年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

農協の闇(ノウキョウ ノ クラヤミ)を読んで

2022年10月28日 | 梅干
書評で気になっていて、また郵便局の自腹営業の話で、本屋で買う必要がなく、図書館で借り出せば良いと思っていて、他の都内の図書館は蔵書している所がすべて貸し出し中でさらに都立中央図書館はまだ検索不能だった。そうこうするうちに図書館の検索システムに農協の闇が引っかかり、借りることが出来た。
農協の闇 窪田 新之助著2022年8月

 書評ではやはり郵便局のノルマから保険等の自腹営業と同じと感じていて、これは奥深いが地域を衰退させる運動をしているように見える。円安と海外農産物高騰でもコメは減産傾向が変わっていない。思い切って小麦等の輸入農産物を上げ、コメ関連食品の販売促進に税金を使うべきなのに総花的な食品政策で困窮国民を助ける意思が見えない。

 農協の闇の第三章で梅干しの価格談合の話しがある。著者の追求は鋭いがやはり日本農業新聞の記者だった経歴からどうして今も続いている談合もどきの分析が出来ていない。この梅干しの問題でも日本の農業は日本の問題であっても外国、特に中国と韓国に対して甘い。中国に梅の品種(南高梅)が流出し、技術支援したのは日本人の梅業者である。日本の各都道府県で農業試験場があるが国内志向が強く、品種登録が費用が掛かるから海外登録の意識が薄く、流出し評判になってから騒ぐ。そろそろ農業試験場の統合も必要で余った人員は特許要員にした方が良いと思う。
 取材先の守秘義務がある記者の書いた内容は梅業界と関係ある自分にはどの人かおおよそ推測できるが、不正もどきが今なぜ続けられているか分析が甘いし、解決方法も見当たらない。和歌山県元南部川村長で南部町と統合し、初代のみなべ町の町長になった人が生きていればここまで梅価格の低迷になることを遅らすことは可能だったと今は思う。安いものを要求してくる量販店バイヤ―の圧力に屈し、地域全体が落ち込み、仕入れ価格を抑えるために農家から買い入れる価格を再生産価格以下にした。また梅農家も梅バブル時の消費行動が消えず、不良品の販売(つぶれ梅・傷物)の誘惑に勝てなかった。

 今秋田県では漬物業への規制があって、販売好調の燻りガッコを地域特産品として価格維持しようとしている。このような行政の介入が今から思う和歌山の梅業界に必要だったかもしれない。梅干しでは和歌山県業界の意思で保存料を梅干しに添加しないように法規制した。従って梅干しの宣伝文で保存料を一切添加していませんと言う宣伝は誤りである。保存料を入れれば梅干しと名乗れない。
 2018年の東京の梅雨明けは6月29日でそれ以後TVでは熱中症報道が続き、塩分補給のため梅干しが取り上げられ、さらに量販店等も梅干しの売り場が拡大し、折からの中元時期のため、贈答品の梅干しも売れた。そこで和歌山の梅干し業者は利益の出ないス-パ-への出荷を抑えた。
 ここで行政と生産者はまとまれば価格維持をして、再生産価格に引きあう梅干しの復活もあるだろう。中国もすでに安い物しか買わない日本向けから御菓子的な甘い梅に向かっている。

コメント
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