575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

やわらかい記憶   麗

2019年10月31日 | Weblog
朝起きて、沖縄の首里城が全焼というショッキングなニュース。
14年前に訪れた首里城。心惹かれる場所でした。沖縄戦で全焼してようやく復元されて、2000年に首里城跡が世界遺産にも認定されていたのにとても残念です。また復元されるのに多くの年月を必要とすることでしょう。沖縄の人の心のよりどころとなっている首里城の復興をお祈りしたいと思います。

さて、先日10月28日の毎日新聞に漫画家の西原理恵子さんの「りえさん手帖」に「軟らかい記憶」という漫画コラムが載っていました。
夜、目を閉じると後悔や怒りや悲しみがやってきてしまう時に、自分の一番遠いものから順に、大切なやわらかい記憶を探すというもの。それは、いつ来るか分からないのにバス停でずっと待っていた祖父の姿だったり、初めて子犬を抱いた記憶だったり。
子供の頃の暖かいちょっと甘酸っぱい記憶を呼び起こしていくというもの。
そうすると幼かった頃の自分が満たされて穏やかに眠りにつけるのでしょう。

私にとってのやわらかい記憶。
それは小学1年生の時。母の病気が悪化し、夜に遠くの病院に緊急入院することになった時のこと。高熱が下がらずほとんど話すこともできなくなっていた母はタクシーで父と病院に行ってしまいました。母との別れがつらくて泣いていた私を6歳違いの兄が、壁に貼ってあった大阪府の地図を指さしながら、「今お母さんのタクシーはこの辺を走っているはずや。。。」と道路を指で追って教えてくれました。たったそれだけのことなのに、50年たってもその時の心細い感じと兄らしい素朴な優しさを思い出します。

大好きな「となりのトトロ」のアニメの中で姉妹がお母さんの見舞いに行くシーンがありますが、私は涙なくして見ることが出来ません。少し元気になった頃、ベッドサイドで母は私の髪をとかしてくれました。約4ヶ月、母は入院しましたが、私の誕生日の前の日に退院してきてくれました


秋晴れのぽかんとした時間、そんなやわらかい記憶がなぜか浮かんで来ます。

        秋晴れや心の隙間埋めていく  麗



コメント (2)
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