575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

南天             草女

2009年01月09日 | Weblog
裏庭の南天は30年位前、植木市で、50cmほどの丈で白山吹も付いているの
に惹かれて買った。玄関横の南天はそれからしばらくして、正月用の寄せ植えの小さいのを可哀想と思って移植した。
 以来伸びるたびに何度も切に切った。剪定などという品の良い切り方ではなく通るのに邪魔でバッサ、パッサと切ったのである。それでも生命力は衰えず元気いっぱい。でも1本1本の幹は太いものでも直径は2cmに届かない。樹木の持つ形成層がないから太くなれないので、木でありながら草の性質を持つ。地下茎から新しい芽を出して株がどんどん伸びて増える。
 期待した白山吹はいつしか南天に駆逐され姿をけした。
 南天は、メギ科ナンテン属の常緑低木。中国から古い時代に渡来したという説と西日本に自生していたという説がある。                                                           日陰でも育ち、ナンテンが難を転じるに通じ、鬼門に植えたり禍転じて福をなすとして、お目出度い赤飯の上に載せたり、正月飾りの寄せ植えに南天と福寿草が使われたりした。
 南天の葉、実、樹皮にはそれぞれ薬用成分があり、赤飯に載せるには言葉遊びだけではなく、殺菌作用があるのだ。昔の人の知恵には感心するばかりである。
 ただし、薬と毒は紙一重も違わないので、素人が迂闊に手を出してはいけない。 山と渓谷社の図鑑には、「果実を煎じて咳止めに、葉を強壮薬にする。樹皮に知覚神経末梢を麻痺させる成分が含まれる。」とある。小学館の 日本の薬草には、「果実は咳、喘息、百日咳。葉は湿疹(浴湯料)に効く」とある。                                                                                                                         我が家では伸びすぎて目の敵にされている南天も随分役立つ植物なのだ。 けれど南天の実と葉は雪兎の眼と耳にするのが、一番似合うと思う。雪降るといいな。

  南天軒を抽けり詩人となりにけり        草田男
  南天の実のひかげれば母の咳        秋を
  不退寺の実南天また実南天         勝彦
  風なくば好き日なり実南天          房子
コメント
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