575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

平和であってこそ   鳥野

2009年01月20日 | Weblog
 ・ 八千草のみだれて匂ふ春の野にみなみの涯に散りし恋恋ふ 三重・波田かづへ

召集されて南の空に散った恋人。そして、あの恋いも終ったのだ。なんという哀しさ。わたしたちの年代には珍しくない事実なのです。

この歌は戦後間もなくの昭和23年のころ一般募集された「平和百人一首」のなかの一首です。

まだ、戦後の混乱から抜けきれず、住む家も食べる物にも困り果てていた当時、応募が23、720首というのは驚きです。
新憲法制定の記念事業の一つだったようですが、出版にはGHQの検閲がかかっていた中、どんなにかご苦労だったことか。

一旦は埋もれてしまうかだった草稿を、掘り起こされたのは、大竹桂子さん。稲田善樹さんの挿絵を添えて、このほど復刻出版されました。

その原画展を開催したのは、愚足さんたち昭和区9条の会(事務局長舟橋勝さん)など。大勢の人が参観し、深い感銘を受けました。

会は18日で終りましたが、歌は不滅。

戦火に生き残ることができた喜びと、平和への希求に溢れています。

 ・ 夢にさへ恋いやまざりし青畳ただうれしくて足伸ばしけり 東京・三澤正男

 ・ たたかいに死なざりし命還り来て櫻狩りする春に逢ふかも 和歌山・橋爪 啓

 ・ 春の野をわが恋いくればみなし児のくろき片手にれんげ匂へり 埼玉・町田知世子

 ・ われら選ぶ人のをさむる新しき国輝けと一票を投ず 東京・小川登子

読み継ぎ、語り継ぎたい一冊です。
コメント (2)
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