テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 駆けよ、白い馬 ~

2021-05-22 22:34:07 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 いたいたッ、へびくんッ!」
「がるる!ぐるがる?」(←訳:虎です!元気そう?)

 こんにちは、ネーさです。
 逃走中?と報じられていたニシキヘビくん、
 アパートの屋根裏で発見されたとか。
 とにかく怪我人がなくて何より、
 無事で良かった~とホッとしつつ、
 さあ、週末の読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
       ―― 赤羽末吉 ――



 編者はコロナ・ブックス編集部の皆さん、
 2020年5月に発行されました。
 『絵本への一本道』と副題が付されています。
 
 赤羽末吉(あかば・すえきち)さん。

 その御名前に心当たりはなくとも、
 表紙になっている『ももたろう』の画のテイスト、
 そして、
 『スーホの白い馬』
 という作品名を耳にすれば、
 じわじわ~と思い出すかもしれません。

「ずゥ~ッとォ、つづくゥ~!」
「ぐるるるがるー!」(←訳:超ロングセラー!)

 名作『スーホの白い馬』の作者として知られる
 赤羽末吉さん(1910~1990)は、
 日本人で初めて
 国際アンデルセン賞を受賞した御方でもあります。

 この御本では、
 赤羽さんの作品と、
 生涯が紹介されているのですが……
 
「いろいろォ、おどろきィ!」
「がるるぐるるるるる!」(←訳:意表を衝かれました!)

 赤羽さんが絵本作家デビューを遂げたのは、
 50歳のとき。

 それまでの人生は、
 絵本のような、
 というよりも、
 ドラマのような波乱ぶり?

「かんだのォ、うまれさッ!」
「ぐるっるがる!」(←訳:江戸っ子でい!)

 東京・神田に生まれた赤羽さん、
 養子となって
 生家の青田家から赤羽家に入り、
 中学卒業後は
 日本画家に弟子入りしたり、
 お芝居に入れあげたり、
 舞台美術家になりたいと
 夢を抱いたり、
 洋画を学んだり。

 そのまま絵画の道へと
 進むものかと思ったら――

「いきなりィ?」
「がるる!」(←訳:満州へ!)

 すでに渡満していた姉のつてで、
 大連の運送会社で働き始めるも、
 見知らぬ異国での
 慣れぬ労働は赤羽さんを疲弊させました。

 そんな或る日、
 古本屋さんで発見したのは。

「にほんのォ、ざッしィ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:コドモノクニ!)

  《なつかしくて
   胸にポッと灯がついたようだった》

 買い求めた絵雑誌『コドモノクニ』が、
 赤羽さんの運命を変えました。

 ふたたび、絵筆を。
 そして、仕事のかたわら絵を描き、
 満州国美術展覧会で特選を獲得、
 スケッチ帖とペンを手に
 満州の各地へ、
 蒙古へと
 取材の旅へ。

「でもォ、せんそうゥ!」
「がるるぐるる!」(←訳:大陸に混乱が!)

 帰国後、
 赤羽さんはGHQに職を得ました。
 アメリカの文化を日本に紹介する、
 というお仕事でしたが、
 それがかえって、
 昔日の日本や
 大陸を舞台にした作品へと
 つながっていったのでしょうか。

 1961年、
 『かさじぞう』刊行、
 『スーホの白い馬』発表と、
 赤羽さんの秘めた想いは
 一挙に世界へと羽ばたいてゆきます。

「いざァ、しゅッぱァつゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:物語のクニへ!)

 20世紀の日本&アジアに生きた
 ひとりの絵本作家さんの
 ただならぬ軌跡。

 アート好きさんにも
 歴史好きな活字マニアさんにも
 おすすめしたい一冊です。
 図版も多数掲載されていますので、
 絵本を読む気分で、
 皆さま、ぜひ♪
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする