(台風「ハイエン」接近に備え、強風で折れる前に切り落とした木の枝 “flickr”より By Richard Whitcombe http://www.flickr.com/photos/8705027@N03/10721339325/in/photolist-hkpEE2-hkqeqb-hkqhHq-hkpMMZ-hkqcis-hkpLBH-hjzZev-hj2vPe-hkoSRY-hjoD9e-hkk77V-hk6ZKx-hkmekj-hiRRhT-hk1Qc5-hkfSN9)
【瞬間最大風速85m】
フィリピン中部に猛烈な超大型台風30号(ハイエン)が近づいており、明日朝にも上陸する見込みです。
鹿児島に住んでいるいる関係で、台風の情報は気になります。
一般的には台風の被害としては雨による被害も心配されますが、小学生の頃、台風で自宅が傾いたことがあるせいで、風の怖さが先立ちます。
停電で真っ暗の状態で、強風によって家がミシミシきしむ恐怖は、胸を押しつぶすような圧倒的なものがあります。
ひたすら台風が通り過ぎるのを待つしかありません。
記憶が定かではありませんが、あのときの台風は、昭和40年の台風15号ではないでしょうか。
全国的にはあまり大きな被害を出していませんが、直撃された鹿児島北薩地方では、甑島で最大風速72mを観測しており、甑島や薩摩川内市内で多数の家屋が倒壊しました。我が家もそのひとつでした。
気象庁の記録を見ると、上陸(接近)時に中心気圧が低かった台風ベスト10のうち6個が鹿児島に上陸しています。
東京・大阪方面に近づく台風と違って、鹿児島付近では単に強いだけでなく、速度が遅く(時速10~20km、ときに停滞)、強風が吹き荒れる時間が長いという差異があります。
もっとも、近年は強い台風が近づくことは少なくなったような気がします。
先述の気象庁記録でも、強い台風の多くは1960年前後に集中しているようにも見えます。
ただ、いずれにしても、日本に近づく頃には台風は最盛期を過ぎて勢力はやや弱くなっているのが普通です。
その点、フィリピンあたりになると、最盛期の台風がそのままの勢力で直撃することもあるようでお気の毒です。
台風30号(ハイエン)は、日本の気象庁予測で、明日朝のフィリピン南部接近時の勢力は中心気圧905hPa、最大風速60m、瞬間最大風速85mとなっています。
日本に上陸(接近)した台風で最も中心気圧が低かったのが、1961年の第2室戸台風の925hPaですから、台風30号(ハイエン)の強さがわかります。
****超大型台風30号、フィリピン直撃の恐れ 住民が避難開始****
国営フィリピン通信などによると、西太平洋で超大型の台風30号(ハイエン)が発生し、同国中部に8日朝にも上陸の恐れがあり、被害が予想される地域で数千人規模の避難が始まった。
フィリピンを今年襲った台風では最大勢力となる可能性がある。
台風30号の秒速は約78メートルで、最大瞬間風速は約93メートルを計測。これらの風速は、米国や中米などを襲うハリケーンの最大規模に優に相当する。フィリピン上陸の際は約66メートルの超突風も予想されている。
同通信は地元警察の情報として、人口が密集する中部地域では台風上陸に備え住民2500人以上が7日未明までに避難場所へ移動したと報じた。レイテ島タクロバン市の住民が大半となっている。同市の人口は20万人以上。
7日午後の早い時間帯での暴風圏は直径約800キロの地域に広がる。数百万人規模の住民への影響が予想される。フィリピンの気象観測当局は7日、30号の襲来で20州以上で洪水や地滑りなどの被害が懸念されると警告した。
フィリピン中部のボホール島は先月、マグニチュード(M)7.1の地震に見舞われ、少なくとも222人が死亡、約1000人が負傷し、約35万人が居場所を失う甚大な被害が出ていた。
台風30号の進路に変化がない場合、同島を通過する恐れもある。
フィリピンは台風被害が多く、毎年平均で20個の被害に襲われている。甚大な災害も時に発生し、2012年に南部ミンダナオ島を直撃した大型台風では推定で最大1900人の住民が犠牲となっていた。【11月7日 CNN】
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上記記事にあるように、進路にあたっているフィリピン中部のボホール島は地震に襲われたばかりで、踏んだり蹴ったりです。
今朝のTVニュースでは、多くの被害住民がテント生活をしているとのことです。
もちろん、“瞬間最大風速85m”では、テントなんかあっという間に飛んでいきます。
通常家屋も相当数が倒壊するでしょう。
逆に言えば、テント生活の人々などはあきらめて早目に避難するでしょうから、台風の人的被害はむしろ少なくなるかも。
【インド:100万規模の避難で人的被害を抑える】
先月、インド東部を大型サイクロン「ファイリン」が襲いました。
この大型サイクロン「ファイリン」はインドを襲ったものとしては過去14年で最大、2005年にアメリカを襲ったハリケーン「カトリーナ」級の規模で、甚大な被害が懸念されていました。
この地域は、1999年にも大型サイクロンにより8000人以上が死亡しています。
このため、インド政府は過去最多の100万人ほどを事前に避難させるという大掛かりな避難対策をとり、その結果、死者数は十数人で済みました。
サイクロンが襲ったオリッサ州首相は「事前の避難措置の徹底が人的被害を最小限に食い止めた」と述べています。
何かと問題の多いインド政治・社会にしては、“珍しく”と言っては失礼でしょうが、なかなかの快挙で、日本やフィリピンも参考にすべきこともあるのではないでしょうか。
なお、建物などの被害は大きく、直撃されたオリッサ州では60万人が家を失っています。
****インド大型サイクロン、死者18人 上陸前の大規模避難が奏功****
インド東部沿岸に12日夜に上陸した大型サイクロン「ファイリン」による死者は少なくとも18人になった。当局者が13日明らかにした。
政府防災当局によると、 オリッサ州で17人、アンドラプラデシュ州で1人の死亡が確認された。オリッサ州防災当局の幹部は同州の死亡者17人はいずれも倒れてきた木や壁、屋根による圧死だったと語った。
ファイリンの被災地は1999年にもサイクロンで8000人以上が死亡し、農畜産業も大打撃を受けて復興に数年を要したが、今回は当局者らがインド史上最大だとしている大規模な避難が功を奏し、犠牲者を最小限にとどめることができたと言えそうだ。
オリッサ州で87万3000人、アンドラプラデシュ州で少なくとも10万人がファイリンの上陸前に避難した他、オリッサ州に隣接する西ベンガル州の沿岸部の住民も避難していた。(後略)【10月14日 AFP】
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