南津軽:秋田県境にある名湯。相乗温泉。相乗沢に湧出する4つの源泉を利用した温泉旅館だ。
半世紀前の相乗温泉はプールやループスライダーなどを配置し一大娯楽施設として名高かったが
その後、ブームが去り廃業した。その温泉を使用した施設が経営者が変わり出現。名湯が甦った。
映像:湯ノ沢温泉郷(今は消滅)の薬湯といわれた秋元温泉の混浴風呂(24年10月1日閉鎖)
秋田県境のいで湯の里:湯ノ沢温泉郷。かつては湯ノ沢山荘、なりや温泉、秋元温泉の
三つの湯宿が繋がっていたが国道側から湯ノ沢山荘、なりや温泉が相次いで閉鎖されて
今では一番奥の秋元温のみ営業となった。その秋元温泉も混浴の仕切り板が浴槽を分割。
【Data】含食塩ー硫化水素泉 53.5℃ PH6.4 源泉:秋元温泉
秘湯の宿日景温泉は雪深い杉木立の中にあった。冬場の湯治は
農閑期の農業の方、夏場は皮膚病などの治療目的の方が多いが
ゆっくりとお湯に浸かり体とお湯が会話することには変わりない。
泉質:硫黄食塩泉(含ホウ酸)48℃
参照:日帰り客も入る大浴場 ⇒ 日景温泉大浴場
再開:大館市の割烹が経営参加、現在白神矢立湯源郷の宿【日景温泉】としてリニュアル中
大滝温泉の老舗旅館:ホテル仙波に立ち寄る。以前、米代川の氾濫後訪れて以来だ。
当時は営業再開に多くの地元の支援があったと女将がいっていたが、その後の状況
を心配したが、米代川沿いの名湯は前の儘、広い楕円形の浴槽に源泉が溢れていた。
【Data】含食塩ー石膏泉 45.5℃ 源泉:大滝温泉 新5号泉
廃業:2017年春に友人が別件調査で訪れたら、廃業していたとのこと、やはり2回
の水害建物が疲弊、なによりも後継者がいないのと立ち寄り客の減少が主因
秋田県北の名湯といったら大滝温泉という答えが返るほど
古くから親しまれて来た温泉地。温泉井戸のそばに薬師様
を祭るほどの盛況の面影はいまはない。社の足湯も寂しい。
【Data】含食塩ー石膏泉 65.5℃ PH- 源泉:芒(ススキ)ノ湯
菅江真澄の記録には『すすきの出湯』と出てくる名湯が境
内足湯という形で遺されたのは、せめてもの救いなのだが。
映像:大滝温泉(大館市)のシンボル:薬師神社は変わらない温泉風情(2012.1.7)
厳冬の大滝温泉を訪問。目的は菅江真澄(江戸時代の紀行家)の
足跡の一つ大滝温泉の現況を把握することだ。菅江真澄は青森県
や秋田県の温泉地を巡った私の尊敬する温泉紀行家の一人である。
参照#大滝温泉でもっとも好きだったホテル仙波の湯殿
むつ市から東の尻屋岬を目指す。太平洋岸の東風は容赦なく吹き付ける。
尻屋崎灯台の麓に寒立馬が放牧されている。尻屋崎の風物詩ともされる。
尻屋ジオサイトの代表的景観。やがて冬、寒立馬はアタカ放牧地に帰る。
解説:寒立馬(かんだちめ)は厳しい冬にも耐えられるたくましい体格
の馬。南部馬の系統で、足が短く胴が長くて、ずんぐりしている
参照#冬のアタカ放牧地の寒立馬。
映像:下風呂温泉から薬研に向かうバイパスに雪が積もり桜回廊。
むつ市大畑地区にある国道バイパス。大畑町内をグルリ迂回
下北半島突端:大間崎に行く旅人には大助かりのバイパスだ。
そのバイパスに桜が植えられ、春には見事な桜の回廊となる。
