家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

それでも咲くササユリ

2015-07-15 08:02:17 | Weblog
ササユリが一輪咲いていた。

別に今の季節珍しいということはない。

あらゆる場所で自生している。

だが、この一輪は違う。

ひと月ほど前Y爺さんから「昨日はサルの集団が出たぞ」と聞いた。

「ここに2匹座っていて奥の方にもたくさん居たえ」と場所を教えてくれた。

私もいつもと少し様子が違うことに気づいていた。

私が刈った斜面のウバユリが1本茎が折れていた。

「ちゃんと残したはずだけど草刈り機のヒモが当たったかな」という状態のウバユリの茎だった。

刃物でスパッと切ったのではない切り口がバラバラに裂けている。

Y爺さんから話を聞いて、なるほどと思い敷地内を歩いてみた。

別の斜面に残しておいたササユリが全滅していた。

花芽を食べられ引っこ抜いたあとに球根を食べてある。

20本くらいやられていた。

シカがササユリの花芽を食べることは知っている。

しかし根まで抜いて食べるのはサルだ。

イノシシは花芽は食べず大胆に根を掘り出して食べる。

人間が茎を持って引っ張るのと同じように地面は、たいして掘れない。

中に1本だけ花芽が残っているものがあった。

みずみずしい花芽だが茎の途中は折れて球根は無かった。

それでもひょっとして花が咲くかも知れないと思って水鉢の中に入れておいた。

何日見ても枯れた様子はない。

「強いもんだなぁ」と思いながら見ていた。

そのうち茎の一部と葉が下から順番に枯れ始めたが、それでも生きていることは分かった。

そして最終的に花を咲かせたのだ。

このユリが子孫を残すことは絶望に近い。

メシベが種子を形成するまで茎が持たないと思われる。

だが最後まで生を全うする力強さは感動的だ。

オシベは、別のユリに運ばれているかもしれない。

何事もなかったかのように咲くササユリの花が神々しく見えた。