『脱ニッポン記』――反照する精神のトポス(上) [単行本]
米田 綱路 (著)
この本は何から説明すればよいのだろうか。返却期限が迫り今日も時間がありません。
図書館5月の新着図書で確か郷土コーナーにあったと思う。
面白いのだが、分厚な上、上下二巻であつかわれるテーマ群も多岐にわたり、途中で集中力がつづかなくて、以下のリンクなどで大まかに内容を把握してから読んだ。
日本近現代史で、知らなかったこと、表に出てこなかった出来事、忘れ去られた出来事、著者は1995年1月の阪神・淡路大震災後から東日本大震災の年の12月まで北海道から沖縄まで各地と訪れる。
そしてその地で、本を中心とした地道な記録や表現をあつめ、それらを生み出した精神的いとなみを、もういちど明確な像を結ばせ震災後の現代社会に反照させる。タイトルと副題から、日本脱出でも、脱原発のデモでもないことが分かる。
「黙殺・隠ぺい・忘却・改ざんを繰り返してきた日本近現代史の現場」(序章)。
第2章●札幌、旭川から奄美、サンクトペテルブルクへ
ロシアに呼応した流民詩人の祖国(小熊秀雄)
忘れられた日本ロシア学の泰斗(昇曙夢)
革命の古都で遭遇した「ねじ釘の画家」(柳瀬正夢)
↑北海道のところで、奄美のロシア文学者、昇曙夢について以前このブログにも書いたことのある2冊の本に出会い、驚いた。読了したあとその部分だけを再読した。きょうこの時間内では書ききれないと思うので、備忘のために書き出した。
地元奄美でも、「忘却」の前に、あまりに知られていない加計呂麻島出身でロシア文学者、昇曙夢(のぼり・しょむ)。それでも、昇曙夢についての地道な研究が北海道でつづけられていてやがて改めて日の目をみることになるだろうということを聞いたことがあった。
なぜ北海道なのか。本書でそのヒントつかめた。本書でわかったことは、
小熊秀雄☆が勤めていた当時の旭川新聞社編集長が昇曙夢の実弟の昇季雄(ひでお)ということだった。先に上京した兄を頼って島を出た秀雄は早稲田大学在学中に学生運動のかどで大学をおわれ旭川新聞に身をよせた、ということである。P105。昇曙夢と早稲田大学、ロシア文学の関係は検索してみて下さい。
☆小熊 秀雄google(おぐま ひでお、1901 - 1940年)詩人、小説家、漫画原作者、画家。
昇曙夢の生涯について知る手がかりになる本で、本書で取り上げられている以下2冊をあげておきます。
amazon『ロシア文学者 昇曙夢&芥川龍之介論考』 [単行本]
和田 芳英 (著)amazon原郷の奄美―ロシア文学者 昇曙夢とその時代 [単行本(ソフトカバー)]
田代 俊一郎 (著)
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amazon 内容紹介
〈地震、津波、放射性物質汚染という三重の大災害に直面した私たちは、これから「以後」の思想を培うことができるだろうか。くりかえし希望を阻まれ、幻滅しても、やはり理想を掲げていわざるをえない。危機を回避しながら検証しつつ、新たな危機を取り除いて生きのびる――そこに人間の叡智が問われているのだ(「序章」より)〉――黙殺・隠ぺい・忘却・改ざんを繰り返してきた日本近現代史の現場が突きつける思想的課題と格闘し、「いまだ・ない」図の創造をめざす。
amazon 出版社からのコメント
人間の精神的いとなみと忘却の淵にある歴史的記憶について思索した随想録。上巻は〈北海道~東・中部日本〉編。3・11原発震災が炙り出したものとは。
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登録情報
単行本: 464ページ
出版社: 凱風社 (2012/9/30)
言語 日本語
ISBN-10: 4773637013
ISBN-13: 978-4773637014
発売日: 2012/9/30
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脱ニッポン記――反照する精神のトポス(上) 価格:¥ 2,940(税込) 発売日:2012-09-30 |