わが家から、100m余り歩くと、ある国道に出る。
国道というと、その道のように、車の往来が結構激しくて、大きな市や町同士を結ぶものだと思っていた。
ところが、である。
今から、15年前の秋に、紅葉を求めて福島県に行ったことがあった。
行先は、西郷村の甲子温泉付近。
剣桂橋の辺りがきれいらしいと知り、その場所を探していたら、見つけたのが国道の標識。
目が点になった。
車で行けない場所なのに、国道289号の青い標識がある。
「うそー!?」
なぜかというと、とうてい車が通れる道ではないから。
さらに歩いて進んで行くと、その標識は、山に入る道の入り口にも立っていた。
「こんな、車が通れない山道なのに、国道ってあるの?」
信じられなかった。
後で、こういうのを「点線国道」と言うのだと知った。
全国には、何か所かあるのだそうだ。
新潟県内には、車で通れない国道がほかにもある、と知ったが、その1つが、海の国道だった。
何度か佐渡へ行ったり来たりしているうちに、それを知った。
新潟―佐渡―上越が国道350号で結ばれている。
「海上国道」と言うそうだ。
佐渡の陸の上だけでなく、海上、佐渡汽船のフェリーの航路が国道となっているのだ。
これらのことは、自分が経験して知ったことだった。
今回、「国道の謎 」(松波 成行著;祥伝社新書 )という本を読んだ。
ほかにも、日本一短い国道や、階段国道などがあることなどを知った。
明治時代に谷川連峰を越える国道が建設されたことがあった話も興味深かった。
国道になる、ならないの理由を考察してみたり、外れていた理由を掘り下げてみたりという、専門性の高いところもあって、著者のこだわりが感じられた。
この本の後に、何冊か国道の不思議さについて書かれた本は出ているようだが、これがその先鞭となった一冊のようだ。
なお、私たちが見つけた場所の国道289号は、平成20年に甲子トンネルが開通して、点線国道が解消してしまったとのことも、本書に書いてあった。
そうかあ、それはちょっぴり残念だな、と思ったのであった。