テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 混沌の海原をゆく ~

2022-07-11 21:29:52 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふううゥ~…あちゅいィ~…」

「がるる!ぐるが~っる……」(←訳:虎です!頭がボ~っと……)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ええ、暑さに弱い私ネーさ、

 夏バテ真っ最中でございます……が!

 バテてなんていられない怪作と出会っちゃいましたよ!

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 名探偵と海の悪魔 ――

 

 

 著者はスチュアート・タートンさん、

 原著は2020年に、

 画像の日本語版は2022年2月に発行されました。

 英語原題は『THE DEVIL AND THE DARK WATER』、

 17世紀のインド洋を舞台とした

 海洋冒険小説……でいいのかしら?

 

「こんらんッしてまスゥ!」

「ぐるがる??」(←訳:ここどこ??)

 

 物語の始まりは、バタヴィアの港から。

 

 バタヴィアとは、

 インドネシアの首都ジャカルタの、

 オランダ領時代の呼称です。

 ジャワ島西部の河口に位置し、

 1619年にオランダ東インド会社の総督がこの地を租借し、

 要塞を築いて通商の拠点にしたのでした。

 

「わわゥ! みなとはァ、おおさわぎィ!」

「がるぐるるがっるる!」(←訳:人も荷物もいっぱい!)

 

 バタヴィアの“支配者“にも等しい

 ヤン・ハーン提督が帰国の途に就こうとしています。

 もちろん、私物一つない手ぶら、ではなく、

 家族や従者たち、

 山のような荷物とともに。

 

 そして、明らかに“荷物“扱いされているのは、

 サミュエル・ピップスさん。

 

 《謎解き人》を自称するピップスさんは、

 提督と東インド会社のために

 身を粉にして働いていた……はずでしたのに。

 

「えッ? てくびにィ、くさりィ?」

「ぐるるがる!」(←訳:足にも鎖が!)

 

 どのような経緯があったのか、

 今やピップスさんは、囚人。

 手枷足枷で船へと引っ立てられてゆくところへ。

 

 おや? 喧騒が一段と大きくなりましたよ?

 港の一角、積み上げた荷のてっぺんで、

 

   乗船する者すべてに

   無慈悲な破滅がもたらされるであろう。

   この船が

   アムステルダムに着くことはない。

 

 と、喚き叫ぶ男がいる……?

 

「きょッ、きょうはくゥ??」

「がるぐる?」(←訳:予言なの?)

 

 騒ぎを起こして程なく、

 男は絶命しました。

 その様子を、亡骸を観察しながら、

 ピップスさんは思考をめぐらせます。

 

 男が言っていたことは、

 単なる妄想か、

 或いは、事実に基づいた予想なのか。

 

 アレント・ヘイズ中尉を相棒に、

 推理を進めてゆくピップスさん。

 しかし……?

 

「うみィ、でスからねッ!」

「ぐるがる!」(←訳:船上だし!)

 

 いやはや、もう、息つく暇もなく

 厄介事が押し寄せてきて、

 乗客さんも読み手の私たちも

 底なしのカオスに放り込まれます。

 これが、オランダ東インド会社の船旅……!

 悪名高い、

 っていう形容詞がくっついてくるのも無理ないわ……!

 

「とどめはァ~…」

「がるぅ!」(←訳:嵐だぁ!)

 

 バタヴィアからアムステルダムまでは、

 八ヶ月の長い旅。

 万が一にも航路を逸れてしまえば、

 そこで待つのは……破滅。

 

 予言を覆し、

 海の罠から脱し、

 ピップスさんとアレントさんが

 故郷の大陸を目にする日は来るのか――

 

 デビュー作『イヴリン嬢は七回殺される』に続く

 著者・タートンさんの第2作は、

 ミステリ好きな方々に、

 海洋もの&歴史もの好きな方々にもおすすめの

 力作にして怪作です。

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪ 

 

 

コメント
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