映像:太郎温泉の主浴場。特徴的なのは真ん中にある湯口。奥がジャグジーで泡立。
三沢市のやや郊外の県道沿いにある。宿泊も兼ねるが三沢一熱い湯ということで
多くの市民が利用する。経営者は不動産業も営んでいたが、現在はどうだろうか。
筆者は三沢勤務時代によく利用。この時期三沢市内には十二の温泉施設があった。
【DATA】食塩泉 45.2℃ pH7.6 源泉:太郎温泉2号源泉
浴感:源泉温度が45℃なので、浴槽温度が三沢随一ということは、ほゞ源泉が
そのまま湯船に投入されているといって良い。なので源泉掛け流しと認定。
映像:左右に前山、神奈山を従えた妙高山はまるでお釈迦様の様だ。
日本温泉地域学会仲間柏崎の友人から勧められたのが妙高山の燕温泉。
2つの露天風呂が魅力。越後湯沢から一気に新潟県南の妙高山へ向か
う。途中様々温泉地を カーナビが示すが先ず目的を達成してからの探査。
妙高山はまるで両手を広げて迎えるような慈愛に満ちた山容であった。
深田久弥の『日本百名山』にはこのように記されている。
『…妙高山は越後の名山である。…その均整の取れた山容の気品と言い、
ドッシリとした安定した量感と言い、のびやかな裾野の雄大さと言い、
山としての名に恥じない。』・・・・・・・・・・・まったく同感だ。
記録:標高2,454m、頸城山塊山系、成層火山ランクC、越後冨士、
北信五岳、妙高戸隠連山国立公園
温泉#妙高山山腹に湧出する燕温泉『黄金の湯』
映像:共同浴場『駒子の湯』全景、小雨に建屋が濡れていた。
湯沢温泉街を車で流し、やっと、駒子の面影を見つけた。共同浴場『駒子の湯』。
平成に入ってからの共同浴場だが、裏通りは僅かに古い湯沢温泉の佇まいを残
していた。湯上り『雪国』の主人公島村になりきって散策、路地に駒子を探す。
【Data】含塩化土類ー食塩泉 57.3℃ PH8.0 源泉:湯沢町温泉管理事業第1配湯所源泉
浴感:駒子の湯に入ったのは夕刻のせいか、混み合っていた。上掲浴室は
公式HPから。空いていたら、この様なのどかな入浴体験が味わえる。
映像:映画 『雪国』駒子役の若尾文子(右)と葉子役の内藤洋子(左)のスチール写真
『 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。 夜の底が白くなった。信号所に汽
車が止まった。・・・ 』小説雪国の冒頭の名文。売れない作家島村と親しくなる芸者
駒子、若い芸者の葉子 ・・・この三人が織りなす温泉場での物語「雪国」。川端康成は
「伊豆の踊り子」でも温泉場での旅芸人らの交情を描いている。この時代は温泉場が
一番の娯楽場であり、社交之場であった。ここ湯沢温泉に駒子の影を追い求めたが
当時と余りにも変わった環境に片鱗もない。上越新幹線高架橋の轟音が時折響くの
み。上越新幹線越後湯沢駅余りにも都会に近すぎ温泉場はロマンの香りを失くした。
参照#川端康成(ノーベル文学賞)探訪紀行
映像:夏瀬温泉『都わすれ』貴賓室付露天風呂。周囲は開放感溢れる自然。
乳頭温泉郷にある妙乃湯の姉妹施設。田沢湖から角館方面に向って進み左に
曲がると、未舗装の山道に入る。その先6キロくらいで温泉地に到着。極上
の温泉施設が待っていた。桃源郷の様だ、スタッフ・設備といい申し分ない。
【Data】含石膏ー芒硝泉 40.3.℃ PH 8.3 150ℓ/m 源泉:夏瀬温泉
田沢湖ホテルイスキアで泉研恒例のセミナーが開催された。今回のテーマは『森のイスキアと湖のイスキア』。偶然に青森県の山間の温泉地と秋田県の乳頭温泉・田沢湖に『イスキア』の名の施設が存在。それぞれ経緯が違うけれど『癒しと温泉』が不思議な輝きを放つ。その対比を代表が解説。
(隊長)
映像:上越新幹線越後湯沢駅前の主水公園にある川端康成の文学碑
『国境の長いトンネルを
抜けると雪国であった
夜の底が白くなった・・・』 川端康成小説「雪国」により
いつかこの有名な一節の地へ足を伸ばしたいとズーっと思っていた。
文学を夢見た者ならファンでなくともノーベル文学賞作家川端康成
の足跡を辿りたいと思うだろう。まして、温泉愛好家となれば格別
にその思いが強いもの。雪こそないが憧れの越後の湯沢温泉に来た。
坂口安吾記念館の裏山に安吾の森。その中に文学碑がある。義理の兄と良く酒を
