京都二十四節気 その八 小満
万物が次第に成長して 一定の大きさに達して来る頃 新暦五月二十一日~六月四日(頃)
麦秋 (小満の自然)
麦の穂が熟す初夏の頃を、「麦秋(ばくしゅう/むぎあき)」といいます。麦は米と異なり、初冬に蒔かれ、5~6月に収穫期を迎えます。夏にもかかわらず「秋」と表現されたのは、「秋」という言葉に「百穀成熟の期」という意味があり、麦にとっては秋だと考えられたためです。人もそれぞれに実りの時がある、ということを教えてくれる季節なのかもしれません。京都でも、昔から水稲の裏作として麦が栽培されてきました。肥沃な平野が広がり、穀倉地帯として知られる大堰川の流域では、ビールなどの原料となる麦が作られています。
建具替え (小満の暮らし)
京都には、6月1日に住まいを夏用に替える「建具替え」の習わしがあります。吉田兼好が『徒然草』で「家のつくりようは、夏をむねとすべし」と記しているように、昔から高温多湿の夏をいかにやり過ごすかは、住まいづくりに求められる条件でもありました。特に京都は、三方を山に囲まれ、暑さが厳しいため、涼をとる工夫が凝らされてきたのです。襖や障子を取り払って葭戸(よしど)や簾(すだれ)に替え、座敷に網代(あじろ)を敷き、庭や玄関に水をまき、風鈴を吊るして音でも涼み……。都の納涼には、自然と寄り添う心が息づいています。
コンセプト
四季のある国、日本。
桜が咲くこと、雨が降ること、紅葉が散ること、そして雪が降ること。
日本人は、その美しい自然の変化を、つい百年前まで、二十四の季節に分け見つめてきました。
私たち日本人が使ってきた旧暦の中では二十四の季節に沿った年中行事や風習と共に、風雅な暮らしを楽しむ工夫や知恵がありました。
それと同時に、永遠にめぐる四季の中で移ろい変わっていくものと、その変化の裏にある不変のものを感じとってきたのです。
新しいものがあふれていく現代社会のなかで古くから日本にある伝統を見つめなおすことそれは、移ろう季節のなかから不変のものをみつけだすことと似ています。
ますます季節感が失われていくなかで、二十四節気の暦をつうじて自然の変化を敏感に感じとれる繊細な感性と伝統の素晴らしさとそれとともにある大切な文化を伝えていきたいと思います。
その四季折々の美しさに触れるとき、自然のなかから生まれてくるこの国の美しさを改めて見つめ、「美」と「伝統」にめぐり逢える誇りとよろこびを共にしていきたいと思います。
万物が次第に成長して 一定の大きさに達して来る頃 新暦五月二十一日~六月四日(頃)
麦秋 (小満の自然)
麦の穂が熟す初夏の頃を、「麦秋(ばくしゅう/むぎあき)」といいます。麦は米と異なり、初冬に蒔かれ、5~6月に収穫期を迎えます。夏にもかかわらず「秋」と表現されたのは、「秋」という言葉に「百穀成熟の期」という意味があり、麦にとっては秋だと考えられたためです。人もそれぞれに実りの時がある、ということを教えてくれる季節なのかもしれません。京都でも、昔から水稲の裏作として麦が栽培されてきました。肥沃な平野が広がり、穀倉地帯として知られる大堰川の流域では、ビールなどの原料となる麦が作られています。
建具替え (小満の暮らし)
京都には、6月1日に住まいを夏用に替える「建具替え」の習わしがあります。吉田兼好が『徒然草』で「家のつくりようは、夏をむねとすべし」と記しているように、昔から高温多湿の夏をいかにやり過ごすかは、住まいづくりに求められる条件でもありました。特に京都は、三方を山に囲まれ、暑さが厳しいため、涼をとる工夫が凝らされてきたのです。襖や障子を取り払って葭戸(よしど)や簾(すだれ)に替え、座敷に網代(あじろ)を敷き、庭や玄関に水をまき、風鈴を吊るして音でも涼み……。都の納涼には、自然と寄り添う心が息づいています。
コンセプト
四季のある国、日本。
桜が咲くこと、雨が降ること、紅葉が散ること、そして雪が降ること。
日本人は、その美しい自然の変化を、つい百年前まで、二十四の季節に分け見つめてきました。
私たち日本人が使ってきた旧暦の中では二十四の季節に沿った年中行事や風習と共に、風雅な暮らしを楽しむ工夫や知恵がありました。
それと同時に、永遠にめぐる四季の中で移ろい変わっていくものと、その変化の裏にある不変のものを感じとってきたのです。
新しいものがあふれていく現代社会のなかで古くから日本にある伝統を見つめなおすことそれは、移ろう季節のなかから不変のものをみつけだすことと似ています。
ますます季節感が失われていくなかで、二十四節気の暦をつうじて自然の変化を敏感に感じとれる繊細な感性と伝統の素晴らしさとそれとともにある大切な文化を伝えていきたいと思います。
その四季折々の美しさに触れるとき、自然のなかから生まれてくるこの国の美しさを改めて見つめ、「美」と「伝統」にめぐり逢える誇りとよろこびを共にしていきたいと思います。