今から35年前
1972年(昭和47年)
10月9日午前、
名瀬の街には、南南東の風が吹いていた。
9時、風速4.8メートルと記録されている。
名瀬 1972年10月9日
気圧1016.0 海面1016.9 24.1℃ 湿度 73 4.8 m/s南南東
「昨夜の雷雨がうそのような上天気だ」
と、作家島尾敏雄は、日記に書いている。
この雷雨は、気象庁の記録では、確認できない。
「空のどこからか、ピーイッと鳴く鳥の声がきこえていた。すがたは、みえなかったが、南へ飛んで行く仲間の群れにはぐれた さしばだ。しばらくその寂しげな鳴き声が耳からはなれないことだろう。島では「はぐれ鷹」といっているがあとはどうなってしまうかわからず気になることだ」
この日の午後は、島尾敏雄は市役所に行く予定。
「石垣島を通過するサシバの群れ」←たしかに、これを見ると、時期といい、数といい、奄美のさしばは、「はぐれ鷹」という気がします。
翌 10月10日
庭に赤とんぼがいっぱい飛び交っていたが、それも朝のうちだけで、あとはどこにいったかいなくなった。
屋上に出るとまわりの山のあちこちで一匹鳴きの蝉の声がきこえていた。ジー、ウェーッ、ジー。きょうも泣きじゃくりのようにきこえる」
10月25日
「快い秋の日差しが大気いっぱいに輝いているのに気がはれない。」
南海文化賞と毎日出版文化賞受賞のお祝い
夜になり、鬱が散り
「庭にイチュバネガタの鳴いている声がしみじみときけた。
天井に鼠の気配がしているが、ほんとうにどこからはいってくるのやら。」
この鼠のなぞとのたたかいは、続編最後のページ、翌年昭和48年11月1日までつづく。
まあ、おじさんは、いろいろなブログで、鳥や動植物の名前を覚えたのですが、島尾敏雄のこの日記でも、35年前の名瀬の街や人々のようすとともに、いろいろな、鳥や動植物がでてきます。
山でアサギマダラのマーキングが見つからないので、この本で、アサギマダラに関する記述を探したのですが、まだ見つけることができません(笑)
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ときどき見るのですが、
アサギネット掲示板では、
「10月14日、東京・中野区上鷺宮で吸蜜しているアサギマダラを見ました。」との投稿。マーキングは福島県でされたものと判明。
その下の投稿では、奄美大島 龍郷町 長雲峠で再捕獲されたアサギマダラも、東京のものと同じ人が長野県で放蝶したものと判明。喜界島で再捕獲されている。