テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

きらきら!な短篇たち。

2016-07-18 22:04:10 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ざッぷゥ~んッ!」
「がるる!ぐぅるぐぅる~♪」(←訳:虎です!ちゃぷちゃぷ~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 えーと、テディちゃと虎くんは水遊びを楽しんでおりますが、
 カナヅチな私ネーさは、
 暑~い《海の日》も、もちろん読書タイム!
 本日は、さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



    ―― 短篇ベストコレクション 現代の小説2016 ――



 編者は日本文藝家協会の皆さん、2016年6月に発行されました。
 著者は収録順に、
 朝倉かすみさん、大沢在昌さん、萩原浩さん、恩田陸さん、梶尾真治さん、
 神田茜さん、北村薫さん、佐々木譲さん、高村薫さん、長岡弘樹さん、
 新津きよみさん、藤井大洋さん、本城雅人さん、三浦しをんさん、
 宮木あや子さん、両角長彦さん、という、
 人気の16作家さんによる
 《短篇》作品集です。

「たんぺんッ、なんでスけどォ~…」
「ぐるるぅ!」(←訳:濃いぞぅ!)

 そうなんです。
 短篇ですから、原稿用紙にすれば
 そんなに長くはない、はず、なのですが。

 読後感は、長編作品を上回るものがあって、
 自然と考え込んでいまいます。
 
 このお話の、この先は?

 ハッピーエンドか、
 それとも……?

「ぐいぐいィ、ひッぱられるゥ~!」
「がるぐるるる!」(←訳:磁石みたいだ!)

 そんなふうに、
 読み終えた後はしばし放心状態になってしまう、
 印象深く、
 そしてとびきり美しい作品の御紹介を
 ちょっとだけ――

   三浦しをんさん著『胡蝶』。

 小説すばる5月号に発表されたこの作品は、
 “夢”のおはなしです。

「ゆめッて、ゆめェでスかッ?」
「ぐるがるる?」(←訳:夜に見る夢?)

 夢のお話といえば、
 多くの活字マニアさんが思い浮かべることでしょう、
 夏目漱石さんの『夢十夜』を。

   こんな夢を見た。

 という一文から始まる夢世界の彷徨は、
 夏目さんの願望の影であったのかもしれませんが、
 ここでは、もっと不確かな、
 それでいて地に足がついた“夢”が登場します。

 主人公の未千(みち)さんは、
 たいそうなお祖母ちゃん子として育ちました。

 両親は共働きで忙しく、
 幼児の頃からずっと、
 未千さんの面倒をみてくれたのは、お祖母ちゃん。

 幼稚園の送り迎えにきてくれたのも、お祖母ちゃん。
 お弁当を作ってくれたのも、お祖母ちゃん。
 優しく物静かなお祖母ちゃんを、
 小さな未千さんは大好きなんですけれども。

 お祖母ちゃんの、すこし、他の人と異なるところは……

 “夢”の話をするんです。

「どどッ、どんなッ??」
「がるるっ??」(←訳:怖い夢っ??)

 お祖母ちゃんが見るのは、
 小さな未千ちゃんには他愛のないような、
 それでいて広い世界を感じさせてくれるものでした。

 憧れ、畏れ、悲しみ、不穏――

 未千ちゃんの知らない何か。

 そう、知りたくても、
 夢を見ない体質の未千ちゃんには
 しりようもないこと。

「うむむゥ、ときどきィいまスねッ!」
「ぐるがるるるるぐっるる!」(←訳:夢も見ないほどぐっすり!)

 体質なのか、
 夢を見ても憶えていないのか。

 そんな未千さんの身に変化が起こります。
 大人になって、
 故郷から東京に出てきて、
 彼女は夢を見るようになりました。

 お祖母ちゃんが見ていたであろう“夢”と同じような、
 不思議な“夢”を……

「ふァ~、たいへんでスゥ!」
「がるるる!」(←訳:この夢は!)

 読むうちに強く強く引き込まれる未千さんの“夢”。

 “夢”は、彼女に何を見せ、
 何を囁くのか。

「こわいィようなッ?」
「がるるぐるる?」(←訳:嬉しいような?)

 まさに“夢に出て”きそうな、
 “夢”の物語。

 三浦さんのファンの方々は、もう必読の、
 そして他にもワクワク&はらはらな作品がいっぱいの
 贅沢な一冊ですよ♪
 短篇マニアさんも、読み逃がしなく~!
 

 
コメント
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