伸び、釣果も安定していった。

 記事を振り返ると、「①道糸を出し過ぎる事」、「②竿と道糸の角度が保持出来ない事」がグレをバラす主な原因だったが、①と②は、実はリンクしている。
 グレ釣りでは一般的にレバーブレーキ付きのスピニングリールを使うが、このリールは大型魚が掛かって「持ちこたえられない」となるとレバーを開放してフリーにする事でハリス切れを防ぐという、言わばオン&オフのデジタル的操作でやり取りする点が普通のドラグ付きリールと大きく違う。
 しかし、このリールは、慣れない内は良型クラスの引きにこちらがビビッて、つい道糸を出しすぎ、その隙をグレに衝かれると走りを止められなくなって、最終的に、根に張り付かれてアウトになる確率が高まるのだ。
 これを防ぐには必要最小限に道糸を出す事につきる。そのためには②の、竿と道糸の角度が重要で、「グレの方に竿尻を向けるくらいの気持ちで竿を絞り込め。」と、よく記されていたものだ。

 実際に、そこまでの角度を保つのは難しいが、要はその意識を持って竿を曲げ込んでやるという事だ。竿の反発力が最大限に生かされるのは、「竿と道糸が90度よりもやや鋭角なった頃」と言われるが、その角度を保ちつつ相手にプレッシャーを掛け続け、「相手のパワーが上回って竿が伸されればブレーキを開放しつつ、竿を起こして角度を作り直してやる」という操作が必須になる。その際、魚全般に引っ張られる方向とは逆に走る習性があるので竿は上方に立てず、横方向に弧を描くようにしてやると尚良い。
 グレを引き寄せる際、前後方向へ大きなストロークのポンピングは道糸が緩んだ際に走られる可能性があるので、名手&名人と言われる人が、それを使っているのを見た事が無い。釣り人それぞれにスタイルはいろいろとあるが、ボクの場合は竿の角度をあまり変えずに竿の反発力にグレが負けて緩んだ分だけ道糸を巻き取るイメージで距離を詰めていた。
 ただし、この操作も中間距離までで、足下近くまで引き寄せる頃になるとそんな角度では手前に張り出すハエ根に擦れてしまう事がある。上述したように、引っ張られる方向とは逆に走る習性があるから、焦って早く上層に引き上げようとするのは逆効果になるのだ。
 「磯際まで来ると、どうすれば良いのか?」だが、斜め上方に突き上げるイメージで竿を保持して道糸との角度が90度よりやや鋭角気味にしてやる事だ。そうすると行き場を失ったグレは磯際を左右に走る事になるので、今度は習性を逆利用して、魚の走る方向に竿を振りながらリールに道糸を巻き込み、グレの鼻先を持ち上げてやるのだ。そうなると今度はグレは反転して逆方向に走るので、今度は逆の操作をすれば良い。それを繰り返すと、楕円の螺旋階段を上るようにグレが浮上してくるイメージだ。


■ヒラマサの、ファーストランへの転用■

 魚が掛かる位置が遠い事が多く、パワーも桁違いなので、全く同じには出来ないが、グレ釣りでの経験は根や海溝に突っ込まれての根ズレが多発するという、似た習性のあるヒラマサを釣る(完全フカセ釣り)際においても役立った。(上段で長々と書いたのはそのため) 
 以下はボクがアタリが出た際にとる、ヒラマサのファーストランへの対処だが、順に記すと次のようになる。

 ①左手でスプールを押さえつつ、右手の親指でクラッチ・オン。
  続いて右手でアクセル・レバーをフルスロットルにする。
 ②左手は竿のフォアグリップを握り、右手は竿受けの付近を握りつつクランプを外す。
 ③糸フケが取れたタイミングで両手で大アワセを入れる。(アクセル・レバーは全開のまま)
 ④出来うる限りの範囲で竿を立てて保持する。
 ⑤電動リールの巻き上げ具合を確認する。
 ⑥電動巻き上げが可能ならば、竿の角度を維持し続け、
  巻き上げ不能なら、道糸を右手で掴んでリール側に送り込む。
 ⑦相手がこっちを向かず、竿の角度も保てなくなったら、
  道糸から手を離して、締め気味に設定したドラグを効かせつつ道糸を出す。

 「なぜ、そうするのか?」だが、上段のグレ釣りに当てはめると解り易い。要は竿と道糸の、角度の保持を重視し、ヒラマサが竿の反発力に負けた分だけ巻き取りたいからだ。しかし、残念だが近頃の船竿全般に胴まで曲がり過ぎる竿が多く“胴の張りで魚を起こす調子”になっていない。それを補うのが相手に対して常にプレッシャーが掛けられる電動リールの巻上げで、アワセる際に道糸のフケを高速で巻き取れる点も加えて武器になる。
 ただし、相手がそこそこサイズ以上のヒラマサであると、大枚をはたいた電動リールであっても、ダイワ500番(シマノ3000番)、メーターを優に超える頃になると750番(シマノ6000番)であっても多くの場合でウンウン唸るだけで道糸の巻上げが出来ないのが現実だ。従って⑤は必須になるし、⑥の判断も素早くしないと、そのまま根や海溝に走られてアウトになる。

●ダイワ750MTの巻上げを停止させた、玄達の114cm('17初夏)●


 踏ん張り切れず竿が伸されそうになると、⑦の操作をすれば良いのだが、その間に竿の角度の保持をし直すイメージで操作すれば、グレ釣りにおけるレバーブレーキ・リールの操作に似た状態が演出できるのだ。
 因みにボクが“フリー回転性能が高い”という大きな利点のある、手巻きリールを優先使用しないのは、以前にも記したが、20年近く前の玄達瀬で下手なポンピングを繰り返して竿が伸され、大型を「入れ喰いさせた」ものの、ことごとく、「入れバラシさせた」ためだ。因みに左手で竿を保持しながら右手でリールをゴリ巻きすれば、同様の操作が出来ると思うが、「玄達瀬でメーターを余裕で越えるサイズのヒラマサを相手に、150m以上の距離を絶え間なく巻き続けるパワー」が今の自分の体から湧き出てくるとは思い難い。

 また、「ヒラマサの方に竿尻を向ける“気持ち”」で竿の角度を保ちつつ、「巻き上げ状況の確認」を実現するには、上体をのけぞるほどにした状態で竿を立てなければならない。(ボクのように老眼の場合は特に…。)
 乗合船での同船者やポイント周囲に集まる釣り人に魚が掛かれば、ボクはつい目を向けてしまうが、魚が遠くにありながらも竿の角度は海面から45度程度、あるいはそれ以下の人が多く、そんな姿を見ると「そんな角度やったら、竿要らんやん!」と、ツッ込みたくななるほどだ。原因は「早く魚の姿が見たい」という心理が働いて、つい海面に入る道糸の延長方向を注視してしまうからだ。それを防ぐには見えもしない魚を追うのではなく、竿の曲がり具合全体を水平線より上、もっと言えば空にかざして確認しようとすれば、自ずと良いポジショニングが出来るので、思い当たる人は意識して実践して欲しい。
 また、大型~超大型が掛かってリールが巻けていない状況に本人が気付かず、慌てて駆けつけた船長が道糸を引き抜く場面や、逆に滑りっぱなしのドラグを操作してもらっている場面をよく見かけるので、電動リールの「ドラグを滑らせながら巻き取る」、「高負荷では巻上げを停止する」といった特性を常に意識しておくべきだ。

 長いので、~その2へ続く。
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ヒラマサの完全フカセ釣り 「太ハリスのススメ」

2018-04-07 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
さまざまな事情があって久し振りの更新だが、シーズンインした今後はいつものペースで更新していこうと思っている。


 若狭湾周辺ではヒラマサも釣れ出しているので、今回はその釣行準備の話として、このブログでは何度も触れてきた「ヒラマサ釣りでの、太ハリスについて」を改めて書いてみようと思う。

