三朝温泉:木屋旅館に内湯がいくつかある。夫々老舗旅館の趣だ。
その中の一つがこの河瀬の湯だ。外からの採光空間の湯で形状も
楕円形の湯殿にこの旅館の持つお湯への心遣いが感じられるのだ。
【Data】含放射能ー食塩泉 75℃ PH7.3 源泉:河鹿の湯
解説:木屋旅館は6つの源泉を保有して、それぞれの浴室・用途
に使用している。従って本ブログでも全てではないがそれ
ぞれの用途・湯殿を入湯源泉として紹介する事としている。
映像:木屋旅館の床底深くに静かに湧出する、ラジウム泉で身体を癒す。
三朝温泉木屋旅館を今宵の宿としたのには理由がある。同行の温泉友人
が選んだ。温泉の大家である彼は、当然踏破済みであるけれど是非とも
再訪し直近の温泉力を確かめたいのが本音。その名湯湯壺がこれなのだ。
【Data】含放射能ー食塩泉 75℃ PH7.3 ラドン62.7×10(10乗)Ci/㎏
解説:三朝温泉の老舗:木屋旅館は6つの源泉を保有して、それぞれの
浴室・用途に使用している。従って本ブログでも全てではないが
それぞれの用途・湯殿を入湯源泉として紹介することとしている。
映像:山陰第一目の投宿の木屋旅館周辺の温泉街景観
三徳川の右岸沿いは、三朝温泉街を形成している。日本
の温泉地では温泉街が無くなりつつある。私達、温泉地
活性化研究会はこうした温泉地の活性化に努力している。
三朝温泉の温泉宿:木屋旅館に荷をほどきさっそく温泉街へ。
まず見つけたのが組合員専用の『中湯』。残念ながら組合員
以外は入浴できないが佇まいからは中々の湯感が漂っていた。
【Data】食塩泉(含弱放射泉)65.9℃ PH6.9 源泉:町有混合タンク
映像:三徳川沿いの温泉街景観は川岸を掘ると温泉が湧出する「川湯」の代表的なもの。
今宵の宿は鳥取県の名湯:三朝温泉である。山陰一日目の強行スケジュールの終わりだ。
此処三朝温泉は多くの文人・墨客に親しまれた温泉地である。恐らく山陰随一の温泉地。
しかしかつての賑わいも今は程遠い。夕刻、散策する宿泊客も疎ら。寂しい限りである。
映像:はわい温泉の代表的な温泉施設「望湖楼」湖上展望風呂
もう日が暮れ始めた。今日の最後の訪問温泉地がはわい温泉。
東郷湖から湧く温泉を利用した温泉地東郷温泉の対岸にある。
この佇まい何処かで観た事がある。加賀温泉郷片山津温泉だ。
【Data】含芒硝・石膏ー食塩泉 46.9℃ PH7.18 源泉:はわい温泉
記録:この温泉地も昔は湖底から引き湯して温泉を楽しんだ
という。羽合町から、「はわい温泉」と呼称された。
鳥取県は全体として温泉県とはなかなかだが、個々の温泉地には魅力が満載だ。
その魅力を引き立てているのが紹介する地元民専用(ジモセン)の東郷温泉組合。
東郷湖畔周域にある。古くて鄙びた建物だが、ピュアな源泉が注ぐ湯壺が一つ。
【Data】含石膏ー食塩泉 63℃ PH7.6 源泉:東郷温泉
浴感:ジモセンとして管理され、入浴は叶わないが、外壁蛇口から流れていた
源泉は間違いなく東郷温泉のピュアな源泉であった。この様な湯小屋を
保有する地域住民を羨ましく、いつまでも地域健康福祉に寄与されたい。
参照#山陰温泉地データ・ベース
映像:路地裏の小さな共同浴場。散髪の後ここで体を浄めたら気持ちいいだろう。
不思議な温泉であった。温泉探査チームはまるで子供のように路地を抜ける。
実はこの温泉の管理をしているのが表通りの床屋さんである。勿論、ご主人
に一言ご挨拶のあと、細長い路地を鬼ごっこよろしく辿り着いた街中名湯だ。
【Data】含芒硝ー食塩泉(弱放射線)70.5℃ pH- 源泉:東郷温泉2,3,4号混合泉
ラドン44.2×10(10乗)CI/kg (平成4年の分析表のにはPH記載なし)
