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(【ロイター COVID-19 TRACKER】イギリスのコロナ新規感染者と死者の推移)
【ワクチン接種普及で、新規感染者は増えても重傷者・死者は抑えられる】
新型コロナに関しては、日本・東京の感染状況に加えて、イギリスの感染状況を示す上記グラフに注目しています。
イギリスでは感染力の強いデルタ株の広がりによって6月以降、新規感染者は再び急増していますが、今のところ死者数はさほど増えていません。
これをワクチン普及の効果として、ジョンソン首相が感染者増加の中での規制廃止という決断を下していることは、7月6日ブログ“イギリス ワクチン接種進捗、死者激減を背景に規制撤廃し「コロナとの共生」に”でも取り上げました。
イスラエル政府は先週、デルタ株に対する米ファイザー製ワクチンの感染防止効果は64%、重症化や入院を防ぐ効果は93%と発表しています。
この情報が正しければ、ワクチン未接種もいますので新規感染者は増えるにしても、重症化して死亡に至る事例は相当に制御できるということにもなります。
****デルタ株拡大の影響、イスラエルと英国の前例から分かることは*****
米国で新型コロナウイルスの変異株「デルタ」の感染が拡大するなか、数週間前からデルタ株が優勢となっているイスラエルと英国の前例を基に、専門家らはワクチン接種の重要性を指摘している。
デルタ株はインドで最初に見つかった変異株で、感染力の強さが指摘される。
イスラエルではすでにデルタ株が新規感染の9割を超えた。国内で最初にデルタ株が確認された4月中旬と比べ、1日当たりの新規感染者数は2倍に増えている。
一方で死者数は、当時の1日当たり5人を下回る状態が続き、5月の最終週以降は平均2人未満にとどまっている。
英国では5月中旬にデルタ株が確認された時と比べ、新規感染者も死者も増加した。ただし感染者が約12倍と急増したのに対し、死者数は2倍前後だ。
死者数は感染者数より2〜3週間遅れて増加する傾向がある。これを考慮した比較でも、3週間前の感染者数は最新の死者数より急激なペースで増えていたことが分かる。
イスラエルと英国の例から、デルタ株の感染拡大によって、必ずしも従来のように死者が急増するわけではないと主張する専門家もいる。
特に注目されるのは、イスラエルの死者が少ない点だ。これは同国でワクチン接種が進んでいるためだと、専門家は指摘する。
英統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、イスラエルではデルタ株が確認された時、国民の約56%が接種を完了していた。一方、英国の接種完了者はデルタ株確認の時点でわずか2%。数日前にようやく50%に到達した。
イスラエル政府は先週、デルタ株に対する米ファイザー製ワクチンの感染防止効果は64%、重症化や入院を防ぐ効果は93%と発表した。
米ノースカロライナ大学の疫学者、ジャスティン・レスラー教授は、デルタ株への効果は従来株よりわずかに低下する程度だと指摘。これを考えれば、米国内での見通しも比較的明るいとの立場を示す。(後略)【7月12日 CNN】
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新型コロナ対策では手回しのいいイスラエルでは、念のため3回目の追加接種も始まっています。
****イスラエル、ワクチンの3回目接種開始 リスク高い成人対象に****
イスラエル政府は11日、新型コロナウイルスのワクチン接種について、免疫力の低い成人を対象に米ファイザー製のワクチンの3回目の接種を開始すると明らかにした。一般成人の3回目接種は検討中という。
イスラエルでは変異ウイルス(デルタ株)の感染が急速に拡大しているため、ここ1カ月で1桁台だった1日当たり感染者数は450人前後に増加している。そのため、ワクチン接種率も再び上昇しており、政府はファイザー製ワクチンの次回出荷を早めることにした。
ホロヴィッツ保健相は公共ラジオ番組で、ファイザーのワクチンを2回接種し、免疫力が低下している成人は、直ちに3回目の追加接種(ブースター接種)を受けることができると説明した。
一般人へのブースター接種については「まだ検討中で、最終的な答えは出ていない」と語った。
ファイザーのミカエル・ドルステン最高科学責任者は8日、同社が独ビオンテックと開発した新型コロナウイルスワクチンについて、3回目の追加接種の許可を来月中に米食品医薬品局(FDA)に申請する方針を明らかにした。
2回目の接種から半年経過すると再感染リスクが高まる証拠が出てきたことや、感染力の強いデルタ株の広がりを理由として挙げた。【7月12日 ロイター】
