敷栲の・・・巻四・五〇七 駿河采女
敷栲の・・・巻四・五〇七 駿河采女
「敷栲の 枕ゆくくる 涙にそ 浮宿をしける 恋の繁きに」
校訂原点(漢字)
「敷細乃 枕従久々流 涙二曽 浮宿乎思家類 戀乃繁尒」
現代語訳と解説
「やわらかな枕からこぼれおちる涙が溢れて、私は水に浮かぶ思いで寝ていることよ。絶えぬ恋の苦しさで」
逢いたい、逢いたいという想いから、涙がとめどなくあふれて洪水になってしまいました。
だから私は泣きぬれてその涙に浮いて寝しまったのだと、報われない恋のせつなさを歌っています。
しかし、これは架空の恋だったのでしょう。
そうでなければ采女である作者は、罪になるような秘かな恋をしていたことになります。
采女とは、国々から天皇に献上され、仕えている女性のこと。
容姿端麗で 宮中でも華やかな存在ですが、天皇以外の方に恋をするなど、とんでもないことでした。
実際に、采女は人数も多く、その中で、直接天皇にお目通りすることなど、なかなか叶いません。
だから采女には“待ち続ける女性”というイメージもあるのです。
恋とは遂げても、遂げられなくても涙するもの。激しい涙から悲しみでおぼれてしまいそうな心が垣間見えてくるのです。
敷栲の・・・巻四・五〇七 駿河采女
「敷栲の 枕ゆくくる 涙にそ 浮宿をしける 恋の繁きに」
校訂原点(漢字)
「敷細乃 枕従久々流 涙二曽 浮宿乎思家類 戀乃繁尒」
現代語訳と解説
「やわらかな枕からこぼれおちる涙が溢れて、私は水に浮かぶ思いで寝ていることよ。絶えぬ恋の苦しさで」
逢いたい、逢いたいという想いから、涙がとめどなくあふれて洪水になってしまいました。
だから私は泣きぬれてその涙に浮いて寝しまったのだと、報われない恋のせつなさを歌っています。
しかし、これは架空の恋だったのでしょう。
そうでなければ采女である作者は、罪になるような秘かな恋をしていたことになります。
采女とは、国々から天皇に献上され、仕えている女性のこと。
容姿端麗で 宮中でも華やかな存在ですが、天皇以外の方に恋をするなど、とんでもないことでした。
実際に、采女は人数も多く、その中で、直接天皇にお目通りすることなど、なかなか叶いません。
だから采女には“待ち続ける女性”というイメージもあるのです。
恋とは遂げても、遂げられなくても涙するもの。激しい涙から悲しみでおぼれてしまいそうな心が垣間見えてくるのです。