今日のバッハは「クラヴィーア練習曲集 第4部」、つまり、「ゴルトベルク変奏曲」(BWV988)です。演奏はフランスのチェンバロ奏者ブランディーヌ・ランヌーで、2010年の録音です。このランヌーの演奏をはじめてきいたとき、驚いたのはそのテンポ。おどろくほどゆっくりで、解説書の演奏時間をあわててみてみると、なんと6分54秒とあります(くり返しは励行)。変奏曲ははやめのテンポが多く、アリアのテンポのおそさがいっそうきわだちます。テンポもそうですが、さらにおどろかされるのは装飾。アリアも変奏曲もくり返しでは装飾が多数挿入。あざやかな装飾はきいていて楽しく、きき手を飽きさせることがありません。奏者のランヌーは、1966年、クレルモン・フェランの生まれ。ボブ・ファン・アスペレンやグスタフ・レオンハルトに学んだということです。録音での使用楽器は、アンソニー・サイデイとフレデリック・バルの1988年製チェンバロ(ルッカース=エムシュにもとづく)。録音もこのチェンバロの響きを美しくとらえています。
CD : ZZT111001(Zig-Zag Territoires)