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山田洋次監督、吉永小百合主演というのが、まず観たいという1番の理由であった。
その後テレビで、作品にに付いての二人の対談を観て、上映を待ちわびる気持ちがさらに高まっていった。
「良かったなぁ」
館内が明るくなった時、まだ涙で潤んだ目を拭いながら、同時に出た言葉だった。
この映画「母べえ」の時代は友人も私も、4歳から5歳にかけての時である。
しかしこの時代から日本は、第2次世界大戦へと走り続けることになっていく、実に悲しい開幕の時だった。
ドイツ学者の父と、二人の姉妹の母の和やかな幸せな家族が営んでいた家庭を、純粋な学者の戦争に対する考えを、治安維持法という国家権力によって奪われていく。
普通であるべきことが、普通でなくなっていく日本が歩んできたこの道は、絶対再び歩んではならないことであると強く思う。
獄中で、全く非人間的な扱いを受けながらも、残してきた家族を思いやる父と、夫の連行後、姉妹を守り明るく、決して悲壮感を表に出さず家族の絆を深めていく「母べえ」の生き様には何度感動の涙を流したことだろう。
そんな家族を支える、温かい人間関係が「母べえ」の回りにあり、これこそ現在失われがちな心の繋がりなのだと、温かい人達の言動にも感動の涙を流しながら、すっかり涙腺を緩めっぱなしだった。
ラストシーンで、「母べえ、天国へ行ったら、父べえや、山ちゃんに会えるよ」と言う成人した娘に、まさに虫の息の中で「あの世なんかで会いたくない。生きている父べえに会いたい」
獄中死した夫 父べえ、戦死した山ちゃんたちを奪い去った国家権力、最も人間らしく生きることを否定してしまう、戦争への怒りが、ふつふつを私の胸に込上げてくると同時に、「生きている人に会いたい」と言う母べえの言葉の重みに表現しがたい感動を覚えた。
もう一つ友人と帰りの車の中で話し合ったのは、「母べえ」に自分たちの母を重ね合わせて、戦時中、食べ盛りの私たちを育ててくれた、母の苦労や優しさ強さを思い、今更のように感謝の気持ちを持ったことだった。
とにかくもろに戦争と言うものを前面に出さずに、暖かいホームドラマのタッチで、見終わった後で、平和のありがたさ、普通の生活を失ってしまうことのない世の中であって欲しいと願う気持ちでいっぱいになるいい映画だった。
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昨日、友人と電話で、「映画も良かったけど、日も良かったなぁ。今日やったら、行かれへんか、行っても帰ってこれへんとこやったなぁ。」と。
「私も同じこと今思とったんやで」
雪の画像は、塀の瓦屋根の残雪。
明るい日差しに溶けていく。