テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 荒れ地をゆけば ~

2021-05-10 23:49:28 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ひゃほほほほゥ! これはァ、うれしィ~!」
「がるる!ぐるるるるがる!」(←訳:虎です!ささやかな朗報!)

 こんにちは、ネーさです。
 緊急事態宣言は延長されましたが、
 都内ではちらほらと開館する美術館も出てきましたよ!
 東京国立博物館『国宝 鳥獣戯画のすべて』展は5月14日から、
 国立新美術館は5月12日から再開するそうです。
 詳細は各ミュージアムのHPをご参照くださいね。
 暗いトンネルの出口まであともう少し……
 と信じつつ、
 さあ、ここから読書タイムです。
 本日はこちらの、古典ミステリ作品を、どうぞ~♪

  


 
     ―― 原野(ムーア)の館 ――



 著者はダフネ・デュ・モーリアさん、
 原著は1936年に、
 画像の日本語版は2021年3月に発行されました。
 英語原題は『JAMAICA INN』、
 映画『レベッカ』『鳥』などの原作者
 デュ・モーリアさんによる長編作品です。

 英国の原野(ムーア)
 と聞いて、思い出されるのは――

「ばすかびるゥ!」
「ぐるる!」(←訳:魔犬だ!)

 そうですね、
 《シャーロック・ホームズ》シリーズ中でも
 傑作と呼び声高い『バスカヴィル家の犬』は、
 人家もまばらな丘陵と湿地を舞台とする
 ミステリ作品でした。

 この物語でもやはり、
 お隣りさんのお家までは
 いったい何kmあるのだろうか、という
 原野が舞台です。

「おてんきもォ、さいあくゥでスよゥ!」
「がるるぐるる!」(←訳:雨だし寒いし!)

 メアリー・イエランさんは、
 雨が吹き込む乗合馬車に揺られ、
 《ジャマイカ・イン》
 を目指しています。

 お母さんを亡くしたばかりの彼女は、
 叔母であるペイシェンスさんのもとに
 身を寄せることになったのですが……

「ようすがァ、へんでスゥ!」
「ぐるるるるがるる?」(←訳:どうしたんだろう?)

 何もかも、
 予想とは違う――

 《ジャマイカ・イン》でメアリーさんを待っていたのは、
 すっかりやつれて、
 記憶の中の姿とは
 別人のような叔母さん。

 それに《ジャマイカ・イン》とはいうけれど、
 《イン(=宿屋)》の設備も、
 宿泊客も見当たらない館は、
 どこも寂れ切っている……?

「かッかえりましょウゥ!」
「がるるぐるがる!」(←訳:ここは危険だよ!)

 叔母の夫にも、
 館にも、
 不信と嫌悪を抱くメアリーさん。
 一刻も早く逃げ出したいんですけれど、
 踏ん切りがつきません。

 なぜなら、
 もし、ここで
 彼女が逃げ出したら……

 残されたペイシェンス叔母さんは、
 どうなるでしょう……?

「うッ! それはァ~…」
「ぐるるがる~…!」(←訳:マズいよね~…!)

 叔母さんを見捨て、
 ここから逃げ出す?

 そんなこと、出来やしない!
 叔母さんと一緒に、
 ふたりでここを逃げ出さなくちゃ!

「ちゃんすはァ、いつゥ?」
「がるるっる?」(←訳:どうやって?)

 見知らぬ土地で、
 心細さに悲鳴を上げつつ、
 メアリーさんは闘います。

 得体のしれぬ何かと。
 原野の恐怖と。
 《ジャマイカ・イン》に巣食う悪と。

「どこかにィ、いませんかァ?」
「ぐるるがっるるるるる!」(←訳:味方になってくれる人!)

 誰が味方で、誰が敵か?
 メアリーさんを救ってくれるのは?

 100年近く前に著された作品で、
 時代背景は19世紀ですが、
 訳者・務台夏子さんによる新訳は
 まったく古臭さがなく、
 読み始めたら止まらなくなる快作です。

 ミステリ好きさん、
 クラシックな英国エンタ文学が好きな方々、
 そしてヒッチコックさんの映画が大好きな方々も、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 
 
コメント
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