家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

背筋の凍る熱い風呂

2014-02-02 08:38:24 | Weblog
昨夜は「飲み放題」メニューでたくさん飲んだ。

部屋に戻って風呂上がりのエビスビール缶から始まった。

食事時に今度はエビスのビンビール。

そして日本酒の冷と熱燗。

上品な器に、とびきり美味しいつまみが並んでいる。

これで呑みが進むのは、もうこれは、どうしようもない。

一体どの位の量を呑んだのかハッキリとした記憶がない。

記憶が飛ぶに相応しい量なことは確かだ。

布団に入ると数秒で眠りに就いた。

そして翌朝6時43分に目が覚めるまで一切起きることはなかった。

同室の仲間が電灯を消してくれたこともトイレに起きたことも知らない。

部屋の中はイビキの四重奏だったらしい。

だがそれにも増して動物園から聞こえる雄叫びや吼えの類の音声を発した人物は別室で一人で寝てもらった。

幸い私がそれを聞いたのは目が覚めてからだけだった。

起きていきなり朝風呂に向かう。

私と、もう一人が部屋からまず出た。

風呂の手前のトイレで「ちょっと失礼」と私だけ入った。

トイレから出て風呂のノレンをくぐって引き戸をすべらす。

先に入っている友人のスリッパがないし中に姿もない。

昨日二回も風呂に入ったので、もう体を洗うことはせず掛け湯だけして露天風呂に行った。

友人は別のトイレに行っているらしい。

この露天風呂は温度が高い。

長湯はできない。

昨夜のアルコールが、脳細胞のみならず体の隅々に残留しているようだ。

結局友人は風呂に来なかった。

着替えて外に出て恐る恐るトイレを見てみた。

まさか、そこで倒れていないだろうとは思ったが若干の不安はあった。

ヤレヤレと安堵していると後ろから「俺先に帰るから」と仲間が言いに来た。

風呂の中にいる人たちに伝えといてと言う。

そこでやっと気がついた。

私の入った風呂は昨夜の12時をもって女湯に替わっていたのだ。

振り返れば確かにノレンの色がピンクになっている。

緑のノレンの風呂にいる仲間に伝えに行った。

「オレ女湯に入っちゃった」

先に入った友人は私が掛け湯をしている音を聞いて「ひょっとしたら」と考えたそうだ。

「女の人が、あんなにザバザバかけるかなぁ」と。

その後彼らが風呂から出る頃には女湯から数人の話し声が聞こえたという。