「こんにちわッ、テディちゃでス!
ふううゥ~…あちゅいィ~…」
「がるる!ぐるが~っる……」(←訳:虎です!頭がボ~っと……)
こんにちは、ネーさです。
ええ、暑さに弱い私ネーさ、
夏バテ真っ最中でございます……が!
バテてなんていられない怪作と出会っちゃいましたよ!
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 名探偵と海の悪魔 ――
著者はスチュアート・タートンさん、
原著は2020年に、
画像の日本語版は2022年2月に発行されました。
英語原題は『THE DEVIL AND THE DARK WATER』、
17世紀のインド洋を舞台とした
海洋冒険小説……でいいのかしら?
「こんらんッしてまスゥ!」
「ぐるがる??」(←訳:ここどこ??)
物語の始まりは、バタヴィアの港から。
バタヴィアとは、
インドネシアの首都ジャカルタの、
オランダ領時代の呼称です。
ジャワ島西部の河口に位置し、
1619年にオランダ東インド会社の総督がこの地を租借し、
要塞を築いて通商の拠点にしたのでした。
「わわゥ! みなとはァ、おおさわぎィ!」
「がるぐるるがっるる!」(←訳:人も荷物もいっぱい!)
バタヴィアの“支配者“にも等しい
ヤン・ハーン提督が帰国の途に就こうとしています。
もちろん、私物一つない手ぶら、ではなく、
家族や従者たち、
山のような荷物とともに。
そして、明らかに“荷物“扱いされているのは、
サミュエル・ピップスさん。
《謎解き人》を自称するピップスさんは、
提督と東インド会社のために
身を粉にして働いていた……はずでしたのに。
「えッ? てくびにィ、くさりィ?」
「ぐるるがる!」(←訳:足にも鎖が!)
どのような経緯があったのか、
今やピップスさんは、囚人。
手枷足枷で船へと引っ立てられてゆくところへ。
おや? 喧騒が一段と大きくなりましたよ?
港の一角、積み上げた荷のてっぺんで、
乗船する者すべてに
無慈悲な破滅がもたらされるであろう。
この船が
アムステルダムに着くことはない。
と、喚き叫ぶ男がいる……?
「きょッ、きょうはくゥ??」
「がるぐる?」(←訳:予言なの?)
騒ぎを起こして程なく、
男は絶命しました。
その様子を、亡骸を観察しながら、
ピップスさんは思考をめぐらせます。
男が言っていたことは、
単なる妄想か、
或いは、事実に基づいた予想なのか。
アレント・ヘイズ中尉を相棒に、
推理を進めてゆくピップスさん。
しかし……?
「うみィ、でスからねッ!」
「ぐるがる!」(←訳:船上だし!)
いやはや、もう、息つく暇もなく
厄介事が押し寄せてきて、
乗客さんも読み手の私たちも
底なしのカオスに放り込まれます。
これが、オランダ東インド会社の船旅……!
悪名高い、
っていう形容詞がくっついてくるのも無理ないわ……!
「とどめはァ~…」
「がるぅ!」(←訳:嵐だぁ!)
バタヴィアからアムステルダムまでは、
八ヶ月の長い旅。
万が一にも航路を逸れてしまえば、
そこで待つのは……破滅。
予言を覆し、
海の罠から脱し、
ピップスさんとアレントさんが
故郷の大陸を目にする日は来るのか――
デビュー作『イヴリン嬢は七回殺される』に続く
著者・タートンさんの第2作は、
ミステリ好きな方々に、
海洋もの&歴史もの好きな方々にもおすすめの
力作にして怪作です。
ぜひ、一読してみてくださいね~♪