「散歩、日傘をさす女性」は1875年にモネが描いた有名な絵画。我が家にもポスターがあります。最初の妻カミーユと息子のジャンが草原の中に立っています。
最初の妻を若くして亡くしたモネ。その後も彼女を思い日傘の絵画を残しています。モネと日傘は私も思いつきましたが、容子さんのこの句の上五の「愛されるとは」と直球で来たことに感心しました。「淑女立つ」も凛としていていいと思いました。
そしてもう一句。モネの日傘を詠んだのが
日傘より光あふれるモネ婦人 能登
光の画家と呼ばれたモネ。季節や時間の変化を光と色彩で追及しました。
下から仰ぎ見るような構図。逆光の中でドレス姿の婦人。日傘の向こうの青空と白い雲。まさに光があふれています。
竹葉さん:「日傘より光あふれる」という表現にあのオシャレな日傘を手に野原を歩く白いドレスの婦人がまざまざと目に浮かび、日傘をクローズアップさせた句でいいなーと思いました。
泉さん: 印象派のモネの絵画は光の表現が独特で、その中でも今回の題詠で日傘をさしている光景の絵が最初に思い浮かびました。
モネに愛された日傘をさすカミーユ。さて、こちらの君はどんな方でしょうか?
遠き日や日傘傾け笑う君 郁子
竹葉さん:日傘がなければ手を口に当てて笑っていたでしょうに、傘でちょっと隠してはにかんだ笑顔の彼女、可愛いかった姿が目に浮かびます。
佐保子さん:過ぎ去った青春の美しくも甘い思い出。漱石の「三四郎」」にもでてきてたかしら?
一見、甘い恋の句のようですが、実は日傘を傾け、幼き郁子さんの顔を覗き込んで笑ったお母さまのことを思い出して詠まれたようです。だから遠き日なのですね。日傘を傾けるのは女性らしい仕種に思えたとのこと。素敵な親子像が見えました。モネに描いて欲しい一瞬です。 麗子