【原文】
子曰、聖人吾不得而見之矣、得見君子者、斯可矣、子曰、善人不得而見之矣、得見有恆者、斯可矣、亡而爲有、虚而爲盈、約而爲泰、難乎有恆矣、
【読み下し】
子の曰わく、聖人は吾れ得てこれを見ず。君子者(くんししゃ)を見るを得ば、斯れ可(か)なり。子の曰わく、善人は吾れ得てこれを見ず。恒ある者を見るを得ば、斯れ可なり。亡(な)くして有りと為し、虚(むなし)くして盈(み)てりと為し、約にして泰(ゆたか)なりと為す。難(かた)いかな、恒あること。
【通釈】
先生が言われた、「聖人には私は会うことはできないが、君子の人に会えればそれで結構だ。無いのに有るように見せ、空っぽなのに満ちているように見せ、困っているのにゆったりと見せているのでは、難しいね、常のあることは」
【English】
The Master said, "A sage it is not mine to see; could I see a man of real talent and virtue, that would satisfy me."
The Master said, "A good man it is not mine to see; could I see a man possessed of constancy, that would satisfy me.
"Having not and yet affecting to have, empty and yet affecting to be full, straitened and yet affecting to be at ease:-it is difficult with such characteristics to have constancy."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。