イスラエルでは変異ウイルス(デルタ株)の感染が急速に拡大しているため、ここ1カ月で1桁台だった1日当たり感染者数は450人前後に増加している。そのため、ワクチン接種率も再び上昇しており、政府はファイザー製ワクチンの次回出荷を早めることにした。
ホロヴィッツ保健相は公共ラジオ番組で、ファイザーのワクチンを2回接種し、免疫力が低下している成人は、直ちに3回目の追加接種(ブースター接種)を受けることができると説明した。
一般人へのブースター接種については「まだ検討中で、最終的な答えは出ていない」と語った。
ファイザーのミカエル・ドルステン最高科学責任者は8日、同社が独ビオンテックと開発した新型コロナウイルスワクチンについて、3回目の追加接種の許可を来月中に米食品医薬品局(FDA)に申請する方針を明らかにした。
2回目の接種から半年経過すると再感染リスクが高まる証拠が出てきたことや、感染力の強いデルタ株の広がりを理由として挙げた。【7月12日 ロイター】
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【「自由の日」に向けたションソン首相の「賭け」】
でもって、イギリス・ジョンソン首相は19日におおかたの行動規制を解除し、経済活動を再開させる方針です。
前回ブログでも触れたように、よいことだけでなく、病気・禍も基本的には個人の責任で向き合うものという価値観というか、社会生活に関する基本理念みたいなものが前提にあって、現在のように個人の生活を政府が規制する「異常事態」を終わらせ、各自が自分で判断する通常の生活に戻ろうというもののようです。
“政府の命令ではなく、個人の自己責任により感染を防ぐよう訴えた”【7月6日 AFP】
その場合、ある程度の犠牲は受け入れなければならないとの覚悟も。
「悲しいことながらも、新型ウイルス感染症によりさらに死者が出ることを受け入れなければいけない」(ジョンソン首相)【同上】
****デルタ株でコロナ感染リバウンドでも規制全面解除 英首相ジョンソンの「賭け」****
ジョンソン英首相は、ロンドンを含めたイングランド地域で新型コロナウイルス感染対策として実施しているロックダウン(都市封鎖)を19日に全面解除し、経済活動を再開させる方針だ。しかし、実行に移せば、これまで首相が従っていた助言を提供してきた科学者の一部から、不安視する声が出てくるのは間違いない。
英国は世界で最もワクチン接種が進んでいる国の1つだが、新たな感染拡大にも直面している。そこでジョンソン氏は、人々の活動を止める代わりにウイルスとの共生を目指すという「賭け」に出た。これは、感染力の強いインド由来の変異株(デルタ株)からワクチンが人々をどれぐらい守れるかを探る世界初の試みでもある。
ジョンソン氏は、デルタ株の急速な浸透で何千人も死者が増える恐れがあると警告した後、行動規制をほぼ全て撤廃するいわゆる「自由の日」を既に4週間先送りし、ワクチン接種率を高める努力をしてきた。そして、足元では成人人口の86%超が1回目の接種を終え、2回とも完了した割合も3分の2近くに達したため、19日を行動制限の最終日に定めたのだ。
ただ、インペリアル・カレッジ・ロンドンの伝染病学者アン・コリ氏は、ロイターに対し、英国が増加を続ける感染者とともに日常を過ごせると宣言するのは早過ぎると警告。規制解除を再び遅らせるのが有益だろうとの見方を示した。コリ氏がかかわっている統計モデルは、ジョンソン氏が「自由の日」をいったん延期する決定を下した際の判断要素の1つになった。
コリ氏は「規制解除延期は時間稼ぎになると思う。われわれにはウイルスの感染力を低下させる介入手段がある」と述べ、追加接種やまだ、英政府が実施を決めていない子どもへの接種などに言及している。
また、100人余りの科学者は医学雑誌・ランセットへの寄稿で、ジョンソン氏の行動規制全面解除方針を「危険で時期尚早」と批判し、高水準の感染者数を容認するのは「反倫理的かつ非合理的」と訴えた。
これに対してジョンソン政権側は、考慮に入れるべき要素は単に伝染病学の視点だけにとどまらないと反論するとともに、新型コロナウイルスで死者が増えても、それを甘受する姿勢だ。
ジャビド保健相は、新型コロナ以外の医学や教育、経済上の問題がパンデミックを通じて蓄積されており、感染者数が1日当たり10万人に達したとしても、社会を正常に戻す必要があると述べた。
英国内では学校が夏休みの今こそが、今年で最も規制解除に望ましい時期だと唱える向きが存在する。この考え方とジョンソン氏が新たな過ちを犯そうとしていると考える向きの間で激しい論争が勃発した。
ジョンソン氏は昨年、ロックダウン導入が遅きに失し、英国の新型コロナ死者数が世界有数に増加したとして批判を浴びた。
デルタ株の場合、ワクチンは感染予防よりも死亡と重症化を食い止める面で効果を発揮しているように見える。その結果、英国の新規感染者は急増しながらも、死者数の増加ペースはそれほどではない。
