「こんにちわッ、テディちゃでス!
とうひょうゥ、してきましたでスゥ!」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!混雑でした!)
こんにちは、ネーさです。
はい、昨日7月7日の夕方に、
期日前投票へと行ってまいりましたよ。
重要なタスクを完了し、
ホッとしながらの本日の読書タイムは、
こちらのアンソロジー作品を、さあ、どうぞ~♪
―― 味比べ ――
編者は大矢博子さん、
著者は(アイウエオ順に)青山文平さん、梶よう子さん、
門井慶喜さん、西條奈加さん、宮部みゆきさん、
2022年3月に発行されました。
『時代小説アンソロジー』と副題が付されています。
「ぼなぺてィ!」
「ぐるるるる~!」(←訳:召し上がれ~!)
ヒトが生きるために必要とするもの――
《食》。
そして、できるなら、
ただの《食》でなく
《美味しい食》であって欲しい、とは
全人類の切望するところ、でしょうか。
この御本に収録されている5編の短編作品は、
西條奈加さん著『カスドース』
宮部みゆきさん著『食客ひだる神』
梶よう子さん著『大根役者』
青山文平さん著『真桑瓜』
門井慶喜さん著『ぜんざい屋事件』
いずれも、《美味しい食》への想いとこだわりが
ふっくらと炊き込められています。
「なつはァ、すずやかにィ~」
「がるぐっるるる!」(←訳:冬はあったかく!)
どの作品もひとかたならぬ凝り様ですが、
ふっふっふっ、夏は《怪談》シーズンですからね、
ここは、宮部みゆきさんの『食客ひだる神』を
ちょこっと御紹介いたしましょう。
「むぐぐゥ! うわさのォ、ひゃくものがたりィ!」
「ぐるるるるがる!」(←訳:ただならぬ予感!)
数ある江戸の商いごとの中で、
袋物を扱うお店なら
三島屋(みしまや)さんの評判が上々です。
いえ、実は袋物だけじゃなく。
三島屋さんには、もうひとつ、
密かに評判となっているものがある……。
「それはァ~…どろろんッ!」
「がるる!」(←訳:怖い話!)
めったに表に出てこないものの、
三島屋さんの“謎の看板娘”と噂される
おちかさんが聞き取るのは、
流行りのお芝居やらオシャレやらの噂ではなく、
謎めいた《百物語》。
今回、おちかさんが聞き手となるのは、
仕出し屋『だるま屋』さんの
不思議な物語です。
味がいい、目にも楽しい、
お弁当の包み方まで気が利いていると、
江戸の食通さんに好まれている
元濱町(もとはまちょう)の『だるま屋』さん。
三島屋さんの今年のお花見に合わせて作ってくれた
段重ねのお弁当は、
とっても美味しいものでした♫
しかし、おちかさんは驚きます。
こんなに美味しいのに、
常連さんもしっかりついているのに、
お花見の季節が終わったら
紅葉の時季まで休業?
どんなに頼まれてもお店を開けない、って……?
商魂たくましい江戸の店々とは
あまりに異なる『だるま屋』さんの姿勢に、
おちかさんは何かを感じ取ります。
「あッ、きたきたッ!」
「ぐるるるがるるぐるる!」(←訳:だるま屋さんの御主人!)
夏の休業には、
ええ、理由(わけ)がございます。
面妖な、或る理由が。
おちかさんの願いに応え、
三島屋さんを訪ねてきてくれた
房五郎(ふさごろう)さんは語ります。
ある峠道で、
彼に憑りついた神さま――
ひだる神さんとの
へんてこりんで、騒々しくって、
困ったことも多くて、
でも、心はずむ日々のあれこれ。
「ゆにィーくなァ、かみさまッ!」
「がるるるぐる!」(←訳:いるんだねえ!)
憑りつかれると、
お腹が空いて空いて、
どうしようもなくひもじくなってしまう、
という神様――ひだる神さん。
その出会いは、仕出し屋の房五郎さんに
何をもたらしたのか――
食べること、
生きることを問うかのような、
『食客ひだる神』、
怪談好きさんも
美味しいもの好きな方々も、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