大敵、湿気！

　梅雨に入ってしまいましたね、テディちゃ。台風までも接近するなんて～。

「ほんとにィ、こまッちゃうゥでスゥ！
　テディちゃのォ、じまんのォ、けがわがァ、くしゃッとしちゃうゥでスよッ」

　毛皮……くしゃ、って……テディちゃ、天然パーマだったの？！

「あッたりまえェでス！
　ネーさ、そんなことォもォしらなかッたのでスかッ」

　え、えっとぉ、そ、そうね。　（←動揺中）
　じゃあ、その、ヘアスタイリングウォーターなんて使ってみたら、どう？
　ミストを吹きかけて、ササッとスタイリングしたら？
　
「ふんッ、そんなんじゃッだめでスッ！」

　え、だ、だめなの？

「テディにはァ、じゅうなんざいィがァ、いッちばんッ！なのでスゥ！」

　……柔軟材？
　衣料品の、仕上げ用柔軟材のこと？？

「そォでス！
　ふかふかァけがわにィ、なるにはァ、じゅうなんざいがァ、よいのでスよッ！」

　柔軟、材、が………？　（←混乱中）

「テディちゃはァ、『すたいるけあ』をォ、あいようゥしてまスッ♪
　あしたもォ、しッかりィ、じゅうなんしあげェ、しなくッちゃ♪」

　はあ、えっと、そのぅ、お、お大事に…………って、えええーっ？！？！

とことんエンタな警察小説！

「むむッ？　きょうのォ、ごほんはァ、しぶ～いかんじィでスねッ、ネーさ」

　そうですね、テディちゃ。渋そう、という直感は当たっています。
　でも、とても素晴らしいエンタメ作品でもあるんですよ。
　さあ、本日ご紹介いたしますのは、こちら！



　　　　　　　　　　　　　　――　　果断　　隠蔽捜査２　――

　
　
　著者は今野敏さん、’０７年４月に発行されました。
　’０５年９月に発表された今野さんの作品『隠蔽捜査』の続刊になります。
　
「そうさ、ッていうとォ、けいさつのォおはなしィ、でスかァ？」

　はい、警察官さんたちと事件、そして警察機構を描いた御本です。
　
　主人公はの竜崎伸也（りゅうざき・しんや）さんは、エリート警察官さん。
　キャリア街道まっしぐら、だったのですが、
　先日、降格されてしまいました。
　警察庁長官官房の総務課長から、警視庁大森署の署長へ――
　
「けいさつちょうゥ……けいしちょうゥ……ふゥッ、ややこしッ」

　いえ、ややこしいだの何だのと言っている暇はありません。
　署長さんの職務は忙しいのです。
　数え切れない程の書類に、署名、署名、署名、捺印、捺印、捺印。
　区の式典に参加し、防犯対策懇談会にも出席し。
　
「ふァ～、おやくしょォしごとォ、なのでスゥ～」

　今日も、お昼を済ませたら、さあ、公園の落成式へ行かなくては。
　が、そこへ。
　無線が入りました！
　キンパイ――緊急配備の指令です！
　近隣管区内にて強盗事件発生！
　至急検問の手配を！

「ご、ごうとうッ？　こわいィッ！」

　１時間後、強盗犯３人のうち２人の身柄を確保、緊急配備は解除されました。
　残る一人を見つけ出すのも時間の問題かと思われた矢先。

　たてこもり事件が、大森署管内で発生！
　
　署に設置した指揮本部を警視庁の刑事部長さんに任せ、
　竜崎署長は現場に急ぎます。
　夜を徹し、
　ＳＩＴ、ＳＡＴといった最近は映画にも登場するスペシャリストたちとともに
　事件の解決を図るのでしたが……。

「うわァ、けいさつのォ、おしごとだァ……」
　
　人質の救出は？　
　ＳＡＴ突入のタイミングは、いつ？！
　困難な状況を打破する方法は？
　やがて警察組織全体を窮地に陥れるこの事件を、
　竜崎さんと署員さんたちは……解決できるのでしょうか？

　警察小説であるだけでなく、推理小説であり、
　また企業小説の顔をも持った高速展開の極上エンタメノベル、
　やや天然？な竜崎さんの迷走＆《果断》な疾走も必見必読、
　絶対のお奨め作品です！

「えェ？　てんねん、ッてェ～？？」
　
　この御本は’０７年度の山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞されました。
　シリーズ第三作が待ち望まれる傑作、活字好きさんは、ぜひ！
　
「えいがにィ、なッてもォ、いいなッ♪」

　う～ん、竜崎さんを演じられる役者さんは……どなたでしょ？

「ややこしッ！」