テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

すてきに《小粋》な。

2016-07-28 22:09:02 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 きょうはァ、たたかいィましたでス!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!エアコンとね!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、エアコンのフィルターお掃除という厳しい闘いを終え、
 ここらでホッと一息の読書タイムは、
 皆さまも好みの飲み物などを手に、
 本日は、さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



         ―― 意匠の天才 小村雪岱 ――



 著者は、原田治さん、平田雅樹さん、山下裕二さん他の方々、
 2016年6月に発行されました。
 『Koyama Settai』と英語題名が付されています。

 小村雪岱(こやま・せったい)さん――
 
 はい、『雪岱』と書いて『せったい』と読むこの御方、
 一部の活字マニアさんには
 かねてよりよく知られているのですが……

「めずらしィおなまえェ、なのでスゥ!」
「ぐるがるるぅ~!」(←訳:雪岱さんかぁ~!)

 珍しいお名前だけに、
 一度憶えたら忘れませんね。

 1887年(明治20年)、
 埼玉県川越町に生まれ、
 1940年(昭和15年)没。
 その一生は、或る小説家さんのお仕事と
 深く結びついたものでした。

「しょうせつかァさんッ?」
「がるるる??」(←訳:誰だろう??)

 先日は、夏目漱石さんの『吾輩ハ猫デアル』の装幀を担当した
 画家・中村不折(なかむら・ふせつ)さんの展覧会情報を
 御紹介いたしましたが、
 不折さんを漱石さんと縁深い画家とするならば、
 雪岱さんとゆかりある小説家さんとは――

 泉鏡花さんです。

「おおォ~♪ 文豪さんッ♪」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:高野聖に夜叉ヶ池!)

 そうね、鏡花さんの代表作は、
 たとえば『高野聖』『草迷宮』『天守物語』といった、
 怪奇色幻想色が濃い作品もあり、
 また、『日本橋』『外科室』『歌行灯』などの
 “現実的”な作品もあります。

 雪岱さんは、いわば“現実的”な方の鏡花さんの作品の、
 装幀美術の素晴らしさで
 現代にも語り継がれている画家さん、なのです。

 雪岱という名(雅号)も、
 実は鏡花さんから授かったものなのだそうよ。
 本名は、泰助さんと申されたんですって。

「じゃあァ、でびゅーさくひんもォ!」
「がるぐるがるるる!」(←訳:鏡花さんつながり?)

 まだ東京美術学校日本画科の学生であった1907年(明治40年)、
 雪岱さんは鏡花さんに出会います。

 その頃、既に鏡花さんは押しも押されぬ人気作家さんでした。

 鏡花さんの大ファンだった雪岱さん、
 美術雑誌のお仕事にたずさわってのち、
 鏡花さん著『日本橋』の装幀デザインが
 装幀家デビュー作品となったことは
 天にも昇るような心地であったことでしょう。

 しかも、雪岱さんの装幀は絶賛され、
 この後もながく、
 鏡花さん&雪岱さんの幸福な結びつきは続きます。

「たいしょうゥからァ、しょうわァへッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:激動の時代も!)

 この御本には、
 雪岱さんの装幀家デビュー作『日本橋』、
 『鏡花選集』他の装幀画作品、
 鏡花さんに初めてお目にかかった日を回想する雪岱さんの文章、
 資生堂でのデザイナー時代、
 舞台美術のお仕事の記録、
 挿絵画家として大ブレイク!と、
 雪岱さんの業績が詳しく記され、
 図版資料も多数収録されています。

 大正や昭和初期の挿絵なんて古い?

 いいえ、とんでもない!
 どの作品も、時代を超越した美しさ!

「しゃッきりィ!」
「がるるるぅ!」(←訳:小粋だなぁ!)

 アート好きさん、
 そして本好き&古書好きさんにも、
 お気に召すこと間違いなしの《本の本》、
 書店さんのアート本コーナーで探してみてくださいな。
 おすすめです!
 
 

 
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