ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「VISION 夢を叶える逆算思考」(三苫薫著;双葉社)で、三苫選手のプロフェッショナルさを知る

2023-12-24 22:11:21 | 読む

今をときめく三苫薫選手の著書である。

表紙からページをめくると、大きく最初に出てくるのは、あの有名な「三苫の1ミリ」の写真。

そして、日本代表やブライトン、サン・ジロワーズ、川崎フロンターレなどでの写真のページが合計8ページ続く。

 

文章は、最初に「プロローグ プロサッカー選手を目指す子供たちに伝えたい3つのこと」から始まる。

僕には、 「後世に語り継がれる選手になる」という目標がある。

心の中には常に「人生は一度きりなんだ」 「サッカー人生も残りの人生も悔いなく終えたい」という思いがあり、だからこそ、サッカーをやっているからにはできるだけ上に行き、多くの人の記憶に残る選手になりたいと思っている。

 

今、僕が何を考えているか―その答えは2023年1月にJPFA最優秀選手賞をいただいた時に、海外に挑戦してみたい子供たちに向けて送った「3つのアドバイス」の中にある。

として、

1つ目「自分にしかない武器を持つこと」

2つ目「自分を分析する力」を身につけること

3つ目「毎日の努力を積み重ねる」

を挙げている。

 

本書の書名になっている「逆算」という言葉は、プロローグの中で、次の文章に初めて出てくる。

僕自身、小さい頃から夢を持ち続けていた。そして、そのためにすべきことを毎日実践してきた。「将来なりたい自分」にたどり着くために逆算をして、技術やフィジカルといった選手としての能力を伸ばす計画を立て、色々な知識や考え方を学び取りながら、成長してきたのだと思う。

…それで書名の最初に「VISION」と書いてあったというわけだ。

 

本章は、次の8章から成る。

第1章 / サッカーとの出会い

~三笘薫を作った少年時代の「ドリブル基礎練習法」「三笘家の教育」「食事」~

第2章 / 川崎フロンターレ「ジュニア」・「ユース」

~プロを目指すための「利き足練習法」「目標シート」「1試合に集中するメンタル」~

第3章 / 筑波大学

~「プロに行かずに実現した肉体改造法」「三笘ドリブルという武器と型」「世界に最速で行くための伸ばし方」~

第4章 / Jリーグ 川崎フロンターレ

~「得点力を伸ばした頭を使うコンビネーションの考え」「もう一つの武器・アウトサイドパス」「強者のメンタリティ」~

第5章 / 日本代表

~「ワールドカップ激闘の裏」と「個のボールを握るサッカー」、三笘の1ミリを生んだ「ゲームを読む力」、多くの人に伝えたい「あきらめない力」~

第6章 / ベルギーリーグ ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ

~"世界基準"のサッカーに勝つ「エゴの活かし方」「上昇志向メンタル」「背負うドリブル技術」~

第7章 / プレミアリーグ ブライトン

~「ゴールの軸と新しい型」「ドリブル」「自由自在のプレー比率」~

第8章 / 僕を作るメソッド

~「逆算思考法」「フィジカル・トレーニング法」「食事メニュー」「メンタル」「睡眠」「走り」~

 

そして、それぞれの章の中で、いくつか見出しを付けて項を起こして述べている。

その見出しに毎回リード文ともいえる文をつけ、問題提起のようにしているのが読む気にさせる。

各章では、幼少のころから現在までの選手のサッカー選手としての歩みが順を追って綴られる。

そして、その折々に出合った考えや経験したことから何を学び、自分はどう努力してきたのかが明らかにされている。

また、章の最後のページに「まとめ」が必ずあるのも、学びを有効化しようとするようで面白い。

 

サッカー人生を語る本は多いが、そんなふうに構成されているせいで、結構字数が多いし、ページも多い。

だから、内容的に重複するように感じる文章も多いのだが、繰り返し出てくるものは、彼が強調したかったことなのだろうなあ、と思った。

 

「夢を叶える逆算思考」とはいうが、サッカーをしながら、彼は様々な経験をしていく。

ただ、感心するのは、逆算思考そのものよりも、非常にポジティブだということだ。

時には不遇な体験もするのだが、それも「なりたい自分」になるために必要なことととらえて乗り越えてきている。

だからここまで力を伸ばしてきたのだろう。

 

また、専属のトレーナーや栄養士と契約して日常生活やピッチ外での不安を取り除く工夫をしていることも初めて知った。

そうやって、体のケアや食事の管理まですることで、自分の理想とするサッカーができるように努力しているということだ。

 

そんなことは一端にすぎないが、三苫選手は考えすぎるくらいきちんと考えてサッカーに向き合っていることがよく伝わってきた。

そんなことまでするのか、してきたのか、と、長いページをあきずに読み終えることができた。

プロはここまで考えるのか、ここまでするのか、と分かり、なるほど自分にはここまでできないな、と思ったのであった。

だけど、彼は、最初のプロローグで、次のようにも書いていた。

僕には、「自分が学び取ってきたことを、次に続こうとする日本人選手や子供たちに伝えたい」という気持ちが強くある。また、これまでの自分の歩みを振り返ることは、この先の自分の進み方を自身が整理することにもつながると思う。

本書では、 僕のサッカー選手としての歩みを振り返りつつ、 普通のサッカー少年だった僕が、その時々で自分の目標や理想像に向かって自身をアップデートしていった考え方や練習法、フィジカル、メンタル、食事、教育法、言葉、海外挑戦などすべてについて書いている。なぜ体の小さかった僕が大学卒業後に、日本代表や世界最高峰のプレミアリーグでプレーできるようになったのか?本書がサッカーに励む子供たちや中学、高校、大学の選手、さらにはお父様、お母様、指導者の方々、そしてビジネスパーソンなどを含むすべての人の一助となれば幸いだ。

だから、本気になってプロを目指す人、プロフェッショナルを目指す人には、指針となる1冊かもしれない。

 

そんな三苫選手、先日の試合でけがをしたのが気がかりだ。

大きなけがでないことを祈り、今後のさらなる活躍を期待したい。

コメント (2)
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