色とりどりの百合の花。百合の高さと車いすの高さはちょうどいい感じで園内を散策できると思いました。景がはっきりと見え、車いすを押す作者の優しさまで感じられました。
作者の郁子さんにこの句の思いをお聞きしました。
百合園で有名な千種公園。病気のお父様の車いすを押されていたのはお母さまだったとのこと。カラフルな百合とお父さまの病状とが思い出されるそうです。悲しい思い出の場所ですが、時間が経過して、今は美しい思い出の場所に変わっているようです。
皆様からのコメントです。
能登さん:映画の1シーンのよう。
等さん:お母さんではなくお父さんが・・というところが、何となく新鮮で良いですね。もうすぐ私もです。
この句のポイントは等さんがおっしゃるように母ではなく父というところだと思います。もし
百合園を母のせて行く車椅子
なら、花が大好きなお母さんの華やいだ雰囲気が感じられます。父にするとなぜか切なさが増します。
亡き母の面影よぎる夏の蝶
こちらは私の句ですが母が登場。選句の際に隣同士に並べてみましたが、断然、郁子さんの句がくっきりと映像が浮かびました。それにしても俳句の上での父母の違いって面白いですね。 麗子