記録:温泉マニアの間ではこの共同浴場は日本一高温浴とされるが日本一という
形容は簡単には使えない。上位の高温浴とかに留めておくのが適当だろう。
湯村温泉の開祖といわれる慈覚大師の像が源泉公園の一角に鎮座している。
慈覚大師(円仁)は高僧最澄の弟子として全国を行脚し、多くの温泉地で
開祖とされている。有名なのは9か所この湯村温泉もその温泉地の一つだ。
慈覚大師が開祖とされる温泉地:湯村、恐山(開山)、薬研、浅虫、夏油、
赤倉、別所、城崎、湯郷。筆者も慈覚大師の足跡をたどり、温泉巡礼をし
ているが美作三湯の湯郷温泉だけは未湯である。
解説:日本の名湯秘湯の多くは自然湧出泉であり、修行僧、権力者、動物
などの発見伝説が多い。
映像:夢千代日記の夢千代像(吉永小百合がモデル)が温泉場を背景に建立されている。
山陰地方の日本海側は行政区分が立て込んでいる。福井、京都、兵庫、島根と分割され、
湯村温泉はその中の兵庫県に属している。知ってのとおり兵庫県は瀬戸内海側にも分布。
湯村温泉は二つの海の交差点的温泉地とも云える。そしてあの悲しいドラマが展開する。
夢千代日記:NHKの夜ドラで湯村温泉を舞台に白血病を病む温泉芸者の切ない恋愛ド
ラマ。吉永小百合は若いころ「愛と死を見つめて」という映画でやはり顔面癌の乙
女役を演じている。彼女の美しさはこの哀切な役柄で一層際立った様な気がする。
感動の映画:吉永小百合が演じた『愛と死を見つめて』は涙をなくしては観れない。ど
んなに愛し合っても死という肉体の崩壊からは逃げられない。恐怖に慄きながら
純愛を貫き死んでいった「マコ…甘えてばかりでごめんねミコはとっても幸せな
の」難病軟骨肉腫に冒された小島道子と3年間も支え続けた恋人高野誠の実話だ。
願い:湯村温泉の温泉街、荒湯公園、春来川周辺を逍遥すると温泉街の横丁から吉永小
百合扮する夢千代がフッと目前に現れる様な錯覚に。この街はいまでも息づいて
いる温泉場。全国にはこの様な温泉集落がある。いつまでも続いて欲しいと願う。
追悼:夢千代日記の作者・脚本家早坂曉氏が2017.1.16に死去。また昭和の星が消えた。
吉永小百合が「『夢千代日記』は早坂さんからいただいた大きなプレゼントでし
た。私の大切な宝物です」とコメントを寄せている。同時に湯村温泉の宝だった。
小雪舞う温泉街を夢千代扮する吉永小百合が傘を片手に通る。そんな、思いをこの像に
込めた設置した。NHK連続ドラマ『夢千代日記』以降の湯村温泉のシンボルは『夢千
代』。吉永小百合は名誉町民となり、街の至所に夢千代・小百合の記憶が置かれている
その奥がたまご用なかの湯壺。その奥が山菜茹で用のかみの湯壺。
筆者が山陰の温泉地の中、最も温泉景観と感じるのが夢千代の湯の里の荒湯である。九州では
別府八湯の温泉景観。関東甲信越であれば草津温泉湯畑、野沢温泉釜湯源泉公園、東北では
肘折温泉朝市、浅虫温泉源泉公園。それぞれ歴史と伝統、温泉文化の滔々とした流れを感じる。
映像:新装なった薬師湯の大浴場景観(by 公式HP)
湯村温泉薬師湯は移転・復元された。木造の荘重な構えである。
筆者は旧薬師湯に入湯していらい10年ぶりの訪問である。近年・
加賀温泉郷や草津温泉等で共同浴場の建て替え・復元が相次ぐ。
【Data】含食塩・芒硝ー重曹泉 79.7℃ PH7. 4
源泉:荒湯・薬師湯混合泉
参照#①湯村温泉荒湯景観②夢千代像(兵庫県湯村温泉:夢千代日記)
学術:日本温泉地域文化資産№.87「荒湯」(日本温泉地域学会編)
夢千代の里湯村温泉にやってきた。吉永小百合が扮する芸者夢千代は白血病
と闘い、儚い夢をこの温泉場で散らして逝った。太平洋戦争末期広島原爆投下
で山陰の多くの温泉地は療養・保養のため被爆者や後遺症患者を受け入れた。