参照:本州最北の桜ロード・大畑バイパス(下北半島R279)
映像:この部屋から津軽海峡、北海道、いさり火を眺め執筆した
作家:井上靖は小説「海峡」を執筆。その仕上げとも思われるのが長谷旅館に長期
滞在しての執筆活動。彼が宿泊した部屋は、海岸沿いにある長谷旅館の2F参号室
(海側)で、いつも人気でふさがっていた。
『・・・少しぬるかったが、少しぐらいぬるいことはいまの二人には問題でなかった。
躰の表面から、じわじわと湯が内部に向って浸透して來るように、杉原には感じら
れた。ああ、湯が滲みて来る。本州の、北の果ての海っぱたで、雪降り積もる温泉
旅館の浴槽に沈んで、俺はいま硫黄の匂いを嗅いでいる。・・・』(小説「海峡」より)
2012年正月長谷旅館硫黄泉は硫黄臭は当時とかわらないが、泉温は
激熱だった。測値は45℃当時とは掛け流し方法が違っていたと推測。
参照:井上靖が「・・・湯が滲みる」と唸った長谷旅館の湯殿(忘れじの温泉)
その後:2019年4月現在、残念ながら長谷旅館は解体更地となった。
長谷旅館を解体した時に、「井上靖の間2F三号室」は跡地に
建築の公共施設「海峡の湯」の二階に、保存展示されている。
映像:下風呂温泉長谷旅館の海の見える浴室は強烈な黄泉の湯だった。
下風呂温泉二日目の宿の浴室は大湯2号泉の源泉がかけ流されていた。
前日の宿の大湯源泉とは全く異なる湯質・湯感に驚きだ。下風呂には
これまで三種類の泉質と思っていたが今日からはこの2号泉で4種類と
訂正する。井上靖が「ああ湯が滲みる…」と表現したのはこの2号泉だ。
【 Data】硫黄泉 53.2℃ Ph2.27 源泉:大湯2号泉
文学:芥川賞作家・井上靖が小説「海峡」を執筆した温泉旅館。屹度
この旅館の強烈な硫黄泉に創作意欲も加速・倍増したのだろう。
津軽海峡冬景色・・・石川さゆりが絶唱する名曲を連想するだろう。
2012年下北半島側の津軽海峡冬景色も又味わいが深い。この画像の
奥には大間崎、右側には北海道が展望される。今日は風弱く波低し。
龍飛岬では風の音と、海鳴りの他は何も聞こえない
白と青のコントラストに演歌『津軽海峡冬景色』は
良く似合う。海の底岬の果てから悲しさが込上げる
・・・風の音が胸をゆする
泣けとばかりに
ああ津軽海峡・冬景色
竜飛岬、大間崎はそれぞれ灯台が灯っている。
この切ない歌謡曲を灯台を眺めながら歌う時
誰も理解してくれない、本当の自分が現れる。
・・・風の音が胸をゆする
泣けとばかりに
ああ津軽海峡・冬景色
下風呂温泉の名物と言えば・・・イカの刺身。24時間以内に捕れた
新鮮なイカの刺身が食膳を賑わす。豪華絢爛で余しそうな料理より
素朴な磯料理が素晴らしい。温泉たまご、ふ海苔汁、塩辛煮など等。
参照#下風呂温泉共同浴場「大湯」
新年あけましておめでとうございます
2012年の最初の映像は悩みに悩んで恐山宿坊の正面玄関に
鎮座している ”聖観音像” とした。それは、やはり、多くの霊
が集まる恐山で、昨年の東日本大地震の被害者を慰めるためだ。
聖観音像の周囲の黄金色は黄泉(よみ)の国の輝きを示す如く。
温泉に親しむものとして黄泉(よみ)という温泉が黄金に輝く
様運命を感ずるもの。東日本大震災被災者の霊の安らかを祈る。