テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 街に花咲くエピソード ~

2021-05-14 23:39:58 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やややッ! ほんやさんがァ!」
「がるる!ぐるがるるるぅ!」(←訳:虎です!開店してるよぉ!)

 こんにちは、ネーさです。
 今週末から、駅ビル内の開業エリアが拡大?
 本屋さんが、LoFtさんが、
 靴屋さんも、営業してるわ♫♪
 嬉しくて涙目になりながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!

  


 
     ―― 大名の《定年後》 ――



 著者は青木宏一郎(あおき・こういちろう)さん、
 2021年2月に発行されました。
 『江戸の物見遊山』と副題が付されています。

「ふむむゥ! ごいんきょさまァ、でスねッ?」
「ぐるるるるるる?」(←訳:リタイアメント?)

 お侍さんの社会にも、ええ、
 一種の”節目“がありました。

 家長の座を後継者に譲って、
 隠居する――

 隠居の理由は、
 もう充分に働いたから、だけでなく、
 不祥事の責任を取って、とか、
 お家騒動、とか、
 幕府から命令されて、などなど
 ハッピーな隠居があれば
 ドロドロに悲惨な隠居もありまするが。

 ここにひとり、
 ハッピーな隠居を遂げた
 もと大名さまがおられます。

「おじいちゃんがァ、ゆうめいじんッ!」
「がるるるぐる!」(←訳:お犬さまだね!)

 柳沢信鴻(やなぎさわ・のぶとき)さん。

 大和国郡山の第2代藩主であった信鴻さんは、
 第五代将軍・徳川綱吉(つなよし)さんの
 側用人・柳沢吉保(やなぎさわ・よしやす)さんを
 祖父に持ち、
 延享2年(1745年)から
 安永2年(1773年)まで
 藩主を勤め上げ……

 49歳にして、
 めでたく隠居生活に。

「これでェもうゥ~!」
「ぐるるる!」(←訳:自由の身!)

 堅苦しく、制約だらけの
 ”お殿さま”な生活は、無事終了。

 そうして、
 引退後の信鴻さんが何を始めたかというと。

「あるけェ~あるけェ~」
「がるるぐるる!」(←訳:遊山のために!)

 『物見』には、
 探査か監視、見物、見学といった意味があります。

 『遊山』は、
 『ゆうざん』と読めば野山で遊ぶこと、
 『ゆさん』と読めば行楽すること、だとか。

 政務から解放された信鴻さんは、
 祖父が造った六義園(りくぎえん)を住居にし、
 熱心に物見遊山三昧の日々を送りました。

「あさくさッ! りょうごくゥ!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:神田祭に鬼子母神!)

 どこに行って、何をしたか。
 混雑具合は、どうだったか。
 食事は、飲み物は。

 隠居後の日々を『遊山』に充て、
 お江戸市中の東西南北を目と手と足で
 確かめていった信鴻さん、
 詳細な《お出掛け記録》を綴りました。

 この御本は、
 信鴻さんの『宴遊(えんゆう)日記』という、
 お出掛けの記録を中心に、
 安永の時代の江戸の遊山が描かれています。

「るるゥ~♪よのなかがァ~♫へいわァなら~♪」
「がるるぐるる~♫」(←訳:飲めや歌えや~♫)

 ちなみに、
 安永年間は、
 そこそこ平穏な時代だったようです。

 大飢饉はなく、
 もちろん戦争もない時代に、
 多数の庶民と
 極少数のお金持ちたちが、
 ともに夢中になった
 《江戸》の出来事とは。

「やぱりィ、おはなみィ?」
「ぐるるっるがる!」(←訳:ピクニックだよ!)

 大道芸なら、上野広小路。
 お参りなら、湯島の天神さま。
 ザ・観光地な江戸名所めぐり。
 
 平和な江戸に咲く
 ささやかで尊い文化の花のエピソード集は、
 歴史好きな活字マニアさんに、
 ぜひのおすすめです。
 本屋さんや図書館で、
 探してみてくださいね~♪
 

 
コメント
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