具体的には、1日当たり新規感染者数は現在2万5000人超と5月半ばの10倍以上に膨らんでいる半面、死者数は4月半ば以降ずっと1日当たり30人未満で推移。これはワクチンが生命を救っている証拠だ、と科学者は指摘する。
一方で、幾つか警戒すべき兆しも出ている。例えば、今の新型コロナ感染による入院者数は1日約350人と、過去の感染の波に比べれば格段に少ないとはいえ、直近7日間で45%も増加している。
英国とともに世界で接種ペースが最速クラスのイスラエルでは、最近の感染増加を受けて、重症者や死者が少ないにもかかわらず、政府が一部規制の再実施を検討しているところだ。
実験の行方
キングス・カレッジ・ロンドンの伝染病学者、ティム・スペクター氏は、国民が新型コロナウイルスとの共生を学ぶべきだという政府の認識を歓迎する一方、マスク着用義務撤廃の表明などには疑問を投げ掛けた。マスク着用は経済的なコストがほぼゼロである上に、重症化リスクのある人々を守るだけでなく、若者が感染して長引く後遺症に悩まされるのを予防する効果があるからだ。
新型コロナウイルス感染症の症状研究に利用するアプリ「ZOE」を運営するスペクター氏は「経済に影響を与えずに、われわれができることはある。それが十分に強調されているとは思えない」と首をひねった。
英政府は12日、インペリアル・カレッジ・ロンドンとウォリック大学、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院が提供するモデルの更新版を公表する予定。イングランド主任医務官のクリス・ウィッティ氏は、モデル分析結果に基づくと、今回の感染ピークは今年1月に見られたほどの重圧をもたらさないとの見解を示した。
ケンブリッジ大学の「ウィントン・センター・フォー・リスク・アンド・エビデンス・コミュニケーション」を主宰するデービッド・スピーゲルハルター氏は、ロイターに「これ(規制全面解除)は実験だ。そう呼ばざるを得ないと思う」と語り、規制解除に動くなら今が最適だとするウィッティ氏らの判断を尊重するとしながらも、微妙な状況にあるのも確かだとの認識を示した。【7月11日 Newsweek】
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EU離脱といい、今回の「自由の日」といい、ジョンソン首相は性格でしょうか、「賭け」がお好きなよう。
EU離脱の方は、離脱実現という序盤の賭けには勝ちましたが、その結果どうなるのか・・・という本来の勝ち負けの判定はもう1,2年、あるいは数年待つ必要があります。
「自由の日」の方は、白黒決着は早いでしょう。
【もう少し「慎重さ」の配慮は必要】
****英ワクチン担当相、コロナ規制解除に自信 屋内はマスク着用義務****
英国のザハウィ・ワクチン担当相は11日、イングランドで19日から計画している新型コロナウイルス感染規制の解除に自信を示す一方で、屋内では引き続きマスクの着用が必要になるとの見通しを明らかにした。
ジョンソン首相は先週、マスクの着用や社会的距離、在宅勤務などに関する一連の規則撤廃に向けた詳細な案を発表。12日に最終的な実施許可を出すとみられている。
専門家や政府に批判的な人たちの間には、感染者が増える中で規制解除に動くことに懸念の声が出ている。政府はこれに反論。ワクチン接種が進み、感染と重症化・死亡との関連がおおむね断ち切られてきたとしている。
ザハウィ氏はスカイ・ニュースに対し、「(規制撤廃の)第4段階に進めると確信している。ただ慎重に警戒を続けるのは重要で、明日発表する指針には屋内の閉ざされた場所でのマスク着用義務など、こうした姿勢が反映される」と述べた。(後略)【7月12日 ロイター】
ジョンソン首相は先週、マスクの着用や社会的距離、在宅勤務などに関する一連の規則撤廃に向けた詳細な案を発表。12日に最終的な実施許可を出すとみられている。
専門家や政府に批判的な人たちの間には、感染者が増える中で規制解除に動くことに懸念の声が出ている。政府はこれに反論。ワクチン接種が進み、感染と重症化・死亡との関連がおおむね断ち切られてきたとしている。
ザハウィ氏はスカイ・ニュースに対し、「(規制撤廃の)第4段階に進めると確信している。ただ慎重に警戒を続けるのは重要で、明日発表する指針には屋内の閉ざされた場所でのマスク着用義務など、こうした姿勢が反映される」と述べた。(後略)【7月12日 ロイター】
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“ただ慎重に警戒を続けるのは重要”としつつも、大胆な「実験」も。
****英・6万人超がマスクなし観戦 「大規模イベント再開に向けた実験」サッカー欧州選手権決勝****
東京オリンピックがほとんどの会場で無観客となる一方、イギリスでは、6万人を超えるサポーターが、サッカー・ヨーロッパ選手権の決勝をマスクなしで観戦した。
