山野草の花見と言えば聞こえはいいが、要するに雑草の花見が好きな私だ。
過酷な環境の中でも生きて、花を咲かせ、種や地下茎などで、子孫を残していく。
その生命力には引きつけられるものがある。
そんな雑草たちのたくましさを感じさせる絵本がある。
先日亡くなった、甲斐信枝さんの「雑草のくらし ーあき地の五年間ー」である。
あき地となったさら地に生えて生きる、雑草たちの話である。
最初は、メヒシバ。
それからオオアレチノギク、セイタカアワダチソウ、カラスノエンドウ、クズ、ヤブガラシほかの植物たちが登場する。
それら雑草たちの、あき地の五年にわたる栄枯盛衰が描かれている。
どのページも、雑草たちの絵が丁寧に描かれ、迫力がある。
雑草の1つ1つの絵には、その雑草の名前が小さく付記されているので、どんな雑草がどんな名前なのか、よく分かる。
そういったところに、目立たない雑草などに対する著者の愛情を感じる。
1985年に初版が出ているが、版を重ねて今も販売されているのは、子どもから大人まで楽しめるからだろう。
93歳で亡くなられた甲斐信枝さん。
素敵な絵本をありがとうございました。
合掌。