台風19号が大災害となってしまい、さわやかな青空がかえって秋思の思いを強くする昨日、575の句会が無事に開かれました。
久しぶりにすみさんも参加され、郁子さんからは広島の紅葉まんじゅう、佐保子さんからは、京都の吉田山荘のクッキーのお土産を頂きにぎやかな句会となりましたが、2時間内で全ての句を論評するのは少し窮屈という声もあがっています。
句会の楽しさは、あーだこーだ言い合う雑談の中にありますもんね。少し進行が変わるかもしれません。
では恒例の一言講評です。「秋思」という人生の儚さを感じる秋のなんだかぼんやりした淋しさは意外に難しいお題でした。
題詠「秋思」
①吾が秋思メトロノームに急かされて
カチカチと規則正しく刻むメトロノーム。「人生の時間」というものを意識させられなんだか焦ってしまう気持ちでしょうか?
②素描する筆先にある秋思かな
素描と秋思がよく合うという声が多かったです。繊細な筆先にも秋思が宿ります。何をデッサンされているのか気になります。
③捨てられぬカセットテープ秋思あり
どうしても捨てられないカセットテープ。声や歌や思い出が詰まっています。もうカセットデッキもないので再生方法もないのですが。。
④レジかごのかさ減るたびの秋思かな
子供たちも独立し、スーパーのレジの会計ですっかり量が減った買い物かごに秋思を感じました。消費増税ととった方も。
⑤秋思あり肩に雲おき御嶽山
5年前に噴火した御嶽山。毎日のように御嶽山を眺める作者。御嶽山の肩にある雲の中に、もしかしたら行方不明の方がおられるのでは?という気持ちになったそうです。人間にも秋思があるように、山には山の秋思がある気がしました。
⑥玻璃戸より浅間眺めし虚子秋思
下五の「虚子秋思」が絶品。語呂もいいですね。自分の秋思を虚子に託しています。ちなみに虚子は戦時中、長野県小諸市に疎開しておりそこで厳しく美しい風土に触れ「小諸時代」という世界を築いたそうです。記念館があるそうですよ。
⑦靴箱に 毬栗ひとつ 秋思かな
ぽつんと置かれた毬栗。情景が目に浮かびます。ただ「毬栗」も秋の季語なので、惜しい!
⑧母のゐし畳照り映え秋さびし
いつも母が座っていた畳。いなくなってそこに秋の日が差し込んでと解釈した方が多かったのですが、作者曰く、月の光だったとのこと。そうなると「照り映え」にもう一工夫をという声がありました。
⑨馬もまた睫(まつげ)伏せゐる秋思かな
馬の長い睫にも人と同じような秋思があるように感じた作者。馬の優しいまなざしが伺えます。出雲大社の神馬との交流で感じた秋思でした。
⑩親指の先より秋思生まれけり
ちょっとシュールな一句。作者はおのずと知れますね(笑)啄木のようにじっと親指を眺めていたのかも知れません。手足の中でも親指が一番重要だとリハビリを通して感じられるそうです。そこから生まれた秋思。深いです。
⑪秋思わく吉田山荘賑ひて
京都にある元東伏見宮別邸の料理旅館。豪華な京料理をいただけます。にぎやかな京都にお一人での旅だったことで、かえって
秋思が忍び寄ったのかも知れません。
⑫姑の逝きて身深き秋思かな
107歳のお姑さんを見送られた作者。いろんな確執があったそうですが、最後の言葉を思い返すと我が身の行く末も考えさせられたそうです。「身深き」に全てがこもっていますね。
⑬雲流れ飽かず眺むる秋思かな
飽きることなく眺める雲の行方。どこか人生そのものを感じるまさに秋思らしい一句。
⑫里の秋 落ち葉踏みしめ なに思う
めっきり人も訪れることもなくなった里の秋。落ち葉を踏みしめる足音だけが聞こえます。やや説明的なのでその音だけに焦点をあてるとよいとのアドバイスがありました。
⑮旧姓や呼ばれて秋思うわのそら
下五の「うわのそら」にもうひと工夫との声がありました。
⑯取り込みし干し物冷やり秋思かな
あんなに暑かった夏の洗濯物とは全く違う、ひんやりした感触に秋の淋しさを感じられました。「干し物」を具体的にした方がいいとの声あり。
⑰頬杖にちょっと秋思のポーズして
おしゃれな一句。広隆寺の弥勒菩薩のような感じでしようか?ロダンの「考える人」の真似でした。
いかがでしたでしょうか?いろんな秋思がありました。
なんとなくもの悲しく故郷が恋しくなる「秋思」。大和言葉では「秋あはれ」「秋さびし」というそうです。
そんな感傷的な気持ちをいかに具体的なものと合わせるかがポイントになった句会でした。
ちなみに自由題では「秋思などなぎ倒してのトライかな」に票が集まりました。人生色々あるけれど、なぎ倒して行きましょう!
来月のお題は「落ち葉」「落葉」です。こちらは具体的。これにはどんなものに合わせるといいのでしょうか?
