この本は少し変わった本だ。おもしろかったのはそのせいか。
奥付を見ると、著者:51人の旅人、 発行:路上出版 住所:世界のどこかの路上 などとある。
2012年9月10日、初版発行。
この本は著者の一人で以前にも奄美を旅したお客様からいただきました。(このところの読書計画?がタイトだったので、きょうの読了となりました。
桁違いのお金と人手をかけて作ったであろうTVの旅番組では味わえない若者たち51人の旅と、その思い、それに人生までもが伝わってくる。ガイドブックや観光ガイド付きの旅では味わえない体験が上質な多数の写真、文章でつづられている。日本では想像がつかないハプニング、現地の人とのふれあいの記録、世界観が変わるような感動体験からは、同時に旅人の人生や「日本」もあぶりだされる。それぞれの著者で旅人自らレイアウトするという多数の写真の中には、思わず見入ってしまうものが多数あった。
夢の世界一周
日本にいる限り、出来ない理由は山ほどある。
仕事・・・年齢・・子供・・Myホーム
しかし、いつなにが起こるかわからない人生だからこそ、
「これから迎える人生のなかで間違いなく今が一番若いんだ!!」
と、ふたりは決断する。本書にはページがふっていない。
記事ひとつだけ選ぶのは、むづかしいが、最初から衝撃的で圧巻だったのは、中国のリタン(理塘)の鳥葬の様子。すでに地上で待機していて今かいまかと待ちきれない様子のハゲタカの群れのアップとそれを威嚇する解体人と立会人。
生々しい写真は割愛されているが、鳥たちの表情と、たんたんとした表現の文章で想像力をかきたてられ強い印象が残った。「そして最後には、鳥たちの羽以外何も残らない」。「清々しい気持ち」はやはり、現場とでは実感が異なるのだろう。鳥葬の現場のある広大な丘から歩いて20分ほどの町の様子が見える見開き2ページの写真。鳥葬には遺族の立ち合いは許されていないという。記事を読み終えてもう一度この写真に戻ってみると、さまざまなことを考えさせられるだろう。著者は、鳥葬が行われる日まで6日間待ったという。こんな旅もあるのかあ。
あと、インドもよかった。一度行っただけでは語りつくせないインドの魅力を写真控えめで語る。tabiのとりこになってしまうような語りは自分の人生についても考えさせられる。
ほか記事の中には、本書で語りつくせなかった体験を見ることができるブログなどのURLが紹介されてあるものもあり、旅好きでなくても、お値打ちの一冊だ。