立秋とはいえ猛暑の日々。ご自愛ください。<殿>
辻堂の叔母が亡くなりました。娘の従姉妹は独国のミュンスター在住のため、葬儀社の提案によりリモートで参列。優しかった叔母は日本橋の造り酒屋の生まれ。酷暑の隅田川に雲が流れていきます。
広島原爆の日である今日、
とりあげる句としては、やるせない気持ちになるかもしれません。
先日ようやく「黒い雨訴訟」が結審し、戦後76年も経とうというのに
まだ終わりを迎えていない原告団の方々がいらっしゃったことに私はショックを受けました。
7月句会の自由題に提出され、多くの選を受けたこの句は原爆の句ではありません。
作者をご存じの方はお分かりだと思いますが、
「生きる」というのはこういうことなのだと知らされる一句です。
皆さまからのコメントをご紹介します。
殿さま: 夫婦の生き様を淡々と詠んだ感動の句。鬼気迫るため他句が霞んでしまった印象。
麗子さん: ちょっと悲しい句ですが、梅雨末期というどうしようもない重苦しさに立ち向かう人生の覚悟のようなものを感じました。
千香子さん: とてもさみしい句ですが、同じ境遇にあり、共感が持てました。
亜子さん: 身につまされる一句。梅雨末期という言葉が重いが、梅雨が明ければ青空や白い雲が見られると思うと希望も感じられる。
紅さん: 人生の重みを感じました
能登さん: 頑張ってください
この句に、作者の思い、感情を表す言葉はひとつもありません。
夫と生きをりとあるだけです。
「羸痩(るいそう)=疲れて痩せる」
難しい単語ですが、梅雨末期という季語と響き合い
夫婦の日常と覚悟を想像させる深みのある句だと思いました。
今を「生きをる」自分の役割を、今日は考えさせられる一日となりそうです。郁子
自由題でトップ賞に輝いた能登さんの驟雨の秀句。
急に降り出したにわか雨。土の匂いを運んで来るというところに一同共感しました。
では、皆さんのコメントをご紹介します。
殿様:土風といえば黄砂のこと。
出典は平安時代なので古より黄砂に悩まされたのでしょう。
実は拙句で類似句を詠んでいます。
この雨の前に土埃が舞ったことを思いだしました。
連句のようでもありご紹介させていただきます。
「涼し風 いざなう雨の 蒼き夜」<殿>
郁子さん:雨が来るなというときはわかりますね。風だったり臭いだったり胸がざわつく瞬間がよく出ている。
亜子さん:驟雨が土臭い風を連れて来たと擬人化しているところがすばらしい。
晴代さん:今年は各地で雷豪雨が暴れました(土石流)。土臭きですんでよかった。
泉さん: 雨とともに風にのって土の匂いがする様子。
これだけの猛暑だと夕方の一雨はありがたいですが、このところのゲリラ豪雨は恐ろしいですね。熱海の土石流被害から一か月。行方不明の方の捜索に当たっている方に頭が下がります。麗子
久しぶりのブラ散歩。今回は静荷さんゆかりの地、愛西市に出かけました。静荷さんの俳号の荷は「はすの葉」という意味があるそうです。何度もお話に聞いていた蓮の田を見てみたいと思っていました。
「森川花はす田」という一面の蓮の田んぼ。陽山紅蓮という品種が見ごろでした。ピンクだけでなく舞妃蓮という白の蓮もありました。とにかく蓮の葉が大きく背が高い。まだ蕾のもの、満開のもの、咲き切ったもの。いろんな蓮の花が楽しめます。泥の中からあんなに清らかな花が咲くという不思議。
写真の奥に見えるこんもりとした森は古木江城跡です。織田氏の砦として築かれたそうです。一向一揆の場所であり、信長は弟の信興に鎮圧させようとしましたが、ここで討ち死にしたという説明書きがありました。
お土産にお隣の道の駅で新物の蓮根と蓮の切り花をを買ってきました。蓮の花は義父の初盆のお供え。蓮根は今夜、きんぴらにしていただこうと思っています。静荷さんはお元気でいらっしゃるでしょうか?
蓮めぐり浄土の香り漂いて 麗子
趣きに欠ける話ですが、都内の某所で見られる蛍は人工飼育されたとの由。とまれ、闇の中でゆっくりと点滅する冷たい光。冥界からのメッセージかもしれません。