酌み交わした安吾はこの裏山を逍遥したのだろう。碑には次の様に記されている。
『夏が来て
あのうらうらと
浮く綿のような雲をみると
山岳に 浸らずにはいられない』
所感:夏の空に浮かぶ白いくも、誰しもがふんわり自由な気持ちになる風景を思
い浮かべて、安吾を偲ぶ。山岳信濃路今日はそんないい天気の一日なのだ。
松乃山温泉を探索中に、偶然にも坂口安吾の記念館を見つけた。坂口安吾の『白痴』は読んだ時、強烈な読後感があった。太宰治と並ぶ無頼派文学として一時期時代の寵児だ。この記念館は安吾の妻の実家。造り酒屋で裕福だった。館内に安吾の部屋があり、写真や作品が展示されている。
安吾の作品の中に「温泉」というのがある。その最後のくだり
『…人間というものは、…なんのために生きるか、なんのために仕事をするか、なんのために入浴するか、そんなセンサクを失った充足感において、こうしていることのあたたかさ、なつかしさを感じることがある。ここに宇宙あり、と大袈裟に云っても、とりわけ変とも思わないだろう。別に詐術ではない。種と仕掛はハッキリしている。一定の温度とその持続だけのことなのである。』
解説: 安吾が伊東温泉で温泉付きの住宅を借りた時の作品。その泉温が34.5度だったそうで、体温まで温めての入浴が彼の流儀らしい。我々の間で云えば、微温浴とういう入浴方法で、長時間入浴が心と体に療養効果をもたらす事は知られている。坂口安吾は残念ながら、温泉入浴以上に酒と生活の乱れで、脳溢血(48歳)で亡くなった。
映像:すっかり暮れた山間に、『日本秘湯を守る会』の提燈が浮かび上がる
栃尾又温泉から数キロ先にある温泉。佐梨川の渓谷沿い、越後駒ヶ岳を望む
地にらんぷの宿が提供する霊泉は源泉温度33度、炭酸も含み、夏の夜、ジッ
クリ味とわうには、最適のいで湯だ。川のせせらぎが唯一自然の存在を現す。
【Data】単純温泉 32.1℃ PH8.6 源泉:駒の湯温泉2号源泉
映像:栃尾又温泉の中心をなす薬師堂。真下にラジウム源泉「したの湯」がある。
三軒の旅館が運営する共同浴場の傍らに薬師堂がある。宿泊客の散策の中心とも
なるのだが、特に子宝祈願の方は夫婦欅をくぐり、子持杉をまたぐと効果がある
とされている。外界を忘れ、ゆっくりと心と身体を休めるに最適な癒しゾーンだ。
開祖:行基 ご利益:子宝授 堂守:自在館、神風館、宝厳堂
参照#栃尾又温泉「下の湯」
映像:放射能泉、微温湯長時間源泉入浴が独特の温泉文化の共同浴場「したの湯」。
栃尾又は三軒の旅館で2つの共同浴場を運営。今日はうえの湯が女、したの湯が男だった。
共同浴場というけれど、日帰り客には解放をしていない。増富ラジウム温泉と同じくらい
の効果が期待される。『命掛けでのお客様を大事にする』という亭主の言葉にある決意が
読み取れる。温泉とは癒しや健康増進は勿論、一部の方には病状回復の重要な方法となっ
ているのだ。それは秋田県玉川温泉も同様である。⇩栃尾又温泉郷へのエントランス景観
【Data】 放射能線 36℃ pH8.6 源泉:栃尾又一号泉
ラドン含有量:185×10-10Ci/kg(50.9マッヘ)
参考:本物の名湯ベスト100‐別格ぬる湯・冷泉の名湯(講談社現代新書:石川理夫著)
学術:日本温泉地域文化資産NO.60微温湯長時間入浴法(日本温泉地域学会編)
映像:足湯桟敷月美台(舞台)で粋な月岡音頭にあわせて踊る芸者さん。
今年の5月に完成した月岡温泉の新しい交流の場所。芸者さん達の踊りを
観客は湯足美(ゆたび)に浸かりながら鑑賞。おそらく全国でも此処だけ。
心地良い三味線の音曲鳴物に粋な芸者踊りが、観光客を楽しませてくれる。
Mémoireメモワール:東北名湯巡里 黒湯温泉(秋田県乳頭温泉郷2008.9.18)
乳頭温泉郷の秘湯中の秘湯が黒湯温泉。混浴の露天風呂がここの売りだろう。
先達川上流の源泉地帯は乳頭温泉郷の最最奥に位置し、まわりをブナの林に
囲まれ山の湯として親しまれ敷地内に源泉が湧出る河原があり湯小屋が囲む。
泉質:単純硫化水素泉・酸性泉 43℃ PH4.2 自然湧出
参考:本物の名湯ベスト100 ‐7乳頭温泉郷(講談社現代新書:石川理夫)
学術:日本温泉地域文化資産NO.20黒湯温泉の噴気地帯と湯治棟(日本温泉地域学会編)
参照#乳頭温泉塾(乳頭温泉郷休暇村2007.12.9)