|
途中正木坂道場の辺りの右の山際に「念ずれば花ひらくなる必ずや柳生街道来ます日待たむ」の歌碑がある。
さらに登ると、柳生宗規が父石舟斎の霊を弔うため、沢庵禅師を開基として建立したといわれる、柳生家の菩提寺・芳徳禅寺に辿り着く。
ここは元柳生家の居城の跡地といわれ、柳生の里を一望の下に見下ろす山王台上にある。
かきあげ城として地の利を得ている自然の天守閣といえる。
争乱の世に、大和、山城、伊賀の国境に位置し動静を窺うには、最適の地だったことだろう。
回廊式の広い廊下で角度を変えた庭が、本堂の中から見え、建具を介して目にする風景に趣がある。
花菖蒲園の人の賑わいの後だけに、訪れる人も稀なこの時期の芳徳禅寺に、「心の修行の場」のような気配を受けた。