(UNHCRが難民に支給するstarter pack “flickr”より By bbcworldservice
http://www.flickr.com/photos/bbcworldservice/3255473370/ )
【コンゴ 紛争の傷跡】
今日6月20日は“世界難民の日”だそうです。
「世界難民の日」は2000年、「OAU(アフリカ統一機構)難民条約」発効を記念した「アフリカ難民の日」を改め、国連総会で制定されたものです。
****世界難民の日:紛争の傷跡、今も コンゴ民主共和国****
「落ち着いて暮らせる住まいがほしい」。カクル・ファイダさん(40)はアパート建設現場で、子ども7人と暮らす。20日は「世界難民の日」。
隣国ルワンダの大虐殺(94年)を機に起きた地域紛争の死者は第二次大戦以降の紛争の中で最多で、コンゴ民主共和国(旧ザイール)の国内避難民も東部2州だけで143万人という。
ファイダさんも約1年前、自宅を武装グループに襲われ、故郷を離れた。間もなく娘のネイマちゃん(1)が生まれたが、夫(35)とは生き別れた。
建設現場には5家族が身を寄せるが、アパートは来年6月には完成予定。ファイダさんは「ここにいられるのもあとわずか。どこへ行ったらいいのか」と首を振った。【6月20日 毎日】
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“コンゴでは隣国ルワンダから逃れてきた反政府勢力が難民キャンプを拠点にルワンダへ出撃したことなどを契機に、96年、周辺国が侵攻を開始。ダイヤモンドなどの豊富な鉱物資源の利権争いもあって、一時は周辺8カ国の軍隊が同国領内で抗争を繰り広げ、第二次世界大戦後の国際紛争としては最大の死者を出すに至った。戦闘によって兵士、民間人約40万人が死亡したほか、戦闘による国土荒廃に伴い、約500万人が餓死、病死したという。”【4月11日 毎日】
この“アフリカ大戦”とも呼ばれるコンゴ内戦は02年に一応の和平協定調印にこぎつけましたが、その後も、94年のルワンダ虐殺への関与が疑われるフツ族系武装集団「ルワンダ解放民主軍(FDLR)」、FDLRに対抗するローラン・ヌクンダ司令官(09年1月拘束)率いるツチ族系反政府勢力「人民防衛国民会議(CNDP)」、国際判事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているジョゼフ・コニー率いるウガンダの反政府勢力「神の抵抗軍(LRA)」など多くの武装組織、これら反政府勢力討伐を目的とするコンゴ政府軍、隣国ルワンダ軍・・・など多くの組織が入り乱れ戦闘を行ってきており、それに伴い東部を中心に紛争や略奪、レイプが横行し、膨大な難民が発生しています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、コンゴの国内難民は約146万人。
更に、隣国からの難民が約15万人生活しています。
戦乱に明け暮れるコンゴにも難民が流入するということは、周辺国の状況もコンゴ同様であるということでしょう。
隣国からの難民のなかでは、アンゴラからの難民が約11万人で最も多くなっています。
【ソマリア、パキスタン・・・】
アフリカで戦闘が激化しているのが実質的無政府状態が続くソマリア。
****支援活動拠点で大規模な略奪、活動に支障 ソマリア****
ソマリア南部・中部への人道支援活動の拠点である首都モガディシオから北に90キロのジョワルで、支援用の物資・資産・機器が大規模に略奪・破壊され、支援活動に大きな支障が出ている。
国連によると、今年9月までの継続的な人道支援を必要としている国民は全人口の43%、320万人以上にのぼると推定されているが、イスラム武装勢力が中部、南部の主要都市に勢力を拡大するにつれ、支援活動は急速の困難になっている。【6月16日 AFP】
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難民が最近急増しているパキスタン。
“わずか1カ月で、180万人を超える人々が家を追われ、酷暑の中、避難生活を余儀なくされています。
パキスタン北西部では、戦闘の激化により、人々は命の安全を脅かされ、手荷物ひとつで逃げる人の数は日に日に膨れ上がっています。パキスタン政府がUNHCRの支援のもとで5月初めから登録した避難民の数は、すでに180万人を超えました。2008年8月以降、避難民となった人の総数は、230万人に上ります。この人道危機における国連の共同支援の一環として、UNHCRはパキスタンのMardanやSwabi地域に、新たに3カ所の避難民キャンプを設置しました。”【UNHCRホームページより】
【「空腹な世界は危険な世界だ」】
紛争・難民問題がその大きな要因のひとつである飢餓の状況。
****飢餓人口10億人突破も、過去最悪に FAO発表****
国連食糧農業機関(FAO)は19日、栄養不足の状態にある飢餓人口が昨年より1億500万人増え、09年中に10億2千万人になると予測する報告書を発表した。世界的な経済危機や食糧価格の高止まりの影響を受けたもので、世界のおよそ6人に1人が飢えに苦しんでいるという過去最悪の数字となった。
FAOによると、経済危機によって途上国への投資が08年比で32%減少するほか、途上国援助(ODA)も約25%減少するという。また新興国の需要急増や、穀物市場への投機的資金の流入、バイオ燃料への転用拡大などを背景に急騰した食糧価格は、08年前半のピーク時と比べ下がったものの、06年に比べまだ24%も高い。
地域別では、アジア・太平洋地域が6億4200万人、サハラ以南アフリカが2億6500万人、中南米5300万人となっている。
FAOのディウフ事務局長は「飢餓人口の急増は世界平和や安全保障に対する脅威となる」と指摘。途上国への農業投資や支援の早期実施を訴えた。【6月20日 朝日】
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世界食糧計画(WFP)のジョゼット・シーラン事務局長は、食糧不足が原因でいくつかの途上国で発生した発生した暴動を指摘し、「空腹な世界は危険な世界だ」と警鐘を鳴らしています。
飢餓人口が最も多いのがアジア。
その南アジアでは、飢餓に苦しむ人が過去2年で1億人増えたとの報告も。
****南アジアの飢餓人口、過去2年で1億人増加=ユニセフ****
国連児童基金(ユニセフ)は2日、南アジアで飢餓に苦しむ人が過去2年で1億人増えたとの報告書を発表した。食料品と燃料の価格高騰に加え、世界的な景気後退などが理由だとしている。
同報告書によると、南アジアでは現在、4億人以上が慢性的な飢えに苦しんでおり、40年間で最悪の水準となっている。さらに、1人当たりの所得が増加しているにもかかわらず、摂取カロリーは多くの国で停滞もしくは減少傾向にある。
また、同地域の人口の4分の3に相当する11億8000万人以上が、1日2ドル(約190円)以下での生活を強いられており、5歳以下の子どもの半数近くが栄養失調で、サハラ以南のアフリカを含む世界で最悪の水準だという。【6月3日 ロイター】
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【何もしないよりは・・・】
私たちの住む世界はいっこうに改善しないのが現実。
その状況から目をそむけて暮らしているのも現実。
とりあえず個人に出来ることと言えば募金。
UNHCRホームページから、クレジットカードを使って簡便に難民支援募金ができます。
http://www.japanforunhcr.org/act/index.html
年に1回の気まぐれでも、自己欺瞞・偽善・免罪符・・・であっても、それで助かる人々が大勢存在している今、何もしないよりはましでしょう。