透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

― なぜ長野県には火の見櫓が多いのか

2012-09-16 | A 火の見櫓っておもしろい

  




安曇野市豊科上鳥羽の火の見櫓

 長野県内の火の見櫓の数は2,300基くらいという調査がある(『火の見櫓 地域を見つめる安全遺産』 火の見櫓からまちづくりを考える会編/鹿島出版会に紹介されている)。全国的にみて数が多い県だが、なぜ長野県には火の見櫓が多いのか・・・。

火の見櫓はその機能から、次の二つの条件をクリアできる範囲ごとに建設され、全ての集落をカバーしていると考えるのが妥当だろう。

① 半鐘の音が聞こえること : 見櫓の半鐘を叩いて火災が発生したことや鎮火したことなどを伝えることができる範囲

② 見張り台から見渡すことができること : 火災の状況を把握することができる範囲

更に火の見櫓に早く到達することができることという条件を加えたい。

長野県は地形が複雑で例えば沿岸部のような平坦な場所と比べて半鐘の音が遠くまで届きにくく、見通しもききにくい。また、例えば川で地域が分断されている場合、川の両側に火の見櫓がないと、火の見櫓に到達するのに時間がかかってしまう。このようなことから長野県には火の見櫓が多いのではないかと私は推察している。

ところで、長野県は全国で最も村の多い県だが、山あり谷ありという複雑な地形だと合併してひとつの町や市にはなりにくい面もあるだろう。このように村の数が多いことと火の見櫓の数が多いこととは無関係ではないと思うがどうだろう・・・。村の数が多いのは、議論好きで、まとまりにくいという県民性に因るところ大なのかもしれないが。


 


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2 コメント

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古代人の血 (0沢UG)
2012-09-19 08:37:32
私の勝手な空想ですが
諏訪の御柱の由来は青森県三内丸山遺跡にあるような
巨大などんぐりの木を立てて櫓を造った縄文人の名残だという説もございます。

山深い高燥の知に住み続けた私達信州人は、知らず知らずに古代人の血が今なお色濃く
自身の住む集落にはどうしても「ランドマークタワー」がないと落ち着かないのかもしれません。
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0沢UGさんへ (U1)
2012-09-19 21:26:48
そうか、柱信仰の系譜で捉えることができるんですね。
なるほど!な珍説(?)ですね。面白いです。
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