「ふァ~。これはァ、なつにィ、ぴッたりィ~♪」
そうですね、ガラスの風鈴が表紙できらり、と。きれいでしょ、テディちゃ。
「ふァいッ!……でもォ、ネーさ、ふゥりん、ッて、ごほんにィ、なりまスかァ?」
なります! 驚きの秘密が、この小さな音色の中に隠れていたのです!
さあ、御紹介いたしましょう。こちらを、どうぞ!
―― 風鈴 ――
編者はNHK『美の壺』制作班の皆さん、’07年6月に発行されました。
NHK教育TVで放送中の『美の壺』から生まれた御本です。
同シリーズの『根付』や『切子』、『和菓子』などを
以前にも御紹介してまいりましたが、今回は、
「ちりりィ~んッ♪ふゥりんッ♪なのでスねッ」
はい、そうです。
風鈴が本に――なるのかしらん?
そんなに御大層なモノなのかなぁ、風鈴って?
と、正直に申しまして、ネーさ、そう思わないでもありませんでした。
「むぷッ! それはァ、せんにゅうかんッ、でスよッ」
反省しております。
読み始めて、たちまち夢中になってしまいました。
風鈴の起源が《呪具》であったとは!
「じゅぐゥ?」
もともとは中国に(インド発祥説もあるそうです)音鳴で吉兆を占う
『占風鐸(せんふうたく)』なるものがありました。
仏教の伝来とともに日本に渡ったそれは『風鐸(ふうたく)』となって
寺社の軒の四隅に吊り下げられるようになります。
風鐸の音が聞こえる内側には、
悪しきものが入ってこない、
凶災が起こらない――
厄除けの呪具、として考えられていたのですね。
そう言われてみると……
悪い霊は或る種の音や共鳴を厭う、
という思想はアジア各地の伝承にあるなぁと思い当たりました。
「おとのォ、まじッくゥ、でスゥ~♪」
本文では風鈴を鑑賞するための三つのツボが取り上げられています。
壱のツボ……庶民の知恵が涼を呼ぶ
弐のツボ……音がゆらいで心地よい
参のツボ……余韻にドラマあり
じんわりしてしまうのは、
黒澤明さん監督作品・山本周五郎さん原作の映画『赤ひげ』のエピソード。
そうです、確かに映画の中にありましたね、
風鈴が、一斉に音を奏でるあのシーンが……。
歴史好きさん、映画好きさんにぜひ!
風鈴、欲しい!と俄かにお買物ごころが燃え上がる一冊です。
びいどろの風鈴なんて、風情ありますよね♪
「ふうゥり~ん! どこにィ、うッてるのかなッ?
さがさなくちゃッ!!」