島/南の精神誌 単行本 – 2016/9/7
岡谷 公二 (著)
単行本: 605ページ 人文書院 (2016/9/7)
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amazon 内容紹介
原初の神社を求め、沖縄の御嶽から遠く朝鮮半島の堂まで、聖なる森を飽くことなく訪ね歩く、あるいは、自文明を厳しく否定した西欧の南方行の系譜をたどり、これと対比しながら日本人にとっての南の意味を執拗に問い続ける。半世紀を超える弛まぬ旅から生まれた思考。
読了から時間がたってしまった。小さな活字で分厚い本だが、内容的にも、まとめが大変なのだが・・。
沖縄の御嶽について
「なにもない、とは、全き帰依のあかしである。この場合、それは、空虚や欠失ではなくて、充溢であり、透明さであり、きわめて豊かな何かである。無が実となり、有が空虚に転ずるとは、沖縄の人々の信仰の根底にある逆説だと言っていい。」
これは、旅人(それも、内外長期にわたる)でなくては、思いつかない視点だろう。
西欧の画家・文人たちの南への系譜 P405
ドラクロア マネ モネ ピサロ ルノワール ゴッホ ゴーギャン
南洋に渡った日本人画家たち 戦前
土方 久功(ひじかた ひさかつ、1900年7月13日 - 1977年1月11日)は、日本の彫刻家・ 民俗学者である。パラオ等広く南洋に取材し、民族学的資料を多く残すとともに、芸術 作品のテーマとして作品を残した。
土方の弟子の杉浦佐助
中島敦(小説家)1941年(昭和16年)パラオ南洋庁へ教科書編纂掛として赴任。33歳の若さで死去
P324 南島の真の表現に達した画家は、日本画家田中一村ただ一人である。
一村に関しては、これだけで、島尾敏雄にも触れているが、もの足りない。”自文明を厳しく否定した西欧の南方行の系譜をたどり、これと対比しながら日本人にとっての南の意味を執拗に問い続ける”のだが、日本が、南的要素を色濃くもっているとの結論からすると、納得するしかないのか。