イングランド対イタリアとなった決勝戦は、6万人を超える観客の入場が認められた。
入場の条件として、ワクチン接種などが求められたが、マスクの着用は義務付けられなかった。
観戦に来た市民「僕はもうワクチンを打った。(この決勝は)一生に一度のことだから、このあと10日間隔離になっても構わない」
また、各地でパブリックビューイングも実施され、大勢の市民がイングランド代表に声援を送った。
イングランド代表は、PK戦で敗れたが、試合後も多くの市民が街に繰り出し、選手をたたえる姿も見られた。
イギリス政府は、今回の試合を「大規模イベント再開に向けた実験」と位置づけられていて、さらに19日からは大幅な外出制限の緩和に踏み切る方針。【7月12日 FNNプライムオンライン】
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試合後の街での大騒動の様子を見ると、19日以降の「慎重な警戒」はほとんど意味を持たないのでは・・・という不安も。
【新規感染者増減に一喜一憂するばかりの日本】
そうした不安もありますし、もう少し「慎重さ」が必要ではないかとも思いますが、日本でも、感染者増加に一喜一憂するのではなく、「コロナとの共生」のあり方について、また、イギリスのような判断について冷静に検討していいのではないかと思います。(その前提となるワクチン接種がここにきて迷走している現実もありますが)
****橋下徹氏、東京へ4度目の「緊急事態宣言」に「感染者数ばっかりに注目するのは違う」****
(中略)橋下氏は、東京への4度目の緊急事態宣言に「僕はさっぱり分からないという立場です」とした上で「イギリスは、今、1日あたり2万7000人、2万8000人の感染者数です。それでも社会経済活動は完全に再開していこうという発想なんです。ジョンソン首相がそういうふうに舵を切りました。
それは死者数とか重症者数がすごい抑えられているんです。ワクチンの効果によって。だから、僕は、日本でもそういう議論を専門家にしてもらいたい」と提言した。
さらに「その辺の情報は、はっきり分からないんです。日本の重症者数、死者数がどうなのか。特に感染者数のうち65歳以上の高齢者数の割合が1割切っているという報道も聞いてますから、重症者化リスクがそんなに伸びないんだったら、ある意味、感染者数は容認していかないと」と指摘した。
続けて「例えばインフルエンザなんかは、普通は毎年、1千万人の感染者数が出ている。でも大騒ぎしないのは死者も重症者もワクチンとか薬で抑えられているからなんです。だからそのあたりの議論を専門家でやってもらいたい。感染者数ばっかりに注目するのは違うんじゃないかと思うんです」とコメントしていた。【7月8日 スポーツ報知】
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****橋下徹氏 感染者ゼロ目標は違う「政治家が言わないと」ワクチン普及で重症者減少****
(中略)橋下氏は日本、特に東京での感染状況は、新規感染者が急増傾向にあるが、一方で「(感染する)重症者の数とか、感染者数のうち高齢者の割合も少なくなってきてる」と指摘。
「ワクチン接種が普及しても、イギリスなんて1日あたりの感染者数、3万人ですよ。ワクチンがどれだけ普及したって、感染者ゼロにならないんですよ。死者だってゼロにならないんですよ」と説明し、「じゃあ、どこまでのリスクを許容するのかっていうのを、これ、ものすごい批判の出る判断、メッセージか分からないけど、やっぱり政治家が言わないと」と感染者ゼロを目指すのでなければ、政治家が明確にその“目標”をはっきりと国民に伝えるべきだと提言した。
その上で「ワクチンいくら普及したって、あのイギリスとかアメリカでも(新規感染者)ゼロになってないんですから」とワクチンの普及が進み、重症化リスクの高い高齢者の感染が減少する中、ゼロリスクを目指すのは違うとの考えを示した。
橋下氏は「医療側の人は一生懸命頑張っていただいて、敬意を表さなければいけないけど」と断った上で発言に及んだ。【7月12日 デイリー】
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ジョンソン首相の「賭け」には賛否あるとは思いますが、「悲しいことながらも、新型ウイルス感染症によりさらに死者が出ることを受け入れなければいけない」という発言は指導者としての冷静な判断だと思いますし、そういう発言が許されない風土があるということが日本政治の欠陥だと思います。
「一人の感染者も、犠牲者も出してはならない」みたいな精神論に近いような議論はそろそろ終わりにしないと。
私は橋本氏と意見が一致することは多くはないのですが、今回は意見が一致したようです。