『三屋清左衛門残日録』(みつやせいざえもんざんじつろく)google 藤沢周平 著
初出は「別冊文藝春秋」1985-1989 172-186号で、単行本は1989年9月 1992年文春文庫
←2007 4/05 第36刷 590円+税 tsutaya
平成5年(1993年)にNHK金曜時代劇で放映された
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読んだ本すべて、日記に書くわけではないのですが、
が、しかし、また、あまりおもしろくないな、と思った本でも、こうして書くこともある。
いつもよりおもしろくないと思ったのはなぜなのか?その理由を書こうと思ったのですが・・・速読のせいかな。(田舎、都会、男性 会社中心)
この本は、4~5日かけてのんびり読んでもよかったのですが(次に早く読みたい本が控えていたので)
ネットで検索しながら、苦手の速読に挑戦、1日ちょっとで読了。読書も一応進化している。
『三屋清左衛門残日録』は、『蝉しぐれ』などとならんで、藤沢周平の円熟期代表作とされる名品であるとされるのであるが。TVや映画、舞台などではいいのかもしれない。
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清左衛門(仲代達矢)は、江戸で前藩主の用人を勤めあげ、30年前の120石を270石にまで増やして隠居した”成功者”である。
国元での隠居生活のさびしさを気遣うよくできた嫁に文句はないが、亡妻に物言うようにはいかない、息子夫婦への小さな遠慮。
”喜和がいれば・・・また別だったろう”
それで時々通いだした料亭の若いおかみとの淡い恋。
藩の執政府内の権力争いにも、たのまれてかかわってしまう。
藩内でたよるべき人物をまちがえて今は落ちぶれた昔の同輩、金井奥之助(佐藤慶) のこと。
年老いて中風にかかり体がうごかなくなった幼馴なじみの「大塚平八」(河原崎長一郎 )。
いまだ現役で仕事にいそがしい友人、佐伯熊太(財津一郎)
若いころの友、小木慶三郎の左遷の原因が、自分が藩主に話した噂話と関係あると思い込み、夢の中でも苦しむ。
など。
『残日録』とは日記のことなので今でいえばブログにあたるのだろう。
親しいものが死に、老いの現実を実感する日々。
ものがたりの最後
嫁の里江(南果歩) に、「納屋から釣竿を出してくれぬか」
「かしこまりました」
「それからな」
清左衛門は、機嫌よく、もうひとことつけ加えた。
「平八がやっと歩く練習を始めたぞ」
今日の日記は平八のことを書くぞ、と清左衛門は思った。
ものがたりは「早春の光」でおわる。