それでは、本日これにて秋思ならぬ終止です。
次回は11月20日(水)午後1時20分 愛知芸文センターでお待ちしています。尚、随分先の話ですが、
来年1月は、イレギュラーで第4水曜日の1月22日となりました。 麗
久しぶりにすみさんも参加され、郁子さんからは広島の紅葉まんじゅう、佐保子さんからは、京都の吉田山荘のクッキーのお土産を頂きにぎやかな句会となりましたが、2時間内で全ての句を論評するのは少し窮屈という声もあがっています。
句会の楽しさは、あーだこーだ言い合う雑談の中にありますもんね。少し進行が変わるかもしれません。
では恒例の一言講評です。「秋思」という人生の儚さを感じる秋のなんだかぼんやりした淋しさは意外に難しいお題でした。
題詠「秋思」
①吾が秋思メトロノームに急かされて
カチカチと規則正しく刻むメトロノーム。「人生の時間」というものを意識させられなんだか焦ってしまう気持ちでしょうか?
②素描する筆先にある秋思かな
素描と秋思がよく合うという声が多かったです。繊細な筆先にも秋思が宿ります。何をデッサンされているのか気になります。
③捨てられぬカセットテープ秋思あり
どうしても捨てられないカセットテープ。声や歌や思い出が詰まっています。もうカセットデッキもないので再生方法もないのですが。。
④レジかごのかさ減るたびの秋思かな
子供たちも独立し、スーパーのレジの会計ですっかり量が減った買い物かごに秋思を感じました。消費増税ととった方も。
⑤秋思あり肩に雲おき御嶽山
5年前に噴火した御嶽山。毎日のように御嶽山を眺める作者。御嶽山の肩にある雲の中に、もしかしたら行方不明の方がおられるのでは?という気持ちになったそうです。人間にも秋思があるように、山には山の秋思がある気がしました。
⑥玻璃戸より浅間眺めし虚子秋思
下五の「虚子秋思」が絶品。語呂もいいですね。自分の秋思を虚子に託しています。ちなみに虚子は戦時中、長野県小諸市に疎開しておりそこで厳しく美しい風土に触れ「小諸時代」という世界を築いたそうです。記念館があるそうですよ。
⑦靴箱に 毬栗ひとつ 秋思かな
ぽつんと置かれた毬栗。情景が目に浮かびます。ただ「毬栗」も秋の季語なので、惜しい!
⑧母のゐし畳照り映え秋さびし
いつも母が座っていた畳。いなくなってそこに秋の日が差し込んでと解釈した方が多かったのですが、作者曰く、月の光だったとのこと。そうなると「照り映え」にもう一工夫をという声がありました。
⑨馬もまた睫(まつげ)伏せゐる秋思かな
馬の長い睫にも人と同じような秋思があるように感じた作者。馬の優しいまなざしが伺えます。出雲大社の神馬との交流で感じた秋思でした。
⑩親指の先より秋思生まれけり
ちょっとシュールな一句。作者はおのずと知れますね(笑)啄木のようにじっと親指を眺めていたのかも知れません。手足の中でも親指が一番重要だとリハビリを通して感じられるそうです。そこから生まれた秋思。深いです。
⑪秋思わく吉田山荘賑ひて
京都にある元東伏見宮別邸の料理旅館。豪華な京料理をいただけます。にぎやかな京都にお一人での旅だったことで、かえって
秋思が忍び寄ったのかも知れません。
⑫姑の逝きて身深き秋思かな
107歳のお姑さんを見送られた作者。いろんな確執があったそうですが、最後の言葉を思い返すと我が身の行く末も考えさせられたそうです。「身深き」に全てがこもっていますね。
⑬雲流れ飽かず眺むる秋思かな
飽きることなく眺める雲の行方。どこか人生そのものを感じるまさに秋思らしい一句。
⑫里の秋 落ち葉踏みしめ なに思う
めっきり人も訪れることもなくなった里の秋。落ち葉を踏みしめる足音だけが聞こえます。やや説明的なのでその音だけに焦点をあてるとよいとのアドバイスがありました。
⑮旧姓や呼ばれて秋思うわのそら
下五の「うわのそら」にもうひと工夫との声がありました。
⑯取り込みし干し物冷やり秋思かな
あんなに暑かった夏の洗濯物とは全く違う、ひんやりした感触に秋の淋しさを感じられました。「干し物」を具体的にした方がいいとの声あり。
⑰頬杖にちょっと秋思のポーズして
おしゃれな一句。広隆寺の弥勒菩薩のような感じでしようか?ロダンの「考える人」の真似でした。
いかがでしたでしょうか?いろんな秋思がありました。
なんとなくもの悲しく故郷が恋しくなる「秋思」。大和言葉では「秋あはれ」「秋さびし」というそうです。
そんな感傷的な気持ちをいかに具体的なものと合わせるかがポイントになった句会でした。
ちなみに自由題では「秋思などなぎ倒してのトライかな」に票が集まりました。人生色々あるけれど、なぎ倒して行きましょう!
来月のお題は「落ち葉」「落葉」です。こちらは具体的。これにはどんなものに合わせるといいのでしょうか?
それでは、本日これにて秋思ならぬ終止です。
次回は11月20日(水)午後1時20分 愛知芸文センターでお待ちしています。尚、随分先の話ですが、
来年1月は、イレギュラーで第4水曜日の1月22日となりました。 麗