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きっと季節の花がその時々浮かべられるのだろうと思う。
真竹に手を差し伸べるような梅の枝にはほころびかけた花が、里の春を知らせてくれる。
座敷にはグループごとの席が用意され、正座できないことを告げていた私の席には、丁度いい高さの座椅子が用意されていたことも嬉しい。
背もたれに分厚い座布団が添えてくれていたので、楽に座れる。
銘々盆に敷かれた和紙には、飛鳥の万葉の歌が主の手で書いてある。
四人とも違った歌なので、カメラに収めた。
箸紙の頭に、赤い実を付けた一枝が添えてあるのもおもてなしの心を感じる。
「何の実だろう」と手にとって眺めていると、尾上ツヤ子先生が、「これ、そよごの木の実」とすぐ言われた。
万葉集に出てくるのかしら・・・お尋ねしたらよかったと今、これを書きながら悔やんでいる。
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部屋の隅の番傘の明かりがほのかで美しい。
食事は茶粥懐石で、「明日香風」と名づけてある。
禄高の、口取り、煮物、焼き物に続き、お椀、お造り、茶碗蒸し、揚げ物の次に出たのが、香の物と茶粥である。
大和の茶粥は、小さい頃からの朝食であった。
祖母の味であり、母の味である。病気の時は白粥を別に作ってくれたが、茶粥は朝の常食として、育ってきた。
だから、ここでその懐かしい味と出会えたことがほのぼのとした暖かさに包まれることができた。
炊き込まれているのに、米粒がつぶれない炊き方は、難しいがうまく炊かれている。
「大和ならでは」と題したのは、この茶粥を食することが出来たからである。
勿論どのお料理も、食材を吟味して旬のものを生かされていて美味しかったし、四人で話題が弾んだのも楽しい時間だった。