カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

天の香具山と蓮 藤原宮跡

2012年07月27日 | ☆ ふるさと・大和
泥の中に根を下ろして地上では、こんなに美しく清楚な花を咲かせる蓮の花は、仏教と関連した逸話がいくつも伝えられています。
けれど万葉集には、蓮の詠が4首しかなくて、どの詠も信仰に関係なく素朴な状況を詠んだ詠だそうです。


もう10年も前、初めてここに来た時、緑の原っぱばかりの広いところに、この「宮跡」の説明板と、発掘によって分かった柱列の礎石の列の図などに、古代への想像が掻き立てられたのを思い出します。


   
藤原宮跡では、季節ごとに場所を変えて、宮跡のイメージにふさわしい花の植栽をしています。
夏の蓮の花ゾーンは、駐車場からずいぶん歩かなければなりません。
この暑い時もう少し近くまで車でいけたららくだなぁと、高齢になるにつれ、今年のような暑さの時には応えるようになりました。

毎年、花は違ってもバックにする山を、大和三山と決めてテーマのように撮っています。
今年はちょっと趣向を変えて見ました。
天の香具山 大和三山の一つです。天から降って来たという伝承があり、天(あめ)の香具山とも呼ばれます。橿原市と桜井市の境にあり、高さは148メートルです。
この山を詠んだ詠はおおくありました。
★作者: 舒明天皇
大和(やまと)には、群山(むらやま)あれど、とりよろふ、天の香具山、登り立ち、国見をすれば、国原は、煙立ち立つ、海原は、鴎立ち立つ、うまし国ぞ、蜻蛉島(あきづしま)、大和の国は

★作者:中大兄皇子
香具山は 畝火(うねび)雄々(をを)しと 耳成(みみなし)と 相(あひ)争ひき 神代より かくにあるらし 古(いにしえ)も しかにあれこそ うつせみも 妻を争ふらしき

★作者: 持統天皇
 春過ぎて 夏来たるらし 白妙の 衣干したり 天の香具山

★作者:大伴旅人
忘れ草、我が紐に付く、香具山の、古(ふ)りにし里を、忘れむがため

★作者不詳
 いにしへの、ことは知らぬを、我れ見ても、久しくなりぬ、天の香具山

★柿本人麻呂歌集より
 香具山に、雲居たなびき、おほほしく、相(あひ)見し子らを、後(のち)恋(こ)ひむかも

 


大和三山のうちでで、一番見つけにくい山ですが、このように、古の歌人によって、詠まれているのを集めながら、藤原宮跡に立って花を見るとき、この和歌を思い起こして眺めるのも、又、楽しみの一つになるといいなぁなどと思いながら、写真に古の歌人の詠を添えてみました。
コメント (2)
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