■なぜ必要なのか■

 実は、昨年の、完全フカセ釣りでの釣行では自身で「意地でもハリスを落とさない運動」を繰り広げていて、春の白石グリでは8号のみを使用し、玄達瀬では12号、秋の鷹巣沖では10号のみを全日にわたって使用していた。(全て全長6mの2本バリ)
 ボクの場合、ほとんどが乗合船での釣行になるので、さまざまな考えを持った釣り人たちと一緒に一日を過ごすのだが、上記のような「周囲よりも一回り太い仕掛」を使用していたにもかかわらず、そのほとんどにおいて「釣果に差が出た事は無かった」と言うか、「釣り負けたことは無かった」のだ。

 こう書くと、「青物は要らない、マダイが欲しいから…」と言う人も居るのかもしれないが、マダイばかりが釣れている状況でも同じだった。
 差がつかない理由は、このブログでもよく記している「要はタナとり」という事で、それを細かにやり続けた結果だと思う。慣れない内はそれが難しいため、ついハリスのせいにしたくなるのも解る。だが、神経質さでは釣りの対象魚中、一番とボクが思うグレであっても、細ハリスで狙うのは、相手にこちらの姿が見えて警戒していたり、水温低下で活性が下がって、ついばむように喰う状況に陥った場合がほとんど。そういう繊細な釣りとは対極にある沖釣りにおいては1号や2号の差はほとんどないとボクは思うのだが…。

 話をヒラマサに戻すが、まずは以前にも紹介した、youtube内での映像
https://www.youtube.com/watch?v=YICGDeYdzmo
を見て欲しい。
 この映像は、海中のヒラマサの動きを捉えた物なのだが、これに写るヒラマサは単独行動の個体のようだ。他の映像で確認してもそうだが、良型のヒラマサは単体もしくは少数のグループでしか瀬に付かない事が理解できる。(このあたりが同じ青物のブリ族の性質と大きく違うところだ。)
 すなわちこれは、もしヒラマサをバラしたら、「後が続かない」ということに繋がる。特に、青物全般に、「一匹がハリに掛かると周りの魚がそれと同調しながら付いてきて、バラすと一緒に退散する」という性質があるから、数匹居ても結果は同じで、潮況が向上する等、逃げたヒラマサたちの活性が回復するまで次の1本は見込めない。

 また、この映像では1分28秒頃からの動きに注目して欲しいが、違和感を感じたヒラマサは岩礁帯の海溝部めがけて全力で垂直降下を開始する。こんな走りをしている相手に対して、細めのハリスをいたわろうとドラグを滑らせて道糸を出せば、瀬の肩にハリスが触れて根ズレを起こして万事休すとなる。逆を言えば良型クラス以上のヒラマサの垂直降下に対抗するには、ある程度強引なやり取りをしなければならず、そのための太ハリスが必要になるのだ。因みに同じ青物でもブリ族は海溝に潜らず、岩礁の上を通過していくので「ブリクラスを細めのハリスで獲った経験」は、ほとんど役に立たないという事を付け加えておく。

 他の釣法に目を向けると、メーター級のヒラマサを岩礁地帯で狙う場合、ルア-系の釣りではハリス部分にあたるリーダーが80ポンド(号数で言えば20号ほど)以上を使用するようだし、エサ釣りであっても山口県萩沖の浮き流しでは14号前後、千葉県外房沖のカモシ釣りでは10~16号のハリスを使用しているようだ。
 オキアミエサを船上から撒き、ハリに刺して狙う完全フカセ釣りでは「マキエサの流れる層近くに仕掛けを入れて流し込む」のが基本スタイルのため、あまりに太い道糸では仕掛けがその抵抗でマキエサと違った、とんでもない方向に流れてゆく可能性がある。従って、それとのバランスから、ハリスはある程度=道糸より2号上がり程度までしか太く出来ない。従って、完全フカセ釣りでは太目と言われる8~10号のハリスであっても、他の釣りスタイルからは見れば、「かなり負け気味の細ハリス」である事を頭に入れておかなくてはならず、ましてやマダイと共用で6号なんてのはトンデモナイ話なのだ。


