575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

戦争が廊下の奥に立っていた   渡辺白泉

2009年01月28日 | Weblog
なんだこりゃ俳句。最高点の句です。
番組のなかのやりとりを紹介します。

☆  なんだこりゃ俳句というよりも、廊下の奥に立っていたのは、
なんだこりゃ?という俳句。
日本家屋、庭の見える廊下、取っ付きにはトイレが有るような家。
その我家の廊下の一番奥に得体の知れないモノが立っている。
それを何故、戦争と言ったのか?
これから戦争に向かう時代、戦争が迫っているような時代。
それまでは家の外にいたものが、我家の廊下にまで入ってきた。
ゲートルを巻いた足が見える。
怖くて前に進めない。うしろに戻ることも出来ない。
廊下の奥にいるものは、明日になると、
こっちへさらに近づいてくるかも知れない。
なにも言わずに立っている怖さ。

○ 戦前にもレジスタンス俳句はあったんだ。

○ 戦争とは、こうやって来るのか、という句。

◎  作者の話では、立っていたのは憲兵、
場所は公会堂のような広い場所だったということ。
憲兵を戦争という大きなものに拡大したというか、
抽象化したところがスゴイ。
憲兵じゃ小さくなってしまう。

○  たった4文字を変えただけで、こんなにスゴイ句に。

○ 人が来る時は玄関からコンニチワとかいって入ってくる。
それが、もう家のなかに勝手に入っていた。怖い句。

○  時代というものを詠んだメッセージ性のある句。


遅足の感想 俳句は読者がつくるものとも言いますが、
この句などは正に読者の読みがスゴイ。

昭和14年、渡辺白泉らの新興俳句作家は、「京大俳句」に
戦争を詠んだ句を発表。特高から監視される。
昭和15年、治安維持法違反で監獄へ。
俳句も自由に詠めない時代があった。


コメント
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