【漢文】
子疾病、子路使門人爲臣、病間曰、久矣哉、由之行詐也、無臣而爲有臣、吾誰欺、欺天乎、且予與其死於臣之手也、無寧死於二三子之手乎、且予縦不得大葬、予死於道路乎、
【書き下し文】
子の疾(やまい)、病(へい)なり。子路、門人をして臣たらしむ。病、間(かん)なるときに曰わく、久しかな、由(ゆう)の詐(いつわ)りを行うや。臣なくして臣ありと為す。吾れ誰をか欺かん。天を欺かんか。且つ予(わ)れ其の臣の手に死なんよりは、無寧(むしろ)二三子の手に死なんか。且つ予れ縦(たと)い大葬を得ずとも、予れ道路に死なんや。
【通釈】
孔子が病で危篤状態になられました。
子路(しろ)は弟子たちに孔子の家来のフリをさせ、孔子の最後を立派に飾ろうとしました。
病態が少しよくなった時に孔子はおっしゃいました、
「私が病で臥せっている間に随分長く偽りを行っていたものだな、家来のいる身分でないのに家来のフリをさせるとは。一体お前は誰を騙そうとしていたのだ、天を騙そうというのか? それに私は家来達に弔われるよりは本来のお前たちによって弔われたい。私は王侯貴族の様な盛大な葬儀をしてもらえなくとも、道端で孤独に死ぬわけではないのだから。」
【English】
Confucius had got a critical illness. Zi Lu made other pupils pretend to be Confucius's vassals. When illness was better, Confucius said,"Have you been deceiving for a long time? I don't have any vassals. Who do you want to deceive? Heaven? I would rather be mourned by you as you are. Even if you cannot hold a grand funeral for me, I will not die on the roadside alone."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。