■条件による違い■

 同じヒラマサであっても、時期や地形によってパワー感がかなり違う。
 5月の連休ごろまでは適水温ではなく、腹に抱えた白子や卵が大きくなり始める頃なので、本来のパワーが発揮できる時期ではない。近畿の日本海側では、この時期に狙う本命場所が京都府経ヶ岬沖の白石グリになる。ここは他地区に比べて海底の根回りが複雑ではないため、最初の走りを食い止めて船下へ誘導してしまえば、比較的獲り易い。それでもボク自身、ここで数本バラしており、その失敗談を語ると、「オマツリ等、何らかのトラブルが原因で、最初の走りの際にもたついて根ズレを起こした」や、「最後の数mに差し掛かり、それまでのやり取りの中で恐らくハリのミミの裏側へ回ってしまったハリスがスパッと切れたこと」等だが、中間でやられた記憶は無い。
 初夏から2ヶ月間解禁する玄達瀬でも初期は産卵&放精期であり、後期はそのアフターであるが、適水温期に入っている事と他地区とはケタ違いの、1m30cm級の回遊がある事、更には、ここの海底にはヒラマサが逃げ込む目標となる、根や海溝がいたるところにあり、そこに向かって猛ダッシュをかけるから船下の水深分を切る頃、いや、もっと言えば玉網に収まるまで一息もつけない状況が続く。ここでの失敗談は、「アタリが出た瞬間に仕掛の一切に加えて、10号の道糸10数m分が無くなっていた事」や、「数m巻いただけ」、「最初は凌げたが、中間で猛ダッシュをかけられ」、「船下の水深分を一度は切ったが、そこで猛ダッシュをかけられ」等々…数えればきりが無いほどだ。
 晩夏からの鷹巣沖では産卵&放精期から完全に体力を回復している事、水温が適水温期である事とを合わせて年間で最大のパワーを発揮する。ここの海底部はそんなに複雑ではなく、むしろフラットな地形のところどころに障害物が点在するといったポイントも多いため、取り込み易いように思えるが、食う場所は障害物周りであることに違いないし、中間距離の少々離れた位置にある障害物であってもフルパワーをかけて走り込む事も多い。ここでの失敗談は「そんな障害物周りへ猛ダッシュをかけられ、止める事ができなかった末の根ズレ」がほとんどだ。

 そしてこれは各地共通の話だが、速い潮流の中で掛かったヒラマサは、潜ろうとする力に対して流れに押される力が作用してベクトルの方向を変えてしまうらしく、掛けてから船下まで電動リールの巻上げに対して素直についてくる事が多い。しかし、そうであっても船下の水深分を切るあたりで豹変する事が多いので注意が必要だ。また、逆に緩い潮流の中で掛かったヒラマサは初めから思うがままに走るので、こちらとしては初めから覚悟してかかる必要がある。
 つまりはその日の状況に対しての対処が必要になり、更に言えば、仮に速い流れの中で細めのハリスで獲れた経験があったとしても、潮の緩い日にそれが通用するとは限らないのだ。



 ここまで読んできて、細ハリスの危険性を理解してもらえたと思いたいが、まだ未練のある方に次の話をしよう。
 タイムリーな事に、舞鶴地区でお世話になっている船の一つであり、ヒラマサメインで出船している大海丸さんの釣果欄に「仕掛けが、ハリス6号、ビックリですワ!。」とあり、「オキアミふかせの場合、ハリスは、最低8号。下手な方は、もっと太いハリスで、やって下さい。」との記述があった。シーズンに入ると毎日のように攻めている船長が言うのだから、間違いのない話なのだ。
 人それぞれに経験や腕前は違うからバラシは仕方の無い事だとは理解しているし、ボク自身も未熟なため実際にそれをやらかしてしまう。しかし、対策や準備を怠ってそのリスクを高めたのであれば話は別で、「そんな人がバラした結果、同船者全員の遭遇チャンスが激減するのは、迷惑な話」と、最後に記しておく。

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