【まくら】
太田道灌は1432年に生まれて86年に亡くなった人だから、江戸時代ではなく室町時代の人である。
しかも丹波国の出身で、江戸とは何の関係もないように思えるが、江戸城を築いて自分の居城とした。つまり江戸の基礎を作った人なのだ。
江戸城のあたりには12世紀から江戸氏の居城があったが、道灌が居城としてから本格的な城が建設された。
三つの郭を作り、空壕をめぐらせ、北側には険しい崖と深い水壕があったという。
道灌は扇谷上杉氏の家来で、主君とともに長尾景春と戦い、江古田、沼袋でその乱を平定する。
また武蔵小机の城と鉢形の城も攻落して関東の武士達をまとめていったが、最後は暗殺される。
僧侶や文人との交流が深く、かなりの文化人だったという。
今日では、山吹のエピソードは早稲田面影橋のあたりとされているが、実話かどうかはわからない。
出典:TBS落語研究会
【あらすじ】
隠居の家に遊びに来た長屋の主に、掛け軸の絵を見て説明する。太田道灌公の絵で、狩りに出てにわかに降ってきた村雨に、道灌公が困惑していると一軒のあばら家を見つけた。
二八あまりの賤の女(しずのめ)が出てきた。
雨具と所望すると顔を赤らめ奥に入り、出てきた時には盆の上に山吹の枝を載せて「おはずかしゅうございます」と。
「それはないだろう、蓮の葉なら判るが山吹の枝では雨よけにならない」、おまえも判らないが、道灌公も判らなかった、その時家来の一人が「それは、
『七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)ひとつだになきぞかなしき』
と言う古歌になぞらえて雨具のない事の断りでしょう」と説明をした。
道灌公は「余は歌道に暗い」と嘆かれた。その後勉学に励まれ日本一の歌人になった。
その歌を書いてもらって、傘の断りの歌にしようと持って帰ってきた。
村雨が来たので、いろんな道灌が居る中に、家に飛び込んできた友人の道灌が居た。借り物をしたいと言う。
「傘だろ」、「傘は持っているから、提灯を貸してくれ」と言う。
「提灯は貸すから、傘を貸せと言え」という。そのように「じゃー、傘を貸してくれ」と言うと、先ほどの歌をチンプンカンプンに読み下すが、「都々逸か?」というほど、お互い意味判らず、そのような相手に「おまえは歌道が暗いな」と言うと
「角が暗いから提灯を借りに来た」。
出典:落語の舞台を歩く
【オチ・サゲ】
地口落ち(地口とは駄洒落。同じ音を持った別の言葉と結びついて終わるもの。落語では最も多い。折角の噺が駄洒落で終わるというので、評論家の評判はあまりよくないように見えるが、盛り上がったところでパッと切って捨てる見事な落ちになっている場合が多い。)
【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『急がずば濡れざらましを旅人の、あとより晴るる野路の村雨』
【語句豆辞典】
【太田道灌】室町時代中期の武人で歌道の達人。江戸城・川越城の創設者。
【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・三代目 三遊亭金馬
・五代目 柳家小さん
【落語豆知識】
【トリネタ】トリで演ずるのにふさわしい大物の噺。
太田道灌は1432年に生まれて86年に亡くなった人だから、江戸時代ではなく室町時代の人である。
しかも丹波国の出身で、江戸とは何の関係もないように思えるが、江戸城を築いて自分の居城とした。つまり江戸の基礎を作った人なのだ。
江戸城のあたりには12世紀から江戸氏の居城があったが、道灌が居城としてから本格的な城が建設された。
三つの郭を作り、空壕をめぐらせ、北側には険しい崖と深い水壕があったという。
道灌は扇谷上杉氏の家来で、主君とともに長尾景春と戦い、江古田、沼袋でその乱を平定する。
また武蔵小机の城と鉢形の城も攻落して関東の武士達をまとめていったが、最後は暗殺される。
僧侶や文人との交流が深く、かなりの文化人だったという。
今日では、山吹のエピソードは早稲田面影橋のあたりとされているが、実話かどうかはわからない。
出典:TBS落語研究会
【あらすじ】
隠居の家に遊びに来た長屋の主に、掛け軸の絵を見て説明する。太田道灌公の絵で、狩りに出てにわかに降ってきた村雨に、道灌公が困惑していると一軒のあばら家を見つけた。
二八あまりの賤の女(しずのめ)が出てきた。
雨具と所望すると顔を赤らめ奥に入り、出てきた時には盆の上に山吹の枝を載せて「おはずかしゅうございます」と。
「それはないだろう、蓮の葉なら判るが山吹の枝では雨よけにならない」、おまえも判らないが、道灌公も判らなかった、その時家来の一人が「それは、
『七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)ひとつだになきぞかなしき』
と言う古歌になぞらえて雨具のない事の断りでしょう」と説明をした。
道灌公は「余は歌道に暗い」と嘆かれた。その後勉学に励まれ日本一の歌人になった。
その歌を書いてもらって、傘の断りの歌にしようと持って帰ってきた。
村雨が来たので、いろんな道灌が居る中に、家に飛び込んできた友人の道灌が居た。借り物をしたいと言う。
「傘だろ」、「傘は持っているから、提灯を貸してくれ」と言う。
「提灯は貸すから、傘を貸せと言え」という。そのように「じゃー、傘を貸してくれ」と言うと、先ほどの歌をチンプンカンプンに読み下すが、「都々逸か?」というほど、お互い意味判らず、そのような相手に「おまえは歌道が暗いな」と言うと
「角が暗いから提灯を借りに来た」。
出典:落語の舞台を歩く
【オチ・サゲ】
地口落ち(地口とは駄洒落。同じ音を持った別の言葉と結びついて終わるもの。落語では最も多い。折角の噺が駄洒落で終わるというので、評論家の評判はあまりよくないように見えるが、盛り上がったところでパッと切って捨てる見事な落ちになっている場合が多い。)
【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『急がずば濡れざらましを旅人の、あとより晴るる野路の村雨』
【語句豆辞典】
【太田道灌】室町時代中期の武人で歌道の達人。江戸城・川越城の創設者。
【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・三代目 三遊亭金馬
・五代目 柳家小さん
【落語豆知識】
【トリネタ】トリで演ずるのにふさわしい大物の噺。