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小さな旅の郷愁に浸れる大津港の花噴水を眺めるのが、ここに来る楽しみの一つである。
湖が夜の帳に覆われる頃、真っ暗な水面から弧を描くように上がる噴水は、花噴水と呼ばれている。
薄暮の中では、白い噴水であったのが、闇になってくるにつれて、ライトアップで色彩がついてくる。
風の向きや、強さでその飛沫が淡いカーテンのように透けてくる。
噴水が上がっている間、それを眺めている。
何度見ても、どの季節に見ても、花噴水の上がる琵琶湖の一風景は大好きである。
雲間から零れた太陽の光が、湖面の一部を染めている。
きらきら光るその部分が、この日の晴れに繋がっていくに違いないと、希望のスポットのように見えて嬉しい。
小鳥たちは、そんな人の行きかいにも、平気で遊んでいる。
大津港に停泊している、ミシガンと違った船を見た。
「うみのこ」と船体に書いてある。
いつかテレビで見た、琵琶湖の環境学習船「うみのこ」に違いない。
滋賀県の小学生は、5年生になると、必ずこの船に乗って、一泊二日の研修をするのだと、その時の微かな記憶の中にあった。
同じ船に乗るらしい別の集団もいる。
この子達は2日間船で琵琶湖を回りながら、どんなことを学び、身につけて行くのか、今環境問題が多くの危機を抱えていることを思うと、次世代を担う子供たちにとって、有意義な2日間となることだろう。
梅雨の晴れ間の「うみのこ」出航を、子供たちのために嬉しく思った朝の大津港だった。