テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《シルクパンク》、見参!

2016-07-04 22:08:23 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぎゃふうゥ! げりらァごううゥ~ッ!!」
「がるる!ぐるるるぅ!」(←訳:虎です!やられたぁ!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日7月4日(あら?アメリカの独立記念日ですねぇ)の
 当然の豪雨に、足元グシャグシャになりました……
 もんのすごい雷と風と雨でしたが、
 豪雨の後の涼しい空気に心機一転、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



     ―― 蒲公英王朝記 巻ノ一 諸王の誉れ ――



 著者はケン・リュウさん、原著は2015年に、
 画像の日本語版は2016年4月に発行されました。
 英語題名は『The Grace of Kings』、
 日本語題名の『蒲公英』には『ダンディライオン』とルビがふってあります。

「だんでィらいおんッおうちょうゥ~??」
「ぐるるるがるっる??」(←訳:タンポポ王朝って??)

 蒲公英、つまりタンポポの王朝?
 聞いたことないけど~?
 と首を傾げる必要はありません。

 ここはいつの時とも、
 いずこの世界とも知れぬ、
 つまりは、私たちのいる宇宙とは
 時空を異にする“どこか”。

 そこには、強権を揮う皇帝がおり、
 皇帝に支配される国々があり、
 若き英雄たち、
 英雄を慕う友が、
 復讐を誓う策士がいる……

「あはァ! そうするとォ~これはァ~」
「がぅるるるぅ!」(←訳:ファンタジィ!)

 著者・リュウさんは、
 『紙の動物園』(2011)で
 ヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学賞の三冠を獲得した
 いま最も注目されているSF作家さんです。

 日本でも大好評となった『紙の動物園』は、
 レイ・ブラッドベリさんの作風に
 アジアの文化を加味したような
 とても繊細な短編作品でしたが。

 リュウさん初の長編作品となるこちらの御本は、
 裏表紙の紹介文によれば
 《幻想武侠巨篇》、
 御本巻末の訳者さんあとがきによれば
 《ケン・リュウ版 項羽と劉邦》、
 そして著者・リュウさん御自身いわく
 《シルクパンク・エピック・ファンタジィ》
 なのだそうです。

「ちゅうごくゥのォ、じだいしょうせつゥ??」
「ぐるがるる?」(←訳:そのSF版?)

 紀元前3世紀に中国で起こった
 楚漢戦争をベースにしたという物語は、
 まず、華麗な皇帝の行列から幕を開けます。

 まるでローマに凱旋したカエサルのように
 都市の大通りを行進してゆくのは、
 ザナの皇帝マビデレの大行列です。

 征服した六つの国々から引き連れてきた踊り子たち、
 騎象の隊列、
 合唱隊による皇帝賛歌、
 近衛兵に守られた皇帝の塔玉座。
 まあ、なんと華々しい!

 行列に喝采を送る群衆の最前列には、
 目を見開いている少年が二人、おりました。

「がッこうはァ? いいのッ?」
「がるっるるる!」(←訳:サボってるね!)

 14歳の、クニ・ガルくん。
 その友人の、リン・コウダくん。

 ええ、ふたりとも、学塾の授業をサボって
 行列見物にやってきちゃった、んですね。

 しかし、サボりの報い、でしょうか――

「わわッ、なんでスかッ、あれはァ?」
「ぐるるがるる!ぐるるー!」(←訳:みんな伏せて!逃げてー!)

 一瞬にして、
 壮麗な皇帝の行列は大混乱に陥ります。

 クニくんとリンくんのふたりが息を呑んだ、
 その出来事とは。

「だいはらんのォよかんッ、でスゥ!」
「がるるぐるがる!」(←訳:だから武侠巨篇!)

 ほんのさわり部分を読んだだけでも、
 著者・リュウさんの《シルクパンク》な世界へ
 ぽーんと引っ張られてゆくこと必至!

 人間も英雄も神々も混然となっての歴史SFロマン、
 全活字マニアさんにおすすめです。
 発売されたばかりの続巻も併せて、
 ぜひ、一読を~♪
 
 
 
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