575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

蝶墜ちて大音響の結氷期   富沢赤黄男

2009年01月07日 | Weblog

ひらひらと飛ぶ蝶。軽い蝶が墜落。
その音が結氷期の世界に響き渡った。
不思議なイメージの句です。

以前、爆笑問題が大学教授との対談で、カオスの話をしていました。
ほんのちょっとした事が、どんどん大きくなっていく。
たとえば、一匹の蝶がひらひらと飛びあがったことによって、
地球の気象に大きな変化が生れる。
それがカオスの理論だというのです。

富沢赤黄男の句は、そんな理論などなかった時代のもの。
俳人の直感はカオスの理論を理解していたでしょうか。


  切株はじいんじいんとひびくなり

この句も不思議な句。
なぜ切株なのか?他のものでは?
と考えてみましたが、やはり切株しかないかな?
切断というコトバがじいんじいん、に響きあっているような感じ。
確かに切り傷がじいんじいんとすることがあります。

音のないところに音を聴いている点では、芭蕉の、

  閑かさや岩にしみいる蝉のこえ

とは、また違った世界のようです。